32,立候補者なし
僕がめっちゃ苦戦していた文化祭に向かって進み始めます。
六月の終わり。窓の外では、夏を待ちきれないような日差しが校庭を照らしていた。
六時間目のホームルーム。
担任が教卓を軽く叩く。
「はい、静かに。」
ざわついていた教室が少しずつ落ち着いていく。
「今日は文化祭実行委員を決めるぞ。」
その言葉に、教室の空気が目に見えて重くなった。
「えー……。」
「もうそんな時期?」
「まだ六月だぞ。」
あちこちから不満の声が上がる。
白石美月も少し驚いていた。
文化祭なんて、もっと先の話だと思っていたからだ。
「夏休み明けから準備が始まる。だから今のうちに決める。」
担任は黒板に大きく書く。
文化祭実行委員。
男子一名、女子一名。
「じゃあ、立候補。」
静かだった。
誰も手を挙げない。
予想していたのか、担任も特に驚かない。
「推薦でもいいぞ。」
その瞬間。
「神崎。」
教室の後ろから声が飛んだ。
「あー。」
「確かに。」
「神崎だな。」
一気に賛同の声が広がる。
神崎悠真は窓際の席で顔を上げた。
「嫌だ。」
即答だった。
教室中が笑う。
「早っ。」
「まだ説明終わってないぞ。」
「聞く必要ない。」
「なんでだよ。」
「面倒だから。」
また笑いが起きる。
神崎は本気で嫌そうだった。
「向いてそうなのにな。」
「向いててもやりたくない。」
「正論。」
男子たちが頷く。
担任も苦笑していた。
「他には?」
しかし誰も手を挙げない。
女子側も同じだった。
「じゃあ来週までに考えとけ。」
結局、その日は何も決まらないままホームルームが終わった。
◇◇◇
放課後。
教室にはまだ何人か残っていた。
「神崎、やればいいじゃん。」
鞄をまとめながら男子が言う。
「嫌。」
「即答二回目。」
「だって絶対忙しいだろ。」
「まあな。」
「だから嫌。」
「筋は通ってる。」
周囲から笑い声が上がる。
「でも、お前結局頼まれたらやるじゃん。」
別の男子が口を挟んだ。
一瞬だけ神崎が黙る。
「別に。」
「否定になってねえ。」
「図星だ。」
「体育祭の時も結局手伝ってたし。」
「質問されたらちゃんと教えるしな。」
「頼まれると弱いタイプ。」
神崎は面倒そうに眉をひそめた。
「勝手に言ってろ。」
そう言いながらも、強く否定はしない。
それがまた面白くて、周囲は笑う。
◇◇◇
白石は自分の席でその様子を眺めていた。
確かにその通りかもしれない。
神崎は面倒くさがりだ。
自分から何かを引き受けるタイプではない。
でも。
頼られると放っておけない。
体育祭の時もそうだった。
昼休みの質問も。
授業中のペアワークも。
本人は嫌そうな顔をしていても、結局ちゃんとやる。
そういう人だ。
「白石さん。」
声をかけられて振り向く。
弓道部の友人だった。
「部活行こう。」
「あ、うん。」
慌てて鞄を持つ。
教室を出る直前。
ふと神崎の方を見る。
「だからやらないって。」
「絶対やる。」
「賭ける?」
「賭ける。」
男子たちに囲まれながら、神崎が本気で嫌そうな顔をしていた。
白石は思わず吹き出しそうになる。
たぶん本人は気づいていない。
そういうところが、少しだけ面白いのだ。
◇◇◇
廊下に出る。
友人と並んで歩きながら、白石は何となく教室の方を振り返った。
文化祭。
まだ先の話。
けれど、きっとあっという間にやって来る。
その時、自分は何をしているだろう。
弓道部の仕事。
クラスの出し物。
勉強。
考えることはたくさんある。
でも不思議と嫌ではなかった。
夏が近づいている。
そんな気配が、少しだけ胸を高鳴らせていた。
これが伏線になるかもしれないですね。
そんなこと言ったらダメか
追伸?
「限界突破したリア充」が現れた場合、私たちが取れる生存戦略(対処法)は3つあります。その場の状況に合わせて使い分けてみてください。
リア充被爆から身を守る3つの対策
1. 無心(賢者モード)になる
視界をぼかす。
心の中で般若心経を唱える。
「彼らは今、異次元の言語で喋っている」と思い込む。
2. 物理的に距離を置く
スマホを見る。
イヤホンで音楽を爆音で聴く
「急用を思い出した」と告げてその場を去る。
3. 生暖かい目で見守る(神の視点)
「若いな、今のうちにたくさん楽しんでおきなさい」と心の中でつぶやく。
少女漫画の無料体験版を読んでいると思い込む。




