第94話 できることが増えた朝
一週間後。
朝のミレア湖には、まだ薄い靄が残っていた。
湖面の向こうは白く霞み、岸辺の木々も遠くへ行くほど輪郭が淡くなっている。その静かな景色の上を、一つの小さな影がゆっくりと横切っていた。
アリアだった。
水色の髪を後ろへなびかせ、背中から広がる光の羽を動かしながら、別邸の庭の上を大きく回っている。
少し前までなら、風に身体を押されただけで慌てて羽を動かしていた。
高度が少し下がれば、そのぶんをすぐに取り戻そうとして余計に身体が上下し、着地する頃には肩まで力が入っていた。
けれど今日は違う。
湖から吹き上げてきた風に身体が少し流されても、アリアはすぐには羽をばたつかせなかった。
まず、自分の身体がどちらへ傾いたのかを感じ、肩へ入った力を抜く。それから背中の羽の角度をほんの少しだけ変えてみると、風に押されて傾いていた身体が、ゆっくりと元の位置へ戻っていった。
「できた」
誰かへ聞かせるためではなく、自分へ確かめるように小さく呟く。
そのまま庭の端まで飛び、今度は身体を大きく傾けずに向きを変えた。
下ではルカが見ていた。
今日は大型のラグドール姿ではなく、人の姿のまま芝生へ立っている。
「もう一周する?」
「する!」
「言うと思った」
ルカの返事を聞きながら、アリアはもう一度高度を上げた。
朝の飛行練習は、いつの間にか「落ちないための練習」ではなくなっていた。
曲がることも。
止まることも。
高さを変えることも。
風が来た時に、慌てて逆らわないことも。
昔、先生に教わったことを一つずつ繰り返しているうちに、以前なら頭の中で何度も考えてからやっていたことが、少しずつ身体の方で分かるようになってきていた。
庭をもう一周してから、アリアは芝生へ向かってゆっくり高度を下げる。
地面が近づいてきた。
少し前なら、この辺りから足まで忙しく動かしていた。
けれど今日は最後まで身体を慌てさせず、地面へ近づいたところで膝を軽く曲げる。
とん。
両足が芝生へついた。
「着いた!」
「見てたよ」
ルカが近づいてくる。
「今日は跳ねなかった」
「前から跳ねてないよ?」
「三日前は跳ねたよ」
「ちょっとだけだもん」
「昨日も」
「……昨日もちょっとだけ」
言い返せなくなり、アリアは誤魔化すように笑った。
飛行に使っていた光の羽がゆっくりと薄れ、最後には背中の小さな白い羽だけが残る。
少し息は弾んでいた。
けれど以前のように、飛び終わっただけでぐったりすることもなくなっていた。
その時、庭の端にいたマルルがぴょんと跳ねた。
「次、魔法なの!」
「分かってるよ!」
朝の練習は、もう一つ残っている。
アリアはそのまま芝生へしゃがみ込み、手のひらを上へ向けた。
「今日は何にしようかな」
「昨日は花だったなの」
「一昨日も花」
ルカも続ける。
「その前も花」
「花、かわいいもん」
「別のものでもいいんじゃない?」
「じゃあ……」
アリアは庭を見回した。
朝露の残る芝生。
風に揺れる木。
色とりどりの花壇。
葉の先に溜まった小さな水滴。
どれにしようか迷いながら眺めているうちに、花の上を一匹の蝶が横切った。
「あ」
その姿を目で追いながら、アリアの顔が少し明るくなる。
「ちょうちょ」
「蝶?」
「うん」
両手を胸の前へ寄せ、目を閉じた。
頭の中で、さっき見た蝶を思い浮かべる。
左右に二枚ずつある羽。
細い身体。
花の上をふわふわと飛んでいた動き。
以前なら、形を作ろうとするだけで眉間に力が入っていた。
けれど今は、ノルンから何度も言われたことを覚えている。
最初から全部の力を出さない。
必要な分だけ。
手のひらの上へ淡い光が集まり、少しずつ輪郭を作っていく。
