内乱
相田一佐がもはやこれまでと考えた時、突如200隻の軍艦がワープアウトして現れた。
「通信が入りました。チャマンカ正規軍の援軍です」
喜びを隠しきれない声で、通信士が報告する。ブリッジに歓声があがった。クーデター派の艦隊は、正規軍の艦隊と地球人部隊に挟まれる形になり、大量のワープミサイルを撃たれて徐々に数を減らす。
最終的にクーデター派の艦隊は、降伏する。地球人部隊は47隻から23隻まで減ったが、ともかく日本艦のフジヤマは無事だった。ワープミサイルを1発食らい、艦体に大きな穴が開いた状態を無事と呼べるならだが。
現在球体に4本のマニピュレーターと制御ノズルのついた作業ロボット達が穴に集まり、損傷箇所を直している。
やがて白衣のチャマンカ人のドクターがズワンカ市の病院の待合室にいる蒼介と夏映の元へ現れた。
「地球の病院へ、大翔君を転送したいと聞いたんだが」
「そうなんです」
夏映がすがるように伝える。
「クーデター騒ぎで、彼がどうなるか心配なんです」
「事情は重々承知してる。許可はすでに取ったので、地球のトーキョーの病院に送る。君らも一緒にワープするといい」
さっきまで泣いていた夏映が、太陽のような笑顔を浮かべる。
蒼介と夏映は病院内にある転送装置に案内された。そこには大翔が寝ているストレッチャーも運ばれた。
運んでいるのは2体の医療ロボットである。1体ずつストレッチャーの頭側と足側の持ち手を持っていた。
心配そうに大翔を見つめる夏映を観てると、蒼介は焼けるような嫉妬を感じる。彼女に特別な気持ちはなかったはずなのだが。年齢も10歳以上離れているし、つりあうとは思えない。
蒼介達は軌道上に浮かぶ宇宙船内にマイクロワープした。地球とチャマンカを往復する定期観光船である。しかし、クーデターの推移によっては、これが最後の定期便になるかもしれない。
一緒に来た医療ロボットは万が一を考えて、地球までついてくると決まった。やがて観光船がワープする。ワープアウトすると、眼前に青い地球が浮かんでいた。
蒼介は、思わず落涙する。内乱のチャマンカを離れてホッとしたのだ。




