あと5日 〜噂〜
今日は四話投稿予定です。19:00分頃にあと二話を公開するのでそちらも見てください。
木曜日。
放課後。
ダンス練習が終わり、体育館には片付けをする生徒たちの声が響いていた。
「美月。」
生田が、少しだけ真剣な表情で声を掛ける。
「ちょっといい?」
「うん?」
二人は体育館の外へ出る。
夕方の風が、汗ばんだ頬を優しく撫でた。
少し歩いたところで、生田は立ち止まる。
「昨日ね。」
「男子が話してるの、たまたま聞いちゃったの。」
「男子?」
白石は首を傾げる。
「神崎くんの話。」
その名前を聞いた瞬間、胸が小さく跳ねた。
「……神崎くん?」
「うん。」
生田は一度息をつく。
「本当かどうか分からなかったから、昨日は言わなかった。」
「でも今日も同じ話をしてる人がいて……。」
「たぶん、本当なんだと思う。」
白石は黙って続きを待った。
「神崎くんね。」
「一週間以内に、誰かへ告白する約束をしたらしいの。」
「……え?」
一瞬、耳を疑った。
「告白……?」
「うん。」
白石の心臓が大きく鳴る。
頭の中が真っ白になる。
神崎が。
誰かに。
告白する。
そんな未来、一度も考えたことがなかった。
「でもね。」
生田は言葉を続ける。
「その約束、普通の告白じゃないみたい。」
「好きな人に告白するんじゃなくて……。」
白石は息を呑む。
「『一番信頼できる相手に告白する』って。」
「……。」
信頼。
その言葉が胸に残る。
恋じゃない。
好きだからじゃない。
信頼できる相手。
「だから……。」
生田は困ったように笑う。
「美月に期待してほしいわけじゃない。」
「相手が誰かなんて分からないし。」
「うん……。」
白石は小さく頷いた。
期待なんて、してはいけない。
神崎は恋愛に興味がない。
だからこそ、"好きな人じゃなくてもいい"という条件を付けたのだろう。
(私じゃ、ないよね。)
胸の奥が少しだけ痛む。
それでも。
ほんの少しだけ。
心のどこかで、小さな期待が生まれてしまった。
そんな自分が、少し嫌だった。
次の話と時系列がごっちゃになる可能性があります。注意して読んでください。




