あと6日 〜生田の葛藤〜
今日は「あと6日」を3話公開しています。なるべく順番に見てください。
放課後。
ダンス練習を終えた生田は、一人で廊下を歩いていた。
「疲れたー。」
軽く背伸びをしながら昇降口へ向かう。
その途中。
階段の踊り場で、男子たちの話し声が聞こえてきた。
「神崎、本当にやるのかな。」
「約束したからやるだろ。」
「一週間以内だもんな。」
神崎。
その名前に、生田の足が止まる。
(神崎くん?)
聞くつもりはなかった。
けれど、自然と耳に入ってしまう。
「誰に告白するんだろうな。」
「知らね。」
「でも好きな人じゃなくてもいいって言ってたらしいぞ。」
「信頼できる相手に告白する、とか。」
「神崎らしいよな。」
男子たちは笑いながら階段を下りていった。
残された生田は、その場で立ち尽くす。
「……え?」
今、何て言った?
一週間以内に。
神崎が。
誰かに告白する?
しかも。
好きな人じゃなくてもいい。
信頼できる相手に。
(そんなこと……。)
聞き間違いじゃない。
確かにそう聞こえた。
◇
校門を出ても、生田の頭の中はその話でいっぱいだった。
(美月は……。)
神崎のことが好き。
それは誰よりも知っている。
だからこそ、この噂を聞けば期待してしまうかもしれない。
でも。
(相手が美月とは限らない。)
むしろ、その可能性の方が低い。
期待させて、違ったら。
その時、美月はきっと傷つく。
「……。」
生田は小さく息をついた。
(もう少しだけ様子を見よう。)
まだ噂だ。
本当かどうかも分からない。
だから今日は、何も言わない。
その判断が。
数日後、白石の心を大きく揺らすことになるとは、まだ誰も知らなかった。
次の投稿は9/13日になります。いつも通り18:00公開です。