やがて光が薄くなると、その中から一匹の小さな蝶が現れた。
「できた!」
青白い光でできた蝶が、アリアの指先からふわりと離れる。
マルルの耳がぴんと持ち上がった。
「飛んだなの!」
蝶は一度アリアの周りを回り、そのまま花壇の方へ向かっていく。
以前なら、ここでアリア自身が嬉しくなって追いかけていただろう。
けれど今日は動かなかった。
消えないように蝶から意識を離さず、形が揺れそうになっても慌てて力を足さない。
そのまま見守っていると、十秒が過ぎ、二十秒が過ぎても、青白い蝶はまだ花壇の上を飛んでいた。
ルカも何も言わずに見ている。
やがて蝶は、一輪の白い花へそっと羽を休めた。
「まだ消えない」
「うん」
自分で作ったものなのに、アリアの声まで少し小さくなる。
一週間前なら、作れたことが嬉しくなった瞬間に集中が切れ、もう光へ戻っていた。
今は笑っていても、ちゃんとそこにいる。
「アリア」
背後からノルンの声がした。
アリアは蝶へ意識を残したまま振り返る。
「なあに?」
「そのまま、わたしと話してみてください」
「話す?」
「はい」
「何のお話?」
「何でも構いません」
何でも、と言われると逆に困る。
アリアは少し考えてから、真っ先に浮かんだことを口にした。
「じゃあ……今日のおやつ何かな」
「なぜ最初にそれなのです?」
ルカが吹き出し、アリアも笑った。
けれど白い花へ止まっている蝶は消えなかった。
「あ」
それに最初に驚いたのは、アリア自身だった。
「まだいる」
「ええ」
ノルンが頷く。
「前より、ずっと安定しています」
「ほんと?」
「はい」
顔がぱっと明るくなった、その瞬間。
蝶の輪郭がわずかに薄くなった。
「あっ」
アリアの表情が変わる。
「消えちゃう!」
「慌てないでください」
ノルンの声に、アリアは一度ゆっくりと息を吐いた。
消えそうだからといって、一気に力を足さない。
ほんの少しだけ。
必要なところへ戻す。
そう意識すると、薄くなっていた光が再び落ち着き、蝶の輪郭もゆっくりと戻っていった。
「…………」
アリアの目が大きくなる。
「戻った」
「戻せましたね」
「できた!」
今度は大きな声を出しても、すぐには消えなかった。
それを見ていたルカが腕を組む。
「本当に上手くなってる」
「ね!」
「一週間前なら、今ので三回くらい消えてた」
「三回も?」
「それくらい」
「そんなに消してないよ」
「消してたなの」
「マルルまで!」
三人で笑っている間に、蝶はようやく輪郭を薄くし、小さな光へほどけて消えていった。
けれどアリアは残念そうにはしなかった。
蝶がいた場所をしばらく見たあと、自分の両手へ視線を落とす。
「前より長かった」
「長かったよ」
「じゃあ明日は、もっと長くする!」
「やっぱりそうなるんだ」
ルカは笑った。
◇
朝食を終えると、今度は書庫へ向かった。
アリアは窓辺の椅子へ座り、小さな本を開いている。
少し前までは、一行読むだけでも指で文字を一つずつ追わなければならなかった。
今でも知らない言葉が出てくれば止まる。
けれど短い文章なら、一文字ずつ区切らなくても、そのまま続けて読めるようになってきていた。
「森の奥に……小さな家がありました」
一行を読み終え、そのまま次へ進む。
「その家には、ひとりの……」
そこで止まった。
「これ何?」
すぐにノルンへ顔を向ける。
「『薬師』です」
「くすし?」
「薬を作る人です」
「お薬屋さん?」
「近いですね」
「ああ」
意味が分かると、もう一度文へ目を戻した。
「その家には、ひとりの薬師が住んでいました」
最後まで読めたことを確かめるように一度頷き、そのまま次の頁をめくる。
以前なら、知らない文字が一つ出ただけで、その先まで全部分からなくなったような気がしていた。
