人々は奇跡を目にした
激しい爆発音が坑道の奥から聞こえてきた。
ゴゴゴゴゴッッッッッッ!!!!!!!
その後、大地を揺るがす地響きが鳴り始めた。
「な、なんじゃ?坑道の破壊でこんな地響きが起こるものなのかのぅ!?」
「くっ、姫殿下だけでもお逃げください!」
マーガレットはそう言うが、激しい地響きで立つこともできなかった。
振動はどんどん大きくなってきて坑道入口から大量の砂煙が噴射された。
「座りながらでもかまわん!結界を維持するのじゃ!妾も手を貸す!」
消えそうになっていた結界がまた強度を増した。出てきた粉塵は結界に遮られて空高く舞い上がって言った。
そして───
轟音が鳴り響き、地鳴りも最大限の音と振動が襲った。
物凄い音と共に、粉塵が周囲を覆い隠した。
振動は収まったが、広い範囲で粉塵が煙のように舞い上がって何も前が見えない状態が続いた。
「マーガレット、周囲の被害状況を確認するのじゃ」
「はっ!」
マーガレットは周囲を見渡しながら部下に指示を出して確認した。
そしてすぐに被害はないと判明した。
「少し転んで擦り傷を負った者はいましたがたいしたことはありません」
「そうか、すまなかったのじゃ。まさかここまで大ごとになろうとは思わなんだのじゃ」
「いいえ、姫殿下のお力を見られて光栄でございます!」
会った時よりマーガレットもシオン信者になりつつあった。
そして粉塵の煙が収まっていくと、その場にいた者たちは絶句した。
中央の鉱山であった山が『半壊』していたのだ。
元々内部が穴だらけであって、シオンの爆裂玉がトドメを刺したのだ。
しかし雪崩のように土砂が崩れたのではなく、土砂より硬い岩山だったので、瓦礫の山のように崩れたのが幸いだった。
と、言うことは───
「し、シオン姫殿下・・・・」
マーガレットは震える手で指差した。
「なんじゃ?流石に山が崩れたのには驚いたのじゃがどうしたのじゃ──」
シオンも最後まで言えなかった。気づいてしまったからだ。
山が崩れたことにより、一生懸命にツルハシなどで掘っていた鉱物資源が剥き出しの状態で現れていたからだ。
「これなら、危険な坑道を掘らずに岩山に登って持って行くだけでいいわ。この中央鉱山の資源が無くなるまで、今まで以上に楽に採掘できます!」
マーガレットの言葉に周囲が沸いた。
「流石は姫殿下様!」
「女神様の加護を持つお方だ!!!」
「奇跡だ!!!」
なんじゃ!?なんじゃ!?
シオンは周囲の信仰にも似た視線を感じて戸惑うばかりであった。
「えっと、まさか山が完全に崩れるとは思わんだ。すまぬ!」
シオンは深く頭を下げたが──
「何をおっしゃいますか!姫殿下のおかげで10年以上は鉱物資源の発掘が楽になったのです!感謝しかありません!これで中央鉱山を廃坑にせずに、左右の鉱物資源の開発に注力できます!」
マーガレットは姫殿下は幸運を呼ぶ聖女だ!と大喜びであった。
周囲の者もこの奇跡を目にしてその通りだと幸運の聖女様!と連呼し始めた。
本人は予想外の出来事についていけず、申し訳ない気持ちでいっぱいだったのだが、周囲に誉められてはどうすればいいのかわからなくなっていた。
「あははははっっ・・・・どうしたもんかのぅ?」
確かにここに来てから運の良いことしか起こっていなかった。
隠し財産の金塊を見つけて、効率よく鉱物資源の採取が可能になった。これから鉱山都市ガイアディアは今まで以上に発展していくだろう。
シオンは50人ほど実地調査に残らせて、ガイアディアに戻ることにした。
「この崩落じゃ。周囲の魔物もパニックになって異常行動を起こすかも知れぬ。しばらくは巡回を密にして欲しいのじゃ。迷惑をかけてすまぬ!」
「いえ!これくらい何でもありません!姫殿下のおかげでクレスト王国は生まれ変わったのです!いずれは国名も変えて頂けると嬉しいですね」
!??
「国名を変えて欲しいのか?」
「ええ、今まで王侯貴族が無茶をしていい思い出がありません。できればシオン姫殿下の国として新しい国名を付けてもらえればと思っております」
「うむ、すぐに回答できてくてすまぬ。家臣と相談して考えてみるのじゃ」
「ありがとうございます!では周囲の巡回はお任せください!何かあれば報告致します!」
「よろしく頼むのじゃ!」
国民から国名を疎まれるとは本当に救い難い者達じゃったのぅ。
シオンは王都に戻ったら家臣達と相談すると決めたのだった。




