ザザッカ中将
相田一佐は艦長として、日本人部隊が乗る宇宙巡洋艦に乗っていた。現在彼が乗る日本艦「フジヤマ」を含め、全部で47隻からなる地球人艦隊の訓練航海中である。
地球人艦隊とはいっても旗艦の戦艦はチャマンカ人が乗っており、その指令で動いていた。旗艦は艦隊の中央におり、フジヤマは後方にいる。
周囲は星の海だった。陸上自衛官だった相田が、まさかこんな宇宙空間の任務に従事するとは信じられぬ思いだ。その時である。突然けたたましく、敵の襲来を伝える警報が鳴り響く。
相田がいる艦橋に、旗艦にいるチャマンカ軍のザザッカ中将のホログラムが現れた。ちなみにザザッカは、女性である。
見かけは男女問わずあまり変わらぬように見えるチャマンカ人だが、女性の声は地球人同様男性よりも高かった。
「敵襲だ」
開口一番ザザッカがそう放つ。灰色の毛に包まれた彼女の目は、鋭い光を有している。
「ズワンカ市を制圧したチャマンカ軍のクーデター派の艦隊が迫ってくる。敵の艦数はちょうど百ある。こっちの倍だ。心してかかってくれ」
述べ終えぬうちに敵艦が撃ったワープミサイルの群れが艦隊の前衛にいたエチオピア艦に突っこんで、一瞬にして爆発した。当然地球人艦隊もワープミサイルで反撃し、敵の艦体に叩きこむ。
敵艦のうち3隻が撃沈した。チャマンカ艦が、さらにワープミサイルを飛ばしてくる。今度は同時に5隻の味方が轟沈した。内訳は中国艦、インド艦、アメリカ艦、バングラデシュ艦、ナイジェリア艦が各1隻だ。
もちろんこっちも反撃する。恐ろしい勢いで、双方の艦数が減ってゆく。敵の艦がさらに7隻撃破された。地球側は、さらに8隻虚空に消える。
中国艦2隻、インド、インドネシア、パキスタン、ブラジル、エジプト、アメリカ艦各1隻の損害だ。あっという間に残り33隻であった。敵艦は、こっちの倍もある。
とてもじゃないが、後方とはいえ日本艦もいつやられるかわからなかった。ブリッジの乗員達に恐怖と戦慄が伝わるのが、わかる。




