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迎撃

それから斥候が戻るとロープを降ろして引っ張って登らせた。


「報告致します!帝国軍の第一陣の兵力は約4万に増えております!」


!?


「なぜ一万も増えているのだ!」

「この辺りの村や町から兵を徴収していたようです。参加すれば1年間の税の免除など掲げておりました」


地図を見ながら上に駒を置きながら状況を整理していた。


「なるほど。だから進軍が遅かったのじゃな」

「しかし数は力です。一万も敵の数が増えるのはマズイですね」


クロードの呟きに、バルド将軍は首を振った。


「いや、これはチャンスですな。運は我らに味方しているようです」

「そうじゃな。これはチャンスじゃ」


クロードは2人の意見が分からず尋ねた。


「失礼します。敵の数が一万も増えたのにどうしてチャンスなのですか?自分にはわからないのですが?」

「うむ、確かに敵の数が増えるのは脅威ではある。しかしじゃな、無理やり募った民兵が攻城戦でなんの役に立つ?逆に一万もの食料を減らしてくれるじゃろうに」


!?


「な、なるほど。そういう見方ができるのか・・・」

「クロード騎士団長よ、学べよ。姫殿下の剣であれば、いつも地上での白兵戦ばかりではないぞ。どんな戦闘でも最善を選べるようにな」

「はっ!精進いたします!」


『まったく武術には自信があったが、まだ幼い姫殿下ですら気づくことに気づかないとは、騎士団長失格だ。もっと兵法も勉強しなければ』


クロードも並の指揮官以上の兵の運用はできる。ただ、実践経験が少ないのだ。

シオンは前世でも軍人だったのでその辺りの知識があり優秀なのである。


「城砦を落とすには通常なら弓を掛けつつ、梯子をかけて登っていくしかない。そこには個人の武力など関係ないのだ。そして多くの兵が上からの攻撃に死んでいく。それを見た徴兵された民兵は大抵の場合、恐怖から敗走していくのだよ」


長年、国境砦を守っていたバルド将軍の言葉は重かった。


「しかし、近年はその戦法も変わってきてるがな」

「どういうことじゃ?」


バルド将軍は手書きのメモを見せた。


「巨大な階段を作って城壁に寄せる攻城兵器や、魔法で地面を盛り上げて兵を城壁に上げるやり方など開発されております」

「ならば、城壁を上げても意味はなかったのかのぅ?」

「いいえ、流石にこれほど高い城壁を越えることのできる階段など不可能でしょうな。魔法でもここまで高く地面を上がらせることができるかどうか・・・」


ふむ、なら城壁を大きくしたことは無駄ではなかったのじゃな。


「ならこのまま防衛戦の指揮はバルド将軍に任せるのじゃ。妾の力が必要になれば遠慮なく言うのじゃぞ」

「かしこまりました」


それから数日経ち、ついに帝国軍が見えてきた。


「この高さから見ると壮観じゃのぅ」

「何を呑気に言っているんですか、倍以上の数との戦争ですよ?」

「今回は防衛戦じゃ。前回など10倍以上の兵に突っ込んたんじゃ。楽勝じゃろ?」


クロードはキョトンとした顔でシオンを見ると笑い出した。


「あははははっっ!確かにそうでしたね!忘れてましたよ!」


あの頃よりシオン姫殿下を守らなければと言う想いが強くなったために視野が狭くなっていたようだ。

この命が尽きるまでお守りいたします。クロードはより一層、決意を固めて挑むのだった。


「敵が少し離れた場所で陣形を組みました」

「うむ、ここからよく見えるのじゃ」


20メートルの城壁の上から帝国軍の陣容がよく見えた。


「なかなか攻めてこんのぅ?」

「この城壁を見て慌てているようにも見えますね」


しばらくしてようやく帝国軍が動いた。


「梯子を持っているようですね。恐らく用意した梯子では届かないとわかり、二つの梯子を一つに付けていたのでしょう」

「なるほどのぅ」


「それより姫殿下、ここは危険です。一度中にお下がりください」

「いや、どんな闘いをするのか見守りたいのじゃが・・・?」

「流石に子供である姫殿下に、人が多く死ぬ現場を見せる訳には参りませぬ」


ぬぅと有無を言わせぬ圧力をかけてバルド将軍は言った。


「はぁ、しかたないのぅ。じゃが、ピンチの時は遠慮なく言うのじゃぞ!妾の国民を無駄に死なせることは許さんのじゃ!」

「はっ!肝に銘じます!」


シオンは仕方なく砦の中に入った。


「こういう所は聞き分けがよくて助かるな」


バルド将軍は一度頭を下げると城壁の上に立ち、指示を出した。


「お前達!危険を犯してまでシオン姫殿下がきていらっしゃる!さらにはこの20メートルもの城壁まで作っていただいたのだ!絶対に帝国軍を追い返すぞ!!!!」


「「「オオオオオオオォォォォォォ!!!!!!!!」」


数千もの兵士の雄叫びが響いた。

帝国軍は定石通りに梯子を数人かかりで城壁に掛けて、多くの兵が登ってきた。

ノルン騎士団は弓を放ち応戦。帝国兵は盾を上に掲げながら前進してきた。


「敵の弓に気をつけろ!」


全ての矢ではないが、この高さまで届く矢がチラホラとあった。


『流石にここまで高いと敵の弓矢も脅威にならぬな』


城壁の高い場所から放つ弓矢の方が地上の帝国兵に遠くまで届くので帝国の弓隊も近づいては下がっての繰り返しで短時間で疲弊していった。無理に近場で弓を放ち続ければ逆に城壁からの弓に殺されてしまう。遠くだと届かない。ただ城壁を高くしただけでクレスト王国側が圧倒的に有利だった。


こうして半日の攻防で帝国側に3千もの死傷者が出ることになった。







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