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防衛戦

夜になり帝国兵が引いた砦にて───


「今日は大勝でした」

「うむ、流石はバルド将軍じゃ」


シオンも周辺の地図を見ながら感謝を述べた。


「城壁を20メートルも高くしたことで、今まで以上に戦闘が楽になりました」

「効果があってよかったのじゃ。今日は城壁まで登ってきた帝国兵はいたかのぅ?」

「いいえ、一度も登らせませんでしたぞ。しかしあのネズミ返しの構造は驚きましたな」


城壁の頂上の最後に少しでっぱりを作って、最後の最後で登れなくした細工が施してあったのだ。


「真下の攻撃が制限されますが効果的でした」

「よかったのじゃ。それでこちらの被害はどうじゃ?」


バルド将軍は少し間を空けてから話た。


「・・・死者は3人ほど。怪我人は37人で圧勝でした」

「三人も死者が出たか。幸いガイアディアで臨時収入があった。遺族には出来る限りでよいので見舞金を払って欲しいのじゃ」


「かしこまりました。姫殿下の大切な民を死なせてしまい申し訳ありません」


バルド将軍は深く頭を下げた。

普通の為政者であれば、被害が少なくて笑っただろうが、シオンは1人として死なせてしまったことを悔いているのだ。大切な兵を預かっている者として申し訳ない気持ちがあった。


「よい。バルド将軍は最善を尽くしてくれたのじゃ。妾も気持ちを切り替えなければならぬのじゃが・・・人の気持ちとは難儀なものよなぁ」


シオンの憂いている顔を見てクロードは今の自分が何もできないことを悔やんだ。


「そうじゃ、皆が頑張っている間に弓矢の補充をしておいたのじゃ。裏に置いてあるので運んで欲しいのじゃ」

「弓矢でございますか?」

「うむ、クレスト王国側には森が広がっておるからのぅ。そこの木から弓矢を作ったのじゃ」

「それはありがたい。弓矢は何本あっても足りませんからな。感謝致します」

「今の妾にはこのぐらいしか出来んのでな、今日は御苦労じゃった。バルド将軍も早目に休んで欲しいのじゃ」


「では弓矢を運んだら休ませて頂きます」


バルド将軍は礼を取ると部屋を出て行った。

『姫殿下が魔法で切り出した弓矢か。兵達の士気も上がるかも知れんな』


そんな事を考えながらクレスト王国側の出口をでると────


「……………そうでしたな。姫殿下は姫殿下と言う事を忘れておりましたぞ」


そこには30本づつ束になった弓矢が約10万本ほど積み上げられていた。


「これだけあればこの戦の分は足りるな。遠慮なく無限に撃てるのは敵には脅威だろう」


バルド将軍は頭をかきながら部下を呼ぶのであった。


次の日になり帝国軍は作戦を変えてきた。盾を掲げて梯子を城壁に取り付けるのは同じだったが、魔法使いが地面を盛り上がらせて高さを稼いだのだ。

それと同時に正面のシオンが石の壁を出して入口の城門を隠した場所にも攻撃魔法を放って壊しに来たのだ。


「このままでは終わらぬか。弓隊!魔法使いを狙え!」


どんな魔法使いでも魔法が使える距離は決まっているのだ。少なくとも城壁の上から弓が届く距離まで近付かないと魔法は使えない。しかし、帝国軍も大きな盾を上と横に構えて動く『ファランクス』という動く城塞の陣にて、移動して魔法使いを守っていた。


「あの鉄の盾を貫くのは無理か」


魔法の爆発する音が響き渡る中、バルド将軍はどう対応するのか考えているとシオンがやってきた。


「バルド将軍、少し苦戦しておるようじゃな。そろそろ仕込んでおいたギミックの一つを使おうと思うのじゃがいいかのぅ?」


「確かに言っておられましたな。かしこまりました。城壁の兵を下がらせます」


事前に打ち合わせしてあった通り、城壁の上の弓隊を全て下がらせて内側に戻した。


帝国兵は地面が盛り上がって階段を登る距離が短くなった事で、この戦が始まって始めて城壁の上に登る事ができた。


「クソ、城門前の石壁破壊できないか。しかし城壁を確保してしまえば敵の攻撃はない。後方待機させていた一万の軍を進軍させろ!一気に砦内部を制圧する!後方が登り切るまで城壁の上は絶対に確保するんだ!」


敵の指揮官は隊列を組んだ一万の兵を後続に前進させた。


「そろそろかのぅ?」

「いえ、もう少しお待ちを」


ギミックを外すタイミングをバルド将軍に委ねて────


「今です!」

「了解じゃ!」


シオンがギミックのロックを解除すると、20メートルもある長方形の【城壁の前】にあった【石壁】がゆっくりと同時に倒れていった。


「に、にげ───」


ドッオーーーーーーーーン!!!!!!


城門前だけではなく左右の城壁も□□□20メートルもある長方形の石壁が倒れていき帝国兵を下敷きにした。後続の一万の兵も順番に階段を登るのを待っていた為に、元いた部隊とともに下敷きになってしまった。


この様子を理解出来ずに帝国軍は呆然としていた。


「今だ!城壁に登った帝国兵を殲滅せよ!」


城壁には数十名登っていたが、階段もなく撤退も出来ない状態でノルン騎士団が次々に襲って来たためになすすべ無く殲滅され、すぐに城壁の上を取り替えす事に成功した。


「問題は城門がむき出しになった事じゃが、帝国軍はどう動く?」


一万の軍勢の後ろの方にいた部隊は九死に一生を得てギリギリ助かった。しかし、仲間を助けようと駆け付けたが、城壁の上から矢の雨が降ってきて救出を断念するしか無かった。


こうして帝国軍は昨日と今日で一万以上の死傷者を出すことになった。






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