けれど今は、そこで本を閉じなくてもいい。
分からないものがあれば聞けばいい。
一つ分かれば、その先へまた進める。
それを知ってから、本の中には前よりずっとたくさんのお話が見えるようになっていた。
向かいでは、ルカが紙へ何かを書いている。
「ルカ、何してるの?」
「昨日エミールに言われたこと」
「何?」
「忘れないように書いてる」
「字?」
「字だよ」
「読める?」
「アリアよりはね」
「じゃあ見せて」
「やだ」
「なんで?」
「僕のだから」
「お手紙?」
「違う」
何を書いているのか気になり、アリアは身を乗り出しかけた。
けれど途中で止まる。
少し前なら、そのままルカの紙を覗き込んでいたかもしれない。
「ルカ」
「なに?」
「見せて」
「だから嫌だって」
「お願いしても?」
「お願いされても嫌」
「そっか」
それなら仕方がない。
アリアはそれ以上身を乗り出さず、素直に自分の本へ視線を戻した。
ルカの方が少し意外そうに顔を上げる。
「今日は引くの早いね」
「だって、ルカのだもん」
「……そっか」
向かいにいたノルンは何も言わなかった。
ただ、再び本を読み始めたアリアを見て、ほんの少しだけ口元を緩めた。
◇
昼前には、本邸へ出かけた。
この一週間、アリアたちは何度か本邸へ足を運んでいる。
最初の日には、どこを見ても知らないものばかりだった。
けれど今では、玄関から厩舎へ行く道も分かる。
訓練場の場所も。
ノルンが魔術師たちのところへ行く道も。
アリアたちが到着すると、厩舎の前には、もう栗色のポニーが待っていた。
「ミント!」
名前を呼ぶと、ミントの耳がぴくりとこちらへ向いた。
嬉しくなって駆け寄りかける。
けれど途中で、アリアはちゃんと足を緩めた。
馬のそばでは急に走らない。
最初の日に教わったことだった。
「こんにちは」
ゆっくり近づき、手を差し出す。
ミントが鼻先を寄せると、温かな息が指先へかかった。
「今日も乗るよ」
もちろん言葉で返事はしない。
けれどミントの耳がもう一度こちらへ動いただけで、アリアには十分だった。
鞍へ上がる時だけは、まだ係の人に手を貸してもらう。
それでも座ってしまえば、初日のように身体を固くすることはもうなかった。
鐙へ足を入れ、手綱を持つ。
「今日は一人で少し歩いてみましょうか」
「いいの?」
「囲いの中だけですよ」
「うん!」
顔が一気に明るくなった。
アリアが教わった通りに合図を送ると、ミントがゆっくりと歩き始める。
一歩進むたびに背中が上下し、そのたびアリアの身体も小さく揺れた。
けれど、初めて乗った日のように身体を固くせず、その揺れへ腰を合わせていく。
最初の頃は、ミントが動くたびに自分までどう動けばいいのか分からなかった。
今は少しずつ分かる。
ルカの背中へ乗っている時とは違い、ミントにはミントの動きがある。
行きたいところへ勝手に連れていってくれるわけではない。
だから、こちらがどうしたいのかをきちんと伝えなければならない。
最初の頃は、曲がりたいと思ってから合図を出していたので、そのまま通り過ぎてしまうこともあった。
今日は少し早めに手綱を動かす。
ミントがゆっくり向きを変えた。
「できた!」
「前を見てください」
「あ」
嬉しくなって係の人へ振り返りかけ、慌てて前へ向き直る。
「前!」
今度は自分で言った。
柵の外から見ていたクラリッサが笑う。
「随分慣れましたね」
「ルカより簡単!」
その声が訓練場まで届いたらしい。
「聞こえてるよ!」
ルカの声が飛んでくる。
「ルカは勝手に曲がるもん!」
「アリアが勝手に行き先変えるからでしょ!」
「今はミントに乗って!」
「前見て!」
係の人まで笑った。
