表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君を好きになるのは、一週間だけのはずだった。  作者: 松茸の香料
萌ゆる心

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/56

46,順位表


 期末考査が終わって数日。


 朝から教室はどこか落ち着かなかった。


「今日だよな。」


「順位出るらしい。」


「やだなぁ……。」


 廊下では、他のクラスの生徒までそわそわしている。


 学年順位は、一階の掲示板に張り出される。


 休み時間になると、毎回人だかりができるのが恒例だった。


 一時間目が終わる。


 チャイムが鳴ると同時に、教室を飛び出す生徒が何人もいた。


「見に行こう!」


「神崎、行くぞ!」


 桐生に腕を引かれ、神崎も立ち上がる。


「別に急がなくても……。」


「気になるだろ!」


「……まあ。」


 二人は人混みの中へ向かった。


 掲示板の前はすでに大勢の生徒で埋まっていた。


「見えねぇ!」


「押すなって!」


 桐生は背伸びをしながら順位表を探す。


 神崎は人の隙間から視線を滑らせた。


 一位。


 その名前を見た瞬間、目が止まる。


一位 中山 雫


(……。)


 そのすぐ下。


二位 神崎 悠真


 神崎は静かに順位表を見つめた。


 悔しくないと言えば嘘になる。


 ほんの数点。


 それだけ届かなかった。


(負けたか。)


 不思議と頭は冷静だった。


 次は勝つ。


 それだけだ。


「えっ!?」


 桐生が大きな声を上げる。


「中山が一位!?」


「ああ。」


「珍しいじゃん。」


「今回は向こうが上だった。」


 神崎はそれ以上何も言わなかった。


 順位表から目を離し、何気なく下へ視線を移す。


 そこで、もう一つ見慣れた名前が目に入った。


八位 白石 美月


(……八位。)


 一瞬だけ目を見開く。


 中間考査では三十一位だった。


 二十人以上、一気に順位を上げている。


(すごいな。)


 自然とそう思った。


 少し遅れて、白石と生田たちも掲示板へやって来た。


「緊張する……。」


「大丈夫だって!」


「いや、でも……。」


 白石は恐る恐る順位表を見る。


 上から順番に目で追っていく。


 一位。


 二位。


 三位。


 まだない。


(やっぱり……。)


 そう思った、そのとき。


八位 白石 美月


「……え。」


 思わず声が漏れた。


 もう一度見る。


 間違いない。


 八位だった。


「美月!」


 生田が肩を揺らす。


「一桁じゃん!」


「すごっ!」


「本当だ……。」


 信じられなかった。


 三十一位だった自分が。


 一桁。


 目標だった場所に、少しだけ手が届いた。


 気付けば、目の奥が熱くなっていた。


(頑張って……よかった。)


 教室へ戻る途中。


 廊下で神崎とすれ違う。


「あ。」


 白石が立ち止まる。


「神崎くん。」


「ん。」


 一瞬だけ沈黙が流れる。


 何を話せばいいのか分からない。


 そんな空気を破ったのは神崎だった。


「お前。」


 白石は顔を上げる。


「結構上がったな。」


 その声はいつも通りだった。


 大げさに褒めるわけでもない。


 驚いたような口調でもない。


 ただ、事実をそのまま伝えるような一言。


 それでも。


 その一言が、白石には何より嬉しかった。


「……うん。」


 自然と笑みがこぼれる。


「ありがとう。」


「別に。」


 神崎は照れくさそうに視線を逸らした。


「頑張ったんだろ。」


「……うん。」


 短いやり取りだった。


 それだけで十分だった。


 神崎はそのまま教室へ戻っていく。


 白石はその背中を見送りながら、小さく拳を握った。


(もっと頑張ろう。)


(次は、もっと近づきたい。)


 学年一位ではなく。


 好きな人の隣に立てるくらいまで。


 その目標が、白石の中ではっきりと形になった瞬間だった。

神崎くん、次頑張らないとですね。


最近閲覧数がめっちゃ増えてます。みなさん読んでくださりありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