14話 この国終わってるよ2
なぜかブランに「姫様の初視察ですからぁ」と言われて、可愛い洋服に着替えさせられ、可愛い帽子まで被らされてしまった。
私の街は、ゴミ一つ落ちていない中世ヨーロッパ風の街並みだ。設定はAIにぶん投げたから、多分ヨーロッパ。知らないけど。
街を歩く私の後ろからグレイが日傘を差してくれた。
日光は昔からあまり好きじゃない。吸血鬼としても、日光にデメリットはないみたいだけど、強い日差しは嫌な感じがする。
街を見渡してみる。
閑散としており、人が歩いていない。
ちょうど民家から出てきた女性に声をかけてみた。
「こんにちは、お出かけですか?」
「ユメノ様、こんにちは。今から配給所での調理に向かうところです」
は、配給所!?
振り返ってノアールを見る。
「我が国は配給制を採用しております」
ノアールが、自信満々に答えた。
ドヤ顔で言われても!?
ここは戦時中か!?
「ひ、引き留めてごめんね。何か不自由なことない?」
「いいえ、ございません。失礼いたします」
女性は即答して、にこやかな笑顔で去って行った。
「食料廃棄率がやけに少ないと思ってたんだよね……」
「無駄は最低限まで省き、最高効率で資源を運用しております」
うわぁ……。ドン引きだよ。
現実でやる運用じゃないよ……。
そのうち汚水も運用しそうな倫理観で怖い。何シティだ。
「はぁ……」
こんなんじゃ先が思いやられる。
しばらく歩いて、気付く。
「ねぇ、お店はどこ?」
「ございません」
ない……だと!?
買い物すらできないの!?
洋服も食料品も宿屋も闇市も……あと酒場もない!?
「酒場は重要だよ!?」
「……最も支出がかかる上に費用対効果が見込めません」
費用対効果!?
そんなの人生において必要あるか!?
「待て待て、酒がない人生は死んだも同然だよ。費用とか以前に効果は絶大だよ!?」
「酩酊による労働効率の低下、喧嘩、事故、食料消費を考慮すれば、効果は皆無かと」
わからずや! 鬼畜!
なんてやつだ。TASか?
このゲームがゲームなら、お前は最速でクリアしてるよ。
「娯楽も嗜好品もなくて、何が楽しいんだよ!」
「姫様ぁ、僕たちがいるだけじゃ、だめですかぁ?」
ブランが純粋そうな顔で私を見ている。
うぐ、なんなんだみんなして。
私は帽子のつばを両手で掴んで下に引っ張って顔を隠した。
純粋に、私を求めてくる。
でも国民全員がそんなんじゃだめだ。
「そうじゃなくて……みんな、自分らしくいるべきなんだよ」
「事実として、余剰資源がありません。私の魔法を解いてしまえば暴動が起こりますよ」
その通りだ。
余剰資源を産むには、大魔境に入るか外貨を獲得するしかない。
大魔境は調査をするのに資源や時間がかかる。
今すぐにはどうにもならないだろう。
交易を開くしかない。だけど、売るものが……。
「あ〜なんでこんな時にジェイドがいないの!?」
タイミング悪すぎだろ。
売るものなんて、商人に聞くのが一番手っ取り早いのに!
「ジェイドは現在、聖マグリッタ王国におりますよ」
まさかの、あの揉めそうなとこ!?
「あいつ……私の国売ってないよね?」
「売りはするでしょうが、損害は軽微かと」
心配だなぁ……。
弟からもらったキャラを、裏切ったからって始末する羽目にはなりたくないんだけど。
「仕方ない。今から他国の対応どうするかの会議するから、戻るよ!」
くるっと踵を返して城へと帰った。




