文化祭練習、再開!
ッシャァオラァ
こっから文化祭だぞぉ
みんな気合い入れていくぞー!
考査結果が出て数日。
一年一組には、久しぶりに賑やかな空気が戻っていた。
「やっと終わったー!」
「もう勉強したくねぇ!」
「文化祭楽しみ!」
教室中に笑い声が響く。
担任が黒板を軽く叩いた。
「はい、静かに。」
少しずつ教室が落ち着く。
「テストも終わったので、今日から文化祭準備を再開します。」
その一言で教室が再び盛り上がった。
「よっしゃ!」
「カフェ完成させようぜ!」
「装飾まだ終わってないし!」
神崎は前へ出ると、実行委員として手元の紙を見ながら話し始めた。
「今日は装飾班と接客班に分かれる。」
「ダンス練習は放課後、体育館。」
「終わったら各自片付け。」
簡潔な説明。
それでも自然とクラスは動き始める。
もう誰も神崎の指示に違和感を持たない。
文化祭実行委員として、少しずつクラスの中心になっていた。
◇
「美月ー。」
生田が画用紙を抱えてやって来る。
「こっち手伝って!」
「うん!」
二人は教室の後ろで飾り付けを始めた。
色紙を切り、ガーランドを作り、壁へ貼っていく。
「ねぇ。」
生田が小さく笑う。
「最近さ。」
「ん?」
「神崎くんと話すこと増えたよね。」
白石の手が止まる。
「そ、そうかな?」
「そうだよ。」
「ダンスも教えてたし。」
「テストも。」
「ハイタッチも。」
「……。」
白石の耳が赤くなる。
「もう。」
「からかわないで。」
「ごめんごめん。」
生田は笑いながら両手を上げる。
「でもさ。」
少しだけ真面目な顔になった。
「神崎くん、ちゃんと美月のこと見てると思うよ。」
「……え?」
「だって。」
「頑張ってる人、ちゃんと見てる人じゃん。」
その言葉に、白石は少しだけ神崎の方を見た。
教室の前では、脚立に乗って飾りを取り付けている。
女子の実行委員と高さを確認しながら、黙々と作業を進めていた。
(見てくれてる……。)
そうだったらいいな。
そんな小さな願いが胸に浮かぶ。
◇
「神崎。」
桐生が脚立を押さえながら話しかける。
「白石、二位すごかったな。」
「ああ。」
「お前が言った通りだった。」
「だから言った。」
「努力するやつだから。」
神崎は飾りを付け終えると脚立を降りた。
「はい。」
女子実行委員がテープを差し出す。
「ありがとう。」
神崎は自然に受け取り、次の作業へ向かう。
「ほんと休まないよな。」
桐生が苦笑する。
「文化祭成功させたいだけ。」
それだけだった。
◇
放課後。
体育館。
ダンス練習が始まる。
「前回の続きからねー!」
ダンス部の声が響く。
神崎は列に並ぶ。
その少し前には白石。
音楽が流れ始める。
神崎は前回よりもスムーズに足を動かしていた。
「おっ。」
桐生が驚く。
「うまくなってるじゃん。」
「少しだけ。」
神崎は前を見る。
白石がお手本を踊っている。
(教えてもらったからな。)
ただ、それだけ。
一方。
(ちゃんと踊れてる……。)
白石は心の中で小さく喜んでいた。
教えた通りに動いてくれている。
そのことが、自分のことのように嬉しかった。
◇
練習が終わる。
片付けをしていると、神崎が白石の横を通った。
「白石。」
「え?」
「この前より分かりやすかった。」
「ありがとう。」
「……!」
それだけ言って歩いていく。
白石はしばらく動けなかった。
「また固まってる。」
生田が笑う。
「だ、だって……。」
「褒められた?」
白石は照れ笑いを浮かべる。
「……うん。」
窓の外では、夕日が校舎を赤く染めていた。
文化祭まで、あと二週間。
二人の距離は、ほんの少しだけ。
昨日より近づいていた。
もうすぐ第二章終わります。
文化祭までかなー




