バリア・ミサイル
「貴様も馬鹿だな」
ザースコ少佐は、チャマンカ人の中尉を笑いとばした。
「我々4人は体内に小型爆弾を有している。貴様らが撃てば爆発する。撃たなくても、我々の意思で起動可能だ。小型と言っても爆発力はかなり強い。この放送局ごと吹き飛ばすのも充分可能だ」
「ハッタリをほざくな」
中尉が怒声を浴びせてくる。
「お前らも、我々ショードファ人にそのぐらいのテクノロジーがあるのは知ってるだろうが」
そこへチャマンカ兵の1人が中尉に恐る恐る声をかけた。
「チュワンボ中尉。今センサーで確認しましたが、ショードファ野郎の話は本当です。奴の体内に、小型爆弾を検知しました」
チュワンボと呼ばれた中尉の顔が一瞬にして、恐怖と不安に彩られた。ザースコ少佐は嘲笑を浴びせた。
「チャマンカ人優越主義を唱えながら、我らショードファ人に一本取られるとは、片腹痛いわ。ともかくこれで、我々は失礼する」
ザースコと他の3人は一斉に自分の銃を抜き、その銃口を相手に向けた。そして後ずさりしながら部屋を出る。そして別室に入るため一旦解除したシールドをまた張った。
これで少なくとも銃等の高速で移動する武器で、ショードファ人達が殺害される事はない。
「どうします」
部下の1人がザースコに聞く。
「この分だと捕虜収容所が危ないだろう。収容所に行き、同胞達を救いに行く」
4人は放送局の外に出た。そこにはホバートラックが駐車してあり、運転席にクーデター派のチャマンカ兵が1人だけ乗っている。チャマンカ兵は、窓を開けた。
「乗せてくれないか」
「どうしてだ。何があった」
「選択の余地はない」
ザースコは銃口を、その額に突きつけた。
相手はこちらをクーデター派の仲間だと信じてたらしくシールドは張っていなかった。
「裏切ったのか!?」
チャマンカ兵は、燃えるような眼差しで、睨んでくる。
「裏切ったのは、そっちのチュワンボ中尉が先だ。死にたくなければ、おれ達4人をショードファ人の捕虜収容所へ連れていけ」
「嫌だと言ったら」
「こうするまでさ」
ザースコはトリガーを引く。握っているのはショックガンだ。銃口から放たれた電流が浴びせられ、チャマンカ兵は、気を失う。
ザースコ達はチャマンカ兵を引きずりおろして地に横たえると、ホバートラックに乗りこんだ。
ザースコが運転席のコンソールに目的地を入力すると、ホバートラックは浮上して、やがて飛行を開始した。
「どうしますか? チュワンボ中尉。このままショードファ野郎を逃がす気ですか」
部下の1人が詰め寄った。その顔は氷のごとく凍てつき、鼻息は荒い。
「バリア・ミサイルを使用する。爆弾が爆発しても、バリアの中に炎や爆風を閉じこめておけるからな。捕虜収容所のショードファ人や地球人ごと全員殺す」
チュワンボは、近くの壁を思いきり殴って言った。