アリアも笑ったまま、今度こそ前を向いてミントと一緒に歩いていった。
◇
訓練場では、ルカとエミールが向かい合っていた。
この一週間で、ルカが教わっているのは剣の振り方ではない。
危ない時にどう離れるか。
転びそうになった時に、どう身体を守るか。
そして、自分の後ろに誰かがいる時に、どう動くのか。
今日も木剣を持っているのはエミールだけだった。
「行くよ」
「うん」
エミールの木剣が伸びる。
ルカはそれを見て身体をずらした。
以前なら、大きく横へ跳んでいたところだった。
けれど今日は半歩だけ動き、木剣を脇へ通す。
そのまま大きく離れず、すぐにエミールとの間へ身体を戻した。
「今のいい」
「ほんと?」
「うん。前より動きが小さくなった」
「大きく避けた方が安全じゃないの?」
「一人ならね」
エミールはルカの後ろへ視線を向けた。
もちろん、そこには誰もいない。
けれどルカには、その場所に誰を置いて考えればいいのか分かっていた。
「アリアが後ろにいたら?」
「大きく避けたら、アリアのところに行かれる」
「そういうこと」
ルカは少し黙り、自分の足元を見た。
避けることだけなら、以前からできた。
けれど自分が避けたあとに何が起こるのかまで考えるようになったのは、ここへ来てからだった。
「もう一回」
「いいよ」
エミールが笑い、もう一度木剣を構えた。
◇
その頃、ノルンの周りには、いつの間にか椅子が増えていた。
「先生ではありません」
本邸へ来るようになってから、もう何度言ったか分からない。
けれど南方騎士団の魔術師たちは、どうやらノルンが何と呼ばれるかについては、あまり気にしていないらしい。
「ではノルンさん。この術式なんだが」
「それは昨日も見ました」
「昨日とは少し変えた」
「どこをです?」
「ここだ」
紙へ描かれた魔法陣を示され、ノルンが覗き込む。
しばらく黙ってから、指先で一箇所を示した。
「ここを変えたのですね」
「分かるのか?」
「見れば」
最初の日とまったく同じ返事だった。
魔術師が苦笑する。
「相変わらずだな」
「何がです?」
「いや、何でもない」
ノルンは気にする様子もなく、紙へ視線を戻した。
「こちらへ変えたことで、魔力の流れ自体は安定しています。ただ、このままでは発動まで少し遅くなりますね」
「やはりそうか」
「速さを優先するなら、こちらは残した方がよいと思います」
「なるほど」
話しているうちに、また別の魔術師が紙を持って近づいてきた。
「次、いいか?」
「順番にしてください」
「並んでるぞ」
「…………」
ノルンが顔を上げた。
本当に列ができている。
しかも、さっき見た時より一人増えているような気がした。
「増えていませんか?」
「気のせいだ」
「気のせいではありません」
少し離れたところで見ていたエリオが吹き出した。
「すっかり先生だな」
「違います」
その返事だけは、今日一番早かった。
◇
午後。
別邸へ戻ったアリアたちは、湖に面したテラスで冷たい果実水を飲んでいた。
朝から飛行と魔法の練習をして、そのあとには本を読み、昼前からは本邸へ出かけてミントにも乗った。
一週間前なら、それだけで一日分どころか、何日分にも思えたかもしれない。
さすがのアリアも今日は少し疲れたらしく、椅子の背もたれへ身体を預け、冷たい果実水の入ったカップを両手で持っていた。
「今日はもう何もしない」
「珍しいね」
ルカが言った。
「疲れたもん」
「毎日詰め込みすぎなんじゃない?」
「でも楽しいよ」
「楽しいのと疲れるのは別だからね」
アリアは少し考えてから頷いた。
「そっか」
果実水を一口飲む。
その横では、マルルが皿に残った果物をじっと見つめていた。
「それ、食べるなの?」
「食べるよ」
