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初陣!☆

そして約1年が経ちシオンは5歳になりました。


この世界では日本と同じで1月から12月の暦がある。

ただし、1ヶ月の日数が約90日もあるのだ。


つまり日本の暦と照らし合わせると約3倍の日数の差があると言うわけである。

この世界の人は成長が3倍も遅いと言うことであるが、作物の成長は一緒ぐらいなので、小麦などの収穫も年に2回できるのである。

星の大きさや自転の速さなどで、異世界らしい設定である。



「さて、すでに聞き及んでいると思うが、ようやく隣国のクレスト王国が攻めてきたのじゃ」


昔と違いシオンの話の時に無駄口を叩く兵士はいなかった。


「我がレグルス王国は国境にある難攻不落の城塞【グラース砦】にていつもの様に耐える作戦で行くそうじゃ。我々、【ノルン騎士団】は遊撃隊となって、砦を攻めている敵の背後をつく!」


真剣にシオンの言葉を聞いていた兵士達はゴクリと喉を鳴らした。


「初めての戦争経験者もいるじゃろう。じゃが、安心せよ!妾が大魔術を使い敵戦力を混乱させるのじゃ。御主達はいつもの訓練通りに剣を振るえば問題ない。必ず全員でここに戻ってくるのじゃぞ!」


オオオォォォォ!!!!!!


ここ1年でどこの騎士団よりもやる気に満ちたノルン騎士団はメキメキと実力を上げていき、レグルス王国でも屈指の騎士団となっていた。


「さてと、母君に見つかる前に出発するのじゃ!」


そしてどんなに強くとも母親には勝てないシオンであった。



「姫殿下、本当に大丈夫でしょうか?敵の数は約3万とのことですが…………」


騎士団の団長となったクロードがシオンに尋ねた。


「心配要らぬ。砦には約2万が詰めておるし、そこに妾達、3千の騎士団が奇襲を掛けるのじゃ。砦に閉じこもっておる腑抜け共は無視して、妾達だけで敵を撃退するのじゃ!」


屋根のない馬車………『チャリオット』と呼ばれる【戦車】の上で腕を組んで、わはははっ!と笑うシオンにクロードはヤレヤレと首を振るが、顔は笑っていた。いざと言うときは自分の命を掛けて守り抜くと決めているからだ。


「姫殿下、そろそろ見えてきます!」

「うむ、このまま進軍するのじゃ」


シオンは『身体強化』の魔法を自分とノルン騎士団に使い、さらに魔力を高めた。



挿絵(By みてみん)



「さぁ!今こそ3千の兵で3万の敵を打ち破り、歴史に名を残すのじゃ!この戦いに参加した皆が英雄である!妾に続けーーーーーなのじゃ!!!!!!」



砦を攻めていた敵軍の背後から強襲した。


「先手必勝じゃ!」


騎士団の馬にも身体強化の魔法を掛けていたため、普段の3倍の速度で駆け巡った。


『ここは風魔法で障害物をなぎ倒すべきか?火の魔法はなしじゃな。突入する時に炎に包まれては、かなわんしのぅ?』


「目の前の陣形を崩すのじゃ!神風よ!我が願いを聞き届けたまえ!目の前に立ち塞がりし愚かな者を吹き飛ばせ!ストーム・バースト!」


敵軍に竜巻が発生し、多くの敵軍を薙ぎ倒した。


「よし!今じゃ!敵軍を突っ切るのじゃーーーー!!!!!」


オオオオオォォォォォォ!!!!!!


ノルン騎士団は猛スピードで突入した。


「流石は姫殿下様だぜっ!」

「ああ、こんな凄い魔法を1人で使えるんだもんな!」


敵軍を槍で薙ぎ倒しながら進んで行く。


「クロード!この軍の指揮官は何処じゃ!」


混乱している敵軍を突っ切り、反転して最突入しようとした時、シオンは団長に尋ねたのだ。


「はっ!右側のやや後ろにある、あの大きな馬車の所ではないかと」


突入時に周囲を見渡しながら敵の指揮官の場所を探していたのだ。


「よし!目標!敵、総司令官の首じゃ!進めーーーーなのじゃーーーーーーー!!!!!!!」


いきなり巨大な竜巻が軍の中心に現れ、陣形をバラバラにされた所に騎馬隊が突入してきた事で立て直しが不可能なほど混乱していた。


「敵の騎兵が反転してきたぞーーーー!!!!」


敵兵が叫ぶが、周囲の味方は対応出来なかった。


ドドドドッ!!!!!!


敵兵を薙ぎ倒しながら目標のターゲットの所まで突撃していった。敵の指揮官である将軍は、味方を見捨てて逃げようとしていた。


「軍の長でありながら味方を見捨てて逃げ出そうとするとは何事じゃ!!!」


シオンの指示に従い、クロードが前に出て敵の将軍の首をハネた。


「クレスト王国の将軍をノルン騎士団団長、クロードが討ち取った!!!!!!」


「勝鬨を上げるのじゃ!!!」


オオオオッォォォォォォ!!!!!!!


シオン達は虚を付いたとはいえ、3万の敵軍の中を突っ切り、3千の騎兵で敵軍の将を討ち取ったのだった。


「姫様、この後はどうされます?」

「取り敢えず、グラース砦に入り負傷者の手当をするのじゃ。それにしても、友軍が外で戦っていると言うのに、砦から討ってでぬとは腰抜けな者たちめが」


シオンの言葉にクロードは苦笑いをした。


「それは仕方ありません。数で劣っている場合は籠城するのが定石ですので。兵の運用としては優秀な将軍が護っておいででしたよ」


敵兵はすでに慌てて撤退を初めていた。それを見たシオンは小さく呟いた。


「さて、これで布石を打つことに成功したのぅ。後は速攻で敵国に攻め入り、王都を攻め落せば第一関門はクリアじゃな」



すでにシオンの意識は次の戦に向いていた。


「妾の戦いはこれからじゃ!」

「はっ!どこまでもお供致します!」


こうして後にシオン・レグルスの歴史書に刻まれる初戦の戦い、『神風の戦い』が終了したのだった。


まだシオン達の戦は始まったばかりである。










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