38,報告
息抜き。かなり短めです。
夜。
夕食を食べ終え、二人で食器を洗っていると、不意に春乃が口を開いた。
「で?」
「……何が?」
「今日、なんかいいことあったでしょ。」
白石の手がぴたりと止まる。
「え?」
「帰ってきてからずっと顔が緩んでる。」
「そんなことないよ。」
「あるある。」
春乃は笑いながら皿を拭く。
「美月って分かりやすいもん。」
白石は観念したように、小さくため息をついた。
「……実は。」
「うん。」
「今日ね……神崎くんと、相合傘したの。」
〜数秒の沈黙〜
「えぇぇぇぇっ!?」
春乃の声が家中に響いた。
「しーっ!」
白石は慌てて人差し指を口に当てる。
「お母さんに聞こえる!」
「あ、ごめんごめん。」
そう言いながらも、春乃はにやにやが止まらない。
「で?で?」
「何があったの?」
白石は少し照れながら、今日の出来事を話し始めた。
傘を返すことばかり考えて、自分の傘を忘れたこと。
神崎くんも、返してもらった傘を使うつもりで自分の傘を持ってきていなかったこと。
急に雨が降ってしまったこと。
そして。
「『……傘、入るか。』って。」
春乃は口元を押さえる。
「きゃー……青春。」
「お姉ちゃん。」
「ごめんごめん。」
でも、顔はずっと嬉しそうだった。
「それで?」
「相合傘したの?」
「……うん。」
白石は小さく頷く。
「駅まで。」
「どうだった?」
その質問に、白石は少し考えてから笑った。
「すごく嬉しかった。」
その一言に嘘はない。
「でもね。」
少しだけ表情が曇る。
「ちょっと後悔してることがあるの。」
「後悔?」
「うん。」
白石は自分の眼鏡にそっと触れた。
「雨で眼鏡が濡れちゃって。」
「うん。」
「神崎くんの顔……ほとんど見えなかったの。」
春乃はきょとんとした。
「え?」
「恥ずかしくて、もともとあんまり顔見られなかったし……。」
白石は苦笑する。
「眼鏡に雨粒がいっぱい付いちゃって。」
「だから。」
「どんな顔して歩いてたのか、全然分からなかった。」
春乃は数秒黙る。
そして、小さく笑った。
「美月らしい。」
「そうかな。」
「うん。」
好きな人と相合傘をしたのに。
一番見たかった相手の表情を見逃してしまう。
そんなところまで、この子らしい。
春乃はそう思った。
「でもさ。」
「うん?」
「次があるよ。」
「え?」
「今度はちゃんと見ればいい。」
その言葉に、白石は少しだけ照れたように笑う。
「……そんな機会、あるかな。」
「あるある。」
春乃は自信満々に頷いた。
「だって、美月。」
「恋してる顔してるもん。」
白石は顔を真っ赤にして、
「もう、お姉ちゃん!」
と小さく抗議するのだった。
次は二回目の席替えです。しかもくじです。
いやだな〜
席替えさせたくない。
ーーーーーーーお知らせーーーーーーーー
これで第一章は終わりとなります。(どういう終わり方やねんっつってね)
次からはまた新しい白石の恋愛が続いていきます。
また、それに伴い一週間ほどお休みをもらおうと思っています。
作品の設定をもう一度練り直すなどする予定です。これ以外の連載しているものも一時停止させようと思っているので注意(?)してください。
合計PV 1000突破⁉︎ やったー




