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君を好きになるのは、一週間だけのはずだった。  作者: 松茸の香料
萌ゆる心

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39/49

39,二回目の席替え

席替え二回目です。今回はくじでやります。ベターですねー

 期末考査が終わった翌週。


 蒸し暑い空気の中、担任が教室へ入ってくるなり言った。


「よし、今日は席替えをするぞ」


 その一言で教室中が一気にざわつく。


「やった!」


「窓側がいい!」


「一番後ろ来い!」


 あちこちで歓声が上がる。


 そんな中、神崎悠真だけは教科書を閉じて静かに前を向いていた。


(……どこでもいい。)


 席なんて授業を受ける場所だ。


 特に希望もない。


 一方、白石美月は胸の前でそっと手を合わせていた。


(せめて……近くだったらいいな。)


 隣じゃなくてもいい。


 話しかけやすい距離なら、それだけで十分だった。


「順番にくじ引いていけー」


 前から一人ずつ教卓へ向かう。


 神崎は淡々と紙を開いた。


(……真ん中か。)


 そのまま新しい席へ向かう。


 荷物を置いたところで、隣から声がした。


「神崎くん、よろしく!」


 振り向くと、生田結菜が笑っていた。


「ああ、よろしく。」


 短い返事。


「相変わらず短いなぁ。」


「そうか?」


「うん。」


 生田は苦笑しながら荷物を机へしまう。


(美月はどこかな。)


 何気なく教室を見回す。


 すると、


「あっ。」


 思わず小さく声が漏れた。


 自分の真後ろ。


 そこへ白石が机を運んできていた。


 白石も席を確認すると、一瞬だけ目を丸くする。


(結菜ちゃんの後ろ……。)


 そして視線を少し前へ向ける。


 神崎の横顔が見えた。


(近い。)


 それだけで、少し嬉しい。


 生田は白石と目が合うと、誰にも気付かれないように小さく親指を立てた。


 白石は照れたように笑って、小さくうなずく。


 そのやり取りには神崎は気付かない。


 机の中を整理しながら、ぼそりと言う。


「この辺、静かそうでいいな。」


「え?」


 生田が聞き返す。


「いや、前の席より落ち着いてる。」


「あー、それはあるかも。」


 その会話を聞きながら、白石は少しだけ頬を緩めた。


(神崎くんの近くだ……。)


 それだけで十分だった。


---


 昼休み。


 生田がくるりと後ろを向く。


「美月。」


「なに?」


「近くなったね。」


 その一言で白石は少し照れたように笑う。


「……うん。」


「これなら話しかけやすいじゃん。」


「でも、授業中は迷惑だから……。」


「真面目だなぁ。」


 生田は笑う。


「でもさ。」


 少しだけ声を潜める。


「チャンスは増えたよ。」


 白石は何も言えず、小さくうつむいた。


 その様子を見て、生田は確信する。


(やっぱり、美月は神崎くんのことが本当に好きなんだ。)


 だからこそ、少しだけ応援したくなる。


 ほんの少しだけ、二人の距離を縮める手伝いをしたい。


 そんなことを思っていると、


「生田。」


 前から神崎が振り返る。


「ん?」


「このプリント、後ろにも回しといて。」


「あ、はーい。」


 生田はプリントを受け取ると、そのまま後ろへ渡した。


「美月。」


「あ、ありがとう。」


 白石はプリントを受け取り、一瞬だけ神崎の背中を見る。


 ほんの少し近くなった距離。


 それだけで、胸の奥が少し温かくなった。


 神崎はそんなことには気付かない。


 窓の外に目を向けながら、夏の青空をぼんやりと眺めていた。


 その席替えが、この先の日常を少しずつ変えていくことを、このときの二人はまだ知らなかった。


これからはこの席でやっていきます。頑張りましょう白石さん

にしても神崎鈍感すぎる。早く気付けよ・・・


閲覧数1000回超えてました。ありがとうございます!


今日から夏休みに入るところ多いですよね。閲覧層を増やすために8月末まで10時投稿にします。

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