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君を好きになるのは、一週間だけのはずだった。  作者: 松茸の香料
萌ゆる心

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教え方

 放課後。

 体育館には軽快な音楽が流れていた。

「はい、一度止めまーす!」

 ダンス担当が手を叩く。

「まだ振り付けが怪しい人いるよね。」

 あちこちで苦笑いが起きる。

「じゃあ十分休憩。」

「できる人は近くの人に教えてあげて。」

 その一言で体育館のあちこちに小さなグループができ始めた。

 神崎は一人、振り付け表を見つめていた。

「ここが……。」

「逆か?」

 何度やっても途中で足が止まる。

「神崎くん。」

 後ろから声がした。

 振り返る。

 白石だった。

「まだ分からない?」

「ああ。」

「そこだけ。」

「じゃあ、一緒にやろ。」

 白石は自然に神崎の前へ立った。

「まず足ね。」

「右。」

「次に左。」

 神崎も同じように動く。

「そのあと腕。」

「ああ。」

「そこ。」

「違う違う。」

 白石は思わず笑った。

「神崎くん、腕だけ反対。」

「……本当だ。」

「ふふ。」

 神崎も少しだけ苦笑する。

「難しいな。」

「慣れれば大丈夫。」

 もう一度最初から。

 一歩。

 二歩。

 三歩。

「そう!」

「今の!」

 白石の声が少し弾む。

「あと少し!」

 神崎は何度も繰り返した。

 そして。

 最後まで止まらず踊り切る。

「できた。」

「うん!」

 白石は自分のことのように嬉しくなった。

「ちゃんとできてる!」

 神崎は少し考える。

「……でも。」

「まだぎこちない。」

「じゃあ。」

 白石は神崎の横へ移動した。

「一緒に合わせよ。」

「横で?」

「うん。」

 二人は肩を並べる。

 音楽が流れる。

 白石は横目で神崎を見ながら動きを合わせていく。

「そうそう。」

「そのタイミング。」

 神崎もリズムに乗り始める。

 途中。

 腕を広げる振り付けで。

 コツン。

 二人の腕が軽く触れた。

「……!」

 白石の心臓が一気に跳ねる。

(あっ……。)

 慌てて一歩離れる。

「ご、ごめん!」

「ん?」

 神崎は首をかしげる。

「当たった。」

「ああ。」

「大丈夫。」

 本当に、それだけだった。

 白石は苦笑いする。

(そりゃそうだよね。)

(神崎くんだもん。)

 それでも。

 さっき触れた腕だけが、熱を持っている気がした。

◇

「ちょっと待って。」

 白石は神崎の前へ回る。

「ん?」

「肩。」

「肩?」

「力入りすぎ。」

 神崎は無意識だったらしい。

「そうか。」

「うん。」

「だから固く見えるの。」

 白石は少しためらう。

(触っていいのかな……。)

 一瞬だけ迷った。

 でも。

「少しだけ失礼するね。」

 そう言って、そっと神崎の肩に手を添えた。

 ぽん、と軽く押す。

「ここ。」

「もっと力抜いて。」

 神崎は肩を回してみる。

「こんな感じか。」

「そう!」

「今の方が自然!」

 白石は笑顔になる。

 神崎も何度か動きを確かめる。

「確かに。」

「やりやすい。」

「でしょ?」

 白石は嬉しそうに頷いた。

◇

 少し離れた場所。

 桐生が腕を組む。

「なぁ。」

 隣にいた生田へ小声で話しかける。

「あの二人。」

「距離近くね?」

 生田は笑いをこらえながら答えた。

「やっと気付いた?」

「いや。」

「神崎は気付いてない。」

「……ああ。」

 二人は同時にため息をつく。

「鈍感だなぁ。」

◇

 練習終了。

 帰る準備をしていると、神崎が白石へ声をかけた。

「白石。」

「ん?」

「ありがとう。」

「今日でだいぶ覚えた。」

 白石は少し照れながら笑う。

「本番、ちゃんと踊ってね?」

「ああ。」

「失敗しないようにする。」

 そう言って体育館を出ていく神崎。

 白石はその背中を見送りながら、小さく呟く。

「……頑張って。」

 その言葉は、神崎には届かなかった。

 でも。

 白石にとっては、それだけで十分だった。

文化祭効果っていうんですか?

文化祭で一緒に準備をしていく中で男女が仲良くなって、付き合っていくって言う。

そんな単純なことをこの松茸がすると思いますか? ´д` ; <ハァ

読み進めればわかります。

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