「いつ?」
「今」
「じゃあ待つなの」
「何を?」
「残るかもしれないなの」
「残らないよ」
マルルの長い耳が、目に見えて下がった。
その様子を見ていたセレフィナが、お茶のカップを静かに置く。
「そういえば」
アリアが顔を上げた。
「なあに?」
「あなたたち、随分ミレア湖には慣れましたけれど、町はほとんど見ていませんね」
「町?」
「教会へ行った時くらいでしょう?」
言われて、アリアは少し考えた。
ミレア湖へ来てから、外へ出ることは増えた。
船にも乗った。
本邸にも何度か行った。
けれど、町そのものを歩いたことはほとんどない。
「お店ある?」
「ありますよ」
「お菓子?」
「あります」
背もたれへ預けていた身体が、少し起きる。
「お魚?」
マルルまで顔を上げた。
「それもあります」
「行くなの!」
「マルルまで」
ルカが笑った。
「でも、誰と行くの?」
アリアが尋ねると、セレフィナは少し考えた。
「わたしが案内しても構いませんけれど」
その時だった。
「僕でよければ案内するけど」
少し離れたところから声がして、全員が振り返る。
本邸から何かを届けに来たらしいエミールが、庭の方から歩いてきていた。
「エミール?」
「うん」
「町、知ってるの?」
「…………」
エミールが足を止める。
「僕、ここで育ったんだけど」
「全部?」
「全部って何?」
「道」
「全部の道は知らないよ」
「じゃあ迷う?」
「迷わない」
「ほんと?」
「たぶん」
「たぶん!」
アリアが笑う。
「じゃあエミール!」
「何が?」
「案内して!」
「いいよ」
思っていたよりもあっさり返事が返ってきた。
それだけでアリアの顔が明るくなる。
「どこ行く?」
「市場とか、湖の古い舟着き場とか。昔からある通りもあるし」
「お菓子のお店は?」
「ある」
「行く!」
「そこだけ決まるの早いね」
「大事だから!」
マルルも前足を上げた。
「お魚もなの!」
「魚もあるよ」
「エミール、いい人なの!」
「それで決めるんだ」
ルカが笑う。
ノルンはそんなやり取りを聞きながら静かに果実水を飲んでいたが、アリアに顔を覗き込まれた。
「ノルンも行くよね?」
「もちろんです」
「じゃあ明日!」
「明日?」
今度はエミールが聞き返した。
「駄目?」
「別にいいけど」
「決まり!」
アリアは嬉しそうに両手を合わせた。
次の満月を待つ間、毎日何かを覚えている。
少し前まで、一か月という時間はとても長かった。月が満ち、その先にある鍵の欠片を探しに行ける日まで、ただ待たなければならない時間だと思っていた。
けれど今は、朝になればやりたいことがある。
昨日できなかったことを、今日もう一度試すことができる。
そうして一日が終わる頃には、昨日まで知らなかったことや、できなかったことが一つずつ増えていた。
そして明日は、練習でも勉強でもない。
ミレア湖の町を歩く。
「楽しみ」
アリアはテラスの向こうに広がる湖へ目を向けた。
何度も眺めてきた水面の向こうにも、その周りに広がる町の中にも、まだ知らないものがたくさん残っている。
市場には何があるのだろう。
お菓子のお店には、どんなものが並んでいるのだろう。
魚屋へ行ったら、きっとマルルは動かなくなる。
そんな明日のことを考えながら、アリアは残っていた果実水をもう一口飲んだ。
まだ知らない町へ出かける。
今のアリアにとって、それはただ新しいものを見に行く、楽しみな一日のはずだった。
その一日の中に、この先の旅へつながるものが待っていることなど、まだ誰も知らなかった。
★お読みいただきありがとうございます★
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