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【エンパイア帝国皇帝エンパニウム視点】


 勇者まで、魔に魅入られていようとは…。

 だが、アンガスが生きていてくれたことは素直に嬉しい。

 後は、あのホルスカウを何とかして殺せば、アンガスも目が覚めるであろう。


 ピロリロリンピロリロリン。


「何じゃ、この音は!?」


『グッモーニング。今日は牢屋の皆さんに風魔の里の1日をお見せします』


「な!?何故、突然光ったこれにアンガスが映し出されている!?」


 映像の中のアンガスは、畑仕事に勤しみ、ミルクカッフェというあのホルスカウのいる店へと足繁く通う様子が映っていた。


「ふぅ」


「おぅ。生が出るなアンガス坊ちゃん!」


「あぁ、働かないとミルクカッフェに通えないからな」


「本当に好きだよな」


「お前もであろう?」


「まぁな」


 アレは、1週間ほど前に斥候として送り込んだ兵ではないか?

 アイツも魔の者に魅入られたのか!

 嘆かわしい!

 また、映像が切り替わった?


「いらっしゃいませぇ。何名様ですかぁ?」


「今日は新人を連れてきた。2名で頼む」


「本当に奢って貰って良いんですか坊ちゃん?」


「何を言う。お前もきっとこの店が気にいる」


「御指名はございますかぁ?」


「俺はミルキーナをコイツはフリーで」


「かしこまりましたぁ。御案内致しますぅ」


 な!?

 アンガスがミルキーナと呼ばれているホルスカウの乳に吸い付いて…ゴクリ。

 いかんいかん、ワシとしたことが何を考えている…そう言う時は皇妃のことを思い出すのじゃ…皇妃はワシにあのようなことをさせてくれたじゃろうか?


「う、羨ましすぎる」


『ここで、木の牢獄からの脱出チャンスの御時間です!』


 ここからの脱出じゃと!?

 何をワシらにさせるつもりじゃ?


『今の映像を見て、自分たちの皇子が羨ましいと思ったそこの貴方!祖国への忠誠を捨ててこの地の民になって働けば、皇子と同じ思いができますよ。では、脱出チャンスの問題です!では手元にリモコンが行き渡りましたね。祖国を捨てる人は青を祖国を守る人は赤のボタンを』


 フン、舐められたものだ。

 このようなことで祖国を捨てる奴など、1人もいるわけが無かろう!


『結果発表!青1000人!赤9000人!おめでとうございます!青の人たちは脱出です!』


「よっしゃぁぁぁ!」


「この裏切り者が!」


「何とでも言えばいい!俺はあの爆乳おっぱいのためにこの地で生きることを決めたんだ!」


 なんということじゃ。

 1万の兵のうち千人も鞍替えするとは…。

 恐ろしい。


『では、引き続き映像をお楽しみください』


 今度は、これはアンガスの家か?

 フン、王宮の室内に比べたら質素なものだな。


「もしもし、いつもお世話になっておりますアンガスです。ミルキーナの生乳絞りを一杯。はい、お願いしまーす」


 な!?

 アンガスよ。

 何を言っている?

 間も無く、先程のミルクカッフェのミルキーナと呼ばれる人が部屋に入ってきて、アンガスがバケツを準備したかと思ったら、な!?

 ダメだこれはとても健全な少年には見せられない光景だ。

 まるで牛の乳を絞るかのようにバケツに牛乳を搾っている…ゴクリ。

 思えば皇妃はワシが吸いたいと言った時、穢らわしいと言われた…ゴクリ。

 いかんいかん、このようなことで祖国を捨てようと考えるなど。


「では、こちらが代金となりますぅ」


「ありがとう。その、今日も可愛かったよミルキーナちゃん」


「こんなことできるのは専属契約してるアンガス様だけなんですからねぇ(チョロすぎて笑ぁ。私の乳が出る時点で、私が誰の女かわかりそうなのに。まぁ、捨て駒として大事に大事に使ってあげるねぇ)」


「ミルキーナちゃん!俺、もっと働くからまたお店に行くよ」


「はーい、お待ちしてまーす」


 映像がブツリとまた切れた。


「俺、もうダメだ。この地の民になる!民になるからここから出してくれ!もう、下半身がどうにかなってしまいそうなんだ!」


『はーい。じゃあ、ここで2回目の脱出チャンスの御時間だよぉ。この地の民になる覚悟ができて人は青を祖国を守りたい人は赤を。シンキングタイム!』


 押しちゃいなよぉ〜息子のことが羨ましいんでしょぉ?

 ダメよ、貴方は一国の王なのよ、いっときの快楽に負けちゃダメ!

 ワシの中で天使と悪魔がせめぎ合っている。

 ワシはどうすれば。


『結果発表!青5000人!赤4000人!あーあ、最初は10分の1だったのに、今度は9分の5も祖国を捨てちゃったね。ウチの当主様と違って、人望が無いんだねぇ。それじゃ、映像の続きをどうぞ!』


 ワシは赤を押した…また踏ん張ることができた。

 また、映像が切り替わった。

 な!?


「うふふ、よく眠ってるわ〜。ミルキーナたちに暴走しないように適度に抜いておくのが私たちの仕事だもの。やり過ぎて殺しちゃったらマリアンヌ様に叱られるんだから程々にねぇ」


「はーい」


 サキュバスたちが男性に跨って、いかんいかんこんなの健全な奴らには刺激が強過ぎる。

 アンガスもなんと幸せそうな顔なんじゃ。

 もうワシも限界じゃ。


『ここで最後の脱出チャンスの御時間です!今の映像を見て、羨ましいなぁと思ったそこのみんな!祖国を裏切る覚悟はできたかなぁ?イェーイ!じゃあ、もう分かってるよね?沮鵠を裏切る覚悟のできた人は青を祖国を守りたい人は赤を。シンキングタイム!』


 祖国に帰って、なーんもしてくれない皇妃で満足できるの?

 押しちゃいなよぉ〜。

 ダメよ貴方は王様なのよ。

 大切な人が待ってるんだから帰るのよ。

 ワシはワシの選択は。


『結果発表!青3999!赤1!あーあ、王様以外全員簡単に寝返っちゃったねぇ?今、どんな気持ち?ねぇ?どんな気持ち?そんな王様にラストチャンスをあげるよ。風魔国の当主様はとーってもお優しいからね。風魔国と相互不可侵条約を結び、貿易協定を結んでくれるなら特別に王様も解放してあげるけどどうする?』


「結ばせてもらおう。我が精鋭は既に全員そちらに寝返り戦う力もない。この上、侵攻されれば滅びの時を待つだけじゃ。相互不可侵と貿易協定を結ばせてもらおう」


『はーい!良いお返事をありがと〜。じゃ、お願いねエンパイア帝国の皇帝様』


 こうして、我がエンパイア帝国は魔族に屈服した。

 それに伴い、此度の兵士たちの家族も風魔国へと流れてしまい、大幅な人口低下によって、大国であったエンパイア帝国は、一夜のうちに弱小国の仲間入りを果たす結果となった。

 しかし、ワシの選択は間違っていない。

 最後まで、向こうの民になることは拒否できた。

 余はそれだけで満足だ。

 国としては小さくなろうとも守れたのだから。

 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

 少しでも楽しい・面白い・続きが見たいと思って頂けましたら、下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から評価してくださいますと執筆活動の励みとなります。

 それでは、次回もお楽しみに〜

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