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君を好きになるのは、一週間だけのはずだった。  作者: 松茸の香料
萌ゆる心

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41/53

41,数学の時間

日常回。最近は短めが多いです。

 五時間目、数学。


 窓の外では蝉が鳴き始めていた。


「今日は『場合の数』の応用問題をやる。」


 先生が黒板にチョークを走らせる。


 教室も少し静かになる。


 書かれた問題はこうだった。


40人の生徒が横一列に並んで写真を撮る。


AさんとBさんが隣り合う確率を求めよ。


「これは少し難しいぞ。」


「模試でも出るレベルだ。」


 教室から小さなどよめきが起きる。


「……え、これ無理。」


「40!って何?」


「数字がでかすぎる……。」


 先生は教室を見渡した。


「じゃあ、神崎。」


「はい。」


 神崎は立ち上がり、黒板へ向かう。


 迷いなくチョークを持ち、最初に書いたのは数字ではなかった。


AとBを一つのまとまりとして考える。


「まず、AさんとBさんを一つのグループとして考えます。」


「そうすると、全部で三十九個を並べることになるので……」


 神崎は淡々と式を書き進める。


39!×2


「全部の並び方は四十階乗。」


40!


「したがって。」


40!

39!×2



=

20

1




「答えは二十分の一です。」


 先生は満足そうにうなずいた。


「正解。」


「ポイントは"まとまりとして考える"ことだ。」


「こういう発想ができるようになると、一気に解ける問題が増える。」


 神崎は軽く会釈をして席へ戻った。


 休み時間。


 教室は一気に騒がしくなる。


 白石はノートを見つめたまま、ペンを止めていた。


(考え方は分かったけど……。)


(どうして"一つ"にするって思いつくんだろう。)


 その様子に気付いた生田が笑う。


「聞いてくれば?」


「え?」


「神崎くん。」


「で、でも……。」


「今なら暇そうだよ。」


 神崎は参考書を開いているだけだった。


 白石は少しだけ深呼吸をして立ち上がる。


「あの……神崎くん。」


「ん?」


「さっきの問題なんだけど。」


「ここ。」


 ノートを差し出す。


「どうして最初に『一つのまとまり』って考えたの?」


 神崎はノートを見て、小さくうなずいた。


「ああ。」


「こういう問題は、『数えるのが面倒な条件』を一つにすると考えやすい。」


「隣っていう条件があるから?」


「そう。」


「最初から思いつく必要はない。」


 白石は真剣に聞いている。


「何回も解いてると、『あ、この形か』って分かるようになる。」


「……。」


「だから。」


 神崎はノートを返した。


「お前ならできる。」


 その一言に、白石は一瞬だけ目を丸くした。


「……うん。」


 小さく笑ってうなずく。


「ありがとう。」


「別に。」


 神崎はまた参考書へ視線を戻した。


 白石は席へ戻りながら、胸の奥が少しだけ温かくなるのを感じていた。


 "お前ならできる。"


 その言葉を、何度も心の中で繰り返しながら。

どうやって夏休みにつなげようか悩んでたとこ。

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