40,ガールズトークと男子
第二章開幕!これからも頑張っていきます。
昼休み。
教室のあちこちで机を寄せ合い、昼食を広げる生徒たち。
「神崎、購買行こうぜ。」
桐生に声をかけられ、神崎はパンを机に置いたまま立ち上がる。
「……別にいいけど。」
二人が教室を出ていく。
それを見送った生田結菜が、にやりと笑った。
「……よし。」
その一言に、白石は嫌な予感しかしなかった。
「美月。」
「な、なに?」
「席、近くなったね。」
白石の動きがぴたりと止まる。
「えっと……うん。」
「嬉しい?」
「えっ!?」
声が少し裏返る。
向かいに座っていた佐倉陽菜が吹き出した。
「分かりやす。」
「顔赤いよ?」
東雲琴葉まで笑っている。
「ち、違うから!」
「何が?」
「その……!」
言葉が続かない。
生田は頬杖をつきながら、楽しそうに白石を見つめた。
「神崎くんと話しやすくなったでしょ?」
白石は少しだけ考えてから、小さくうなずく。
「……前よりは。」
「ほら。」
「でも、話す内容なんてプリントとか宿題とか、そのくらいだよ?」
「それでも十分じゃん。」
生田が笑う。
「最初なんて、ほとんど話してなかったんだから。」
その言葉に、白石も小さく笑った。
確かにそうだった。
四月の頃は、話しかけるだけで緊張していた。
今は自然に「おはよう」と言える。
それだけでも、大きな進歩だった。
佐倉がふと口を開く。
「ねぇ、美月。」
「ん?」
「もし神崎くんから告白されたら?」
「……え?」
空気が一瞬止まる。
「えぇぇ!?」
白石は思わず大きな声を出してしまった。
「む、無理無理!」
「何が無理なの?」
「そんなことあるわけないよ!」
「例えばの話。」
「例えばでも!」
顔は真っ赤。
眼鏡の奥の目は完全に泳いでいた。
三人は顔を見合わせる。
そして。
「かわいい。」
三人の声が重なった。
「もう!」
白石は両手で顔を隠した。
少しして、生田が優しく聞く。
「じゃあさ。」
「……うん。」
「美月は告白しないの?」
その問いに、白石の笑顔が少しだけ静かになる。
「……できない。」
ぽつり、と。
本音がこぼれた。
「どうして?」
「もし……」
白石は自分の机を見つめる。
「もし、断られたら。」
少し間を置いて、続ける。
「今みたいに話せなくなるかもしれない。」
三人とも黙った。
「せっかく少しずつ仲良くなれたのに、それまでなくなっちゃったら……嫌だから。」
教室の喧騒だけが聞こえる。
生田はゆっくりとうなずいた。
「そっか。」
「……うん。」
「じゃあ、今はこのままでいい?」
「うん。」
白石は微笑む。
「神崎くんと普通に話せるだけで、十分幸せだから。」
その笑顔は、どこか切なくて。
三人とも、それ以上は何も言えなかった。
そのとき。
ガラッ。
教室のドアが開く。
「暑かったー!」
桐生の声が響き、その後ろから神崎が入ってくる。
女子四人はぴたりと会話を止めた。
神崎はその様子を見て首をかしげる。
「……?」
「な、なんでもないよ?」
生田が笑顔で言う。
「そうか。」
神崎はそれ以上気にすることなく席へ戻る。
白石はまだ少しだけ頬が赤かった。
神崎は気付かない。
その赤くなった理由も。
さっきまで自分の話をしていたことも。
もちろん。
白石が、自分に恋をしていることも。
まだ、このときの神崎は知らないのだから。
その他作品の投稿も再開しているので、確認してください。




