表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/22

戦後処理と戦功

スカーレットの後続部隊には大きな地響きとともにイゴールの部隊が消えたように見えた。


「消えた?なにが起こったの!?」


すぐに斥候を放ち事態の状況確認を行った。

そして絶望することになる。


「すぐに城砦を攻略している部隊を呼び戻しなさい!すでに後ろにいた総大将の部隊が壊滅していると!撤退のドラも鳴らしなさい!」


「はっ!」


伝令は落し穴に注意しながら撤退!撤退!と叫んで砦を攻めていた兵士を撤退させた。


しかしシオンは甘くなくなかった。

隠れていた城壁の上にいる弓隊を再度出して、撤退する部隊に射掛けたのだった。

こうして当初いた4万の帝国軍は1万2千まで数を減らして撤退する事になった。

近年稀にみる大敗であった。


撤退する友軍を助けつつ、帰還した兵士の数を見てスカーレットは絶句したのだった。


「まさか半分以下までになっているとは………」

「スカーレット様!砦を攻略していた兵士の話ですと城門を破壊して突入したのは良いものの、奥には開けた場所があり、そこで内部の城壁の上から弓矢での攻撃を受けたとのことです」


!?


「最初の城門の破壊ができたのは、わざと誘い込むものだったか」


イゴールは愚か者だったが、功績を立てる事で正々堂々と皇帝候補を名乗る者だった。血の別けた肉親を暗殺など考えないヤツだったので、スカーレットは陰ながら見守っていたのだ。


それもまぁ、王族や貴族のみ対等だと極端な思想を持った者でもあったが。


「はぁ~こんなバカな戦いで死ぬとは。クレスト王国のシオン姫殿下か………この借りは高く付きそうだ」


スカーレットは今回の敗戦をどう報告しようかと頭を悩ませながら撤退するのだった。



「ようやく撤退したか」

「こちらの大勝利ですな」


浮かないシオンの顔を見てバルド将軍は尋ねた。


「…………敵兵とはいえ、心苦しいのですか?」

「うむ、妾のせいで大勢が死んだのじゃ。騎士はともかく、捨て駒にされた民兵が哀れじゃ」

「姫殿下………」

「すまぬ。バルド将軍は最善を尽くしてくれた。こちらの被害は軽微じゃ。喜ぶべきなのじゃが………」


俯くシオンにバルド将軍は孫を撫でるようにシオンの頭を撫でた。


「それでいいのです。人を殺す時に心の痛みを失っては、それは血に飢えた獣と同じです。どうか今の気持ちを忘れないで下さい。そして──」


その時のバルド将軍の言葉はシオンの胸にいつまでも残る事になる。


「死傷者の埋葬と装備品の仕分けは任せたのじゃ」


戦争は戦闘が終わっても完全に終わりではない。

敵兵とはいえ、死体を野ざらしにしておくと疫病が流行るし、この世界では魔物もいる。


故にこの世界では首に自分の名前の入った【ドックタグ】を付けて、死んだ時はそのドックタグを持ち帰るのだ。

そして死んだ兵士の装備で使えそうな物は回収して溶かして使ったり、商人に売って自国の増強などに使うのだ。


戦いが終わっても今回は戦死者が多く、戦後処理に一週間もかかったのだった。

シオンは摂政としての仕事があるため先に王都に戻ることになった。


「今回は全てバルド将軍にお願いしてしまい活躍できず申し訳ありませんでした」


騎士団長のクロードは馬車の中で頭を下げた。


「なに、気に止むことはない。この国で起こる全てを1人の人間で対応できる訳がないのでのぅ。適材適所じゃよ。次に期待しておるからのぅクロードよ」


「はっ!神命に賭けて!」


こうして第一回の帝国からの防衛戦は終結したのだった。

後に、今回の戦功を持ってバルド将軍には全騎士団を統括する元帥げんすいの位が授けられた。


「はぁー、姫殿下も人使いが荒いですな。この老骨になにをさせるのやら」

「それだけバルド元帥閣下を高く評価しているということでしょう。それに元々クレスト王国の民兵だった者も正式に騎士に昇格され喜んでいるようです」


「元々のクレスト王国の騎士団は貴族出ばかりで使い物にならなかったですからね」

「うむ。これで戦力の増強に繋がれば良いのだが、余り他国の兵を重用した場合、反乱が起きた時怖いのでな」


まぁ、あの姫殿下であれば問題は起きないだろうが。


「姫殿下のおかげで民の暮らしが楽になったんです。反乱の恐れはほぼないでしょう。問題は誰かに脅されて犯行におよぶか、最初からスパイで潜入してくるかですね」

「ワシもそう思っていたのだが、姫殿下の神眼はそこもわかるらしい。だから自分の目で見た人物は大丈夫と言っていたよ」


本当に規格外なお方だ。


「それでクロード殿。帝国はしばらくは攻めてこないので間違いないのか?」

「ええ、今まで威圧的な外交をしていたせいで、アッチコッチで内乱の機運が高まっています。それより、危険なのは西のスノー王国ですね」


「今度は西か。まったく落ち着く暇がないな」


周囲の情報を集めながら自国の防衛に力を入れていくのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