もふもふがやって来た。
周囲の情報を集めていると西のスノー王国がきな臭いと情報が入ってきたのだ。
「スノー王国じゃと?無知で申し訳ない。どのような国なのじゃ?」
周辺国の勉強不足に頭を下げるシオンに、執務室にいたセツナが説明した。
「姫殿下はまだ5歳ですので仕方がありません。私が説明致します」
でもその姫殿下がなんで統治の執務ができるのか不思議なんですけどね?
セツナは一瞬遠い目をしてから答えた。
「スノー王国は比較的新しい国でして、帝国や連合国から迫害された『獣人族』が興した国なんです」
「ほう?もふもふの者達がのぅ?」
「姫殿下、手をわきわきしても、もふもふはここにはいません」
ハッ!?
無意識に手を弄ってしまっていたわい。
「それで、その国がどうしたのじゃ?」
「元々、雪が酷く住むには厳しい国です。いつも食料不足で苦しんでいます。そこに国を二分する内乱が起こりそうなのです」
「国を別けるほどの内乱とな!?」
「はい、現国王の治世を継承しようとしている穏健派の第一王女派と、豊かな国の領地を奪おうとする会戦派とで争いが起きているそうなのです」
!?
「頭が痛い問題じゃな。ただでさえ国を奪ったばかりで、更には帝国の侵攻もあったばかりじゃ。戦力が低下していると思われても仕方がないのぅ」
「そうなのですよね~」
セツナも深いため息を付いた。
「それなら国境線に両国の交流都市でも作ろうかのぅ?」
「交流都市ですか?」
「両国から半数ずつ移住させて平和的な開墾をさせるのじゃよ。そうすれば、出稼ぎの者は食事に困らぬし、作った作物をスノー王国に送れるし一石二鳥じゃろう♪」
「流石はシオン姫殿下。そんな考えがあるとは感服致しました。すぐに打診してみます!」
「よしなに頼むのじゃ」
こうして先手を打つ感じで西の国境線に両国の『開墾村』を作る話を持ち込んだ。規模が大きくなれば町として支援していく予定だ。
そして使者を送ってからすぐに返事が届けられた。
「………なんとまぁ早い返事じゃのぅ?」
片道7日の旅路だが、ほぼ往復の日数で返事が届けられた。
「なんと!スノー王国の第一王女が使者としてやって来るそうじゃ」
「えっ、本当ですか!?よく国を出る許可が出ましたね」
う~む?
逆に国内が危険じゃから避難の為にきたのかものぅ?
「取り合えず最大限の歓迎をせんとのぅ」
「かしこまりました」
こうしてスノー王国の姫を歓迎する準備に取り掛かるのだった。
到着するまでの間に出来る限りの情報を集め姫が到着するのを待った。
「スノー王国の使者殿が到着致しました!」
シオン達は城の入口で出迎えた。
使者の乗ってきた馬車は豪華と言うよりしっかりとした作りの丈夫そうな馬車だった。
馬車からは共の者が降りてきて、その後に手を繋がれながら姫様が降りてきた。
シオンはその姿に目を奪われた。
「な、なんと言うことじゃ。もふもふではないか」
真っ白な肌に狐の耳と尻尾のある妖狐族の獣人である。
姫は側にいたお供の影に隠れながら挨拶した。
「は、初めまして。スノー王国の長の娘でタマモと申します」
「妾はクエスト王国の摂政を務めておるシオン・レグルスじゃ。よろしくなのじゃ」
2人は握手を交わして城に入った。
タマモも同い年のシオンに少し勇気が出て緊張がほぐれたようだった。
謁見の間に着くと玉座に座ったシオンは本題に入った。
「それで使者殿の用件を聞こうかのぅ」
タマモに同行していた使者は深く頭を下げて話た。
「この度はシオン摂政殿下の御提案に我が主人は大変感銘を受けた次第です。もしよろしければ、すぐにでも共同の国境線の開拓に御助力頂きたいと申しております」
「ふむ、こちらもそれはかまわんのじゃが、まずはどの程度の規模を期待しておるのか聞こうかのぅ?」
シオンの言葉の意味を考えながら使者は答えた。
「取り敢えずは千人ほどの規模を予定しております。開拓が順調に進めば追加で増やしていこうと考えております」
ふむ?
「それはスノー王国の移民で千人と言うことかのぅ?こちらの人員を出せば2千人の規模になってしまう。そうなると、いささか規模が大きくなり過ぎると思うのじゃが?」
「わ、我々としては貴国とは末長く友好を築いていきたいと思っております。さ、さらには移住に必要な建築の道具や田畑を耕す道具類は全てこちらで用意させて頂きます。貴国の方では次の収穫までの食料の支援などお願いできればと思っております」
なるほどのぅ。
スノー王国では相当な食料不足と見える。
だから少しでも多くのものを豊かな土地に移住させたいのじゃろう。
強硬派の気持ちもわかる。民が家族が飢えているのだ。なにも行動を起こさずに餓死させるくらいなら他を奪ってでも生き残りたいと思うのは道理じゃ。
特に敵対している訳でもないし恩を売っておくのも悪くはないかのぅ?
シオンはどうすべきか思案しながら答えるのだった。




