ホースメン騎馬国家の騎兵団
【キバムス視点】
嘆かわしいものだ。
国同士で手を取り合わず魔族の国に協力する国が現れるなど!
風魔の里を滅ぼした後は、漣国とパンツァー共和国だ!
来るべき日のために我が国の誇る最強の騎馬隊を鍛え上げなければ。
漣国やパンツァー共和国の動きを気にして、まだ風魔の里とやらへ攻め込めていないが。
「族長!エンパイア帝国のクレーメンスって奴が亡命を願いに来てやすぜ!」
クレーメンスだと!?
エンパイア帝国の宰相ではないか!
もしや、エンパイア帝国に先を越されたか?
いや、それならば亡命したいとはならぬか。
一体何があったのだ!
「直ぐに通せ!」
「ヘイ!」
入ってきたエンパイア帝国の宰相の側には妻と娘か?
本当に一家での亡命を希望しているというのか?
「拝謁賜りましたこと感謝致しますキバムス王」
「あぁ、それで我が国に亡命したいということだが何かあったのか?」
「はい。我が祖国エンパイア帝国は、壊滅しました」
「な!?」
馬鹿な風魔の里に宣戦布告して、まだ1年も経っていない。
我が国が背後を守り、その間エンパイア帝国が風魔の里へ攻めることで連合合意していた。
だからこそ先を越されたならまだしも壊滅した?
全く意味がわからん。
だが、エンパイア帝国の宰相が俺様に嘘をつく必要など…いや待て。
実は、風魔の里の攻略は完了していて、世界統一に向けて動いているとしたらどうだ?
これは罠の可能性が極めて高いか。
慎重に見極めなければ。
「詳しく何があったのか説明してもらおうか」
「はい。陛下はエンパイア帝国の誇る重装歩兵団と共に風魔の里とやらへ侵攻を開始しました。ここまでは、キバムス王もご存知であろう?」
「あぁ。だがその報告を受けたのは、今から出陣すると聞いた話で、まだ半年も経っていないであろう?エンパイアの盾が壊滅するなどあり得ない話だ」
「キバムス王が疑われるのも無理はない。俺もたった一人で戻ってきた陛下の話を聞いて、信じられないと思ったが家族の命には変えられん。直ぐに支度をまとめてこちらに亡命しに来た。それが一ヶ月ほど前の話だ。今頃、祖国は魔物の群れに蹂躙されている頃であろう」
嘘をついているようには見えないな。
しかし、慎重にならなければ。
これが罠なら我が国が終わる。
「直ぐに亡命は認められない。確認が取れるまで、監視させてもらう」
「承知しました」
こうして、エンパイア帝国の宰相一家が玉座を後にした。
「直ぐにエンパイア帝国を調べろ!」
「ヘイ!」
俺様が控えていた部下に命令するとその報告が来るのに2ヶ月が経った。
「報告しやす族長!エンパイア帝国は、人口が次々と離れ、今や小国と化しておりました」
馬鹿な!?
では、あの宰相の話は本当だったのか?
なら…今なら労せずしてエンパイア帝国を取れるのでは?
いや、待て待て。
そのようなことをすれば、漣国やパンツァー共和国が黙って居ないか。
いや、そもそも奴らは風魔の里に敵対する国に対して、宣戦布告をしてきただけだ。
ククク。
なら、俺と同じく風魔の里に宣戦布告したエンパイア帝国を救うことはないよなぁ。
ようやく俺様にも運が向いてきたか。
「他に何かあったか?」
「その、国が小さくなったのに治安も良ければ住んでいる人々の顔も明るかったです」
ん?
それは妙だな。
エンパイア帝国の宰相の話が本当なら敗戦した国民の顔は暗く、不安に怯えているはずだが。
やはり罠か巧妙な罠なのか!
「他には!」
「ヘイ!後は、老魔導士っぽい見た目の人が何度も出入りして居ました!」
老魔導士?
なるほど、なるほど。
読めたぞ。
先ずは、エンパイア帝国の宰相が偽りの亡命をする。
それに釣られて、エンパイア帝国を襲おうとした我らを魔法にて殲滅といったところか。
危うく騙されるところであった。
「直ぐにエンパイア帝国の宰相を呼べ!」
「ようやく俺の話が真実だと」
「この詐欺師め!エンパイア帝国のことは調べた!魔物に襲われているどころか負けたにも関わらず国民の顔には笑顔が溢れ、顔も明るかったそうだ。俺様のことを騙されるとでも思ったか!恥知らずが!この男の首を刎ねて、エンパイア帝国に送り届けてやれ!」
「ヘイ」
「ひぃっ!?そんなはず。そんなはず。アァァァァァァァァァァァ」
「フン。俺様を誑かせようとするからだ!この男の妻と娘には奴隷娼婦として、兵らの慰み者になってもらうとしよう」
ん?
水晶が光っている?
「誰だ!この忙しい時に!」
「あ、ようやく繋がったでござるよ。拙者は、魔王国風魔の里の当主風魔光太郎でござるよ」
な!?
エンパイア帝国は我らを騙すために縮小して居たはず。
それはすなわち、風魔の里は滅したからだと思ったが。
どうして、コイツはまだ生きてやがる!
「えーっと、エンパイア帝国と友好通商条約を結ばせてもらったでござるよ。それで、周りが敵だらけになったら態度も変わるかと思って連絡したのでござるが」
「誰が貴様に屈するか!今から俺様自ら滅ぼしてやるから首を洗って待っていろ!」
「ちょちょちょ、待つでござ」
フン!
エンパイア帝国ともあろう大国が魔族の国と通商条約を結ぶなど嘆かわしいことだ!
この俺様自ら風魔の里を滅ぼしてくれるわ!
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