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君を好きになるのは、一週間だけのはずだった。  作者: 松茸の香料
萌ゆる心

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一週間後

あと一週間です。短いと思うか長いと思うかはあなた次第。


これ実話とかマジ!?

 放課後。

 文化祭準備も終わり、教室には男子だけが数人残っていた。

 女子はダンスの最終確認へ向かい、教室にはどこか気の抜けた空気が流れている。

「疲れたー!」

 桐生が机に突っ伏す。

「あと一週間で文化祭か。」

「早いよな。」

「準備もほとんど終わったし。」

 神崎は文化祭実行委員の資料をまとめながら、その会話を聞いていた。

「神崎。」

 桐生が声を掛ける。

「お前さ。」

「最近ずっと文化祭のことばっか考えてない?」

「実行委員だから。」

「真面目だなぁ。」

 男子たちが笑う。

 そんな中、一人が何気なく口を開いた。

「そういえば神崎って。」

「恋愛とか興味あるの?」

 神崎は資料から目を離さず答える。

「ない。」

「彼女欲しいとか思わない?」

「思わない。」

「好きな人は?」

「いない。」

 即答だった。

「すげぇ。」

「ここまで興味ないやつ初めて見た。」

 教室に笑いが広がる。

 桐生は苦笑いしながら言った。

「青春しろよ。」

「必要になったら考える。」

「必要ってなんだよ。」

 また笑いが起こる。

 すると、窓際にいた男子が急に立ち上がった。

「じゃあさ。」

「一週間だけ本気で恋愛について考えてみろよ。」

 教室が少し静かになる。

「一週間?」

 神崎が聞き返した。

「ああ。」

「今日から一週間。」

「その間だけでいい。」

「誰か一人をちゃんと見て。」

「一週間以内に告白。」

「もしできなかったら。」

「もう俺たちは神崎に恋愛しろなんて言わない。」

 桐生も面白そうに笑う。

「確かに。」

「それなら公平じゃね?」

「一週間だけ。」

 神崎は腕を組んだ。

 少しだけ考える。

「……。」

「どうだ?」

 誰かが聞く。

 神崎は静かに答えた。

「面白そうだ。」

「おっ!」

「乗った!」

 男子たちが盛り上がる。

 しかし神崎は続けた。

「ただ、一つ条件がある。」

「条件?」

「告白する相手は。」

「好きな人じゃなくてもいい。」

 一瞬、教室が静まり返る。

「は?」

「どういうこと?」

 神崎は淡々と説明する。

「恋愛感情なんて分からない。」

「だから好きな人を選べと言われても選べない。」

「だったら。」

「俺が一番信頼できると思った相手にする。」

「信頼?」

「ああ。」

「無理をしなくていい。」

「自然に話せる。」

「一緒にいて疲れない。」

「そういう相手。」

 桐生は少し考えてから笑った。

「それも神崎らしいな。」

「じゃあルール追加。」

「理由は何でもいい。」

「一週間以内に告白できたら成功。」

「それでいい。」

 神崎は小さく頷いた。

「分かった。」

「約束する。」

◇

 帰り際。

 昇降口。

 靴を履き替えている神崎へ、桐生が声を掛けた。

「忘れるなよ。」

「今日から一週間。」

「来週の今日までだからな。」

「ああ。」

「期限は守る。」

 神崎はそれだけ言って歩き出した。

◇

 夕暮れの通学路。

 神崎は一人、自転車を押しながら考える。

(一番信頼できる相手……。)

 頭に何人かの顔が浮かぶ。

 桐生。

(男だから違う。)

 中山。

(ライバルだ。)

 朝比奈。

(塾仲間。)

 どれも何か違う。

「まぁ。」

「まだ一週間ある。」

 焦る必要はない。

 神崎にとっては、それくらいの軽い気持ちだった。

◇

 その頃、体育館。

「お疲れさま!」

 ダンス練習が終わり、白石はタオルで汗を拭いていた。

「神崎くん、今日は全部踊れてたね。」

 生田が笑う。

「うん。」

「頑張ってた。」

 白石も嬉しそうに笑う。

 その笑顔の裏で。

 神崎の"一週間"が始まっていることなど、知る由もなかった。

 今日から、一週間。

 その七日間が。

 二人の運命を、大きく変えていく。

ここで第二章終了となります。


ここから1週間、どうなるんでしょうね。

次からは特殊な投稿方法をとるので、順番がおかしくならないよう気をつけてください。ではまた!

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