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このプレゼントを、君に捧げる

「特効薬だ」

 蒼介は手に収まる大きさの、銀色の円筒形の物体を、夏映に向かってさしだした。一見昔懐かしい初代ウルトラマンが変身する時に使うベータカプセルのように見えるが、無論そうではない。

 ベータカプセルのおもちゃでもなかった。

「これ、どうしたの?」

 夏映は星を散りばめたような目で蒼介を見ながら、不審そうな声をあげた。2人は、夏映が住むマンションの一室にいた。蒼介が刺客に襲われて以来、2人は同じマンションの隣どうしの部屋にいる。

 万が一の場合、夏映が蒼介を守るためだ。そのために夏映は部屋にレイガンとショックガン、プラズマ・ソードを備えている。蒼介も、同じ武器を自室に運んでいた。 

 先程彼は夏映の部屋の呼び鈴を押し、扉を開いた彼女に対し、その物体を見せたのだ。2人は応接室に向かいあったソファーに座っている。

「結菜にかけあって、ショードファ人から入手した。奴らの宇宙船から地球へ転送させたんだ。このカプセルの中に特効薬が入ってる。大翔君に近づけてボタンを押すと薬が彼の体内にマイクロワープしてウィルスを駆逐する」

「信じられるの? よりによってショードファ人を」

「わからない。だから無理に勧めない。チャマンカ人の医師に相談するのも手だと思う。が、相談したら『怖いから使えない』と決めつけられてこのカプセルはとりあげられ、永遠に使えないかもしれない」

 蒼介の言葉に夏映は黙ったままだった。

「チャマンカ人のドクターに説明されたの。冷凍睡眠は大翔の病気の進行を遅らせているだけで、あと半年以内に病原菌が彼の体内の全域に侵食して、最後には絶命するって」

 夏映は重苦しい口調で語る。まるで突然重力の大きな惑星に転送されたかのようだ。

「大翔君のご両親に相談したらどうだろう?」

「ヒロ君には、両親がいないの。2人共すでに他界してる。1人っ子だし。だから早く結婚して、子供が早く欲しいって話してた」

 夏映の声が震えだし、水晶のような涙が流れた。

「とりあえず、これは君に渡しておくよ。あとは、君の判断に任せる」

 夏映は戸惑いを隠せぬ震えた手で特効薬の入ったカプセルを受けとった。

「なんだかどこか、遠くへ行っちゃうような口調ね」

 翳りを帯びた眼差しで、夏映がそう口にする。

「そんなわけないだろ」

 蒼介は笑い飛ばしたつもりだが、どこまで笑い飛ばせたか自信がなかった。

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