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君を好きになるのは、一週間だけのはずだった。  作者: 松茸の香料
第一章 青に染まるまで

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19/31

19,止まった放課後

こっから十話です。鬼畜、書くのが辛いよー

 六月も半ばに差しかかり、教室の空気は少しずつ変わり始めていた。


 朝のホームルーム。


 担任は出席簿を閉じると、教卓の上の紙を持ち上げた。


「はい、静かに。来週から一学期中間考査が始まる。今から範囲表を配るから、なくさないようにな。」


 教室のあちこちから悲鳴にも似た声が上がる。


「うわ、もう?」


「まだ六月だぞ?」


「終わった……。」


「いや、始まってもないだろ。」


 笑い混じりのやり取りが飛び交う中、範囲表が前から後ろへと回されていく。


 白石美月も受け取った紙に目を落とした。


 国語、数学、英語、理科、社会。


 思っていた以上に広い範囲に、小さく息を吐く。


「多くない?」


 前の席の女子が振り返る。


「ね……。」


 白石は苦笑した。


 その時だった。


 隣で紙の端を折る音がした。


 ちらりと横を見る。


 神崎悠真は、すでに範囲表を確認し終えていた。


 筆箱からシャープペンシルを取り出し、余白に何かを書き込んでいる。


 数学。


 英単語。


 理科。


 日付ごとに、小さな文字で予定を分けていた。


(……予定表?)


 迷いがない。


 当たり前のように、一週間を逆算していく。


「神崎。」


 後ろから桐生が身を乗り出した。


「お前、もう勉強始めるの?」


「始めるだろ。」


「まだ一週間あるじゃん。」


「一週間しかない。」


「うわ。」


 桐生は顔をしかめた。


「そういうやつが上位取るんだよなあ。」


「桐生は?」


「前日に頑張る。」


「終わりだな。」


「ひど。」


 男子たちの笑い声が広がる。


 神崎は少しだけ口元を緩めただけで、また範囲表へ視線を落とした。


 白石は、その横顔を見つめる。


(ちゃんと、やってるんだ。)


 頭がいいから。


 なんとなくできるから。


 そんな人じゃない。


 積み重ねているからこそ、今の位置にいる。


 そんな当たり前のことに、今さら気づいた気がした。


◇◇◇


「それと。」


 担任はプリントを机に置いた。


「今日から部活動停止期間に入る。考査一週間前だからな。運動部も文化部も活動なし。放課後はしっかり勉強しろ。」


 一瞬の静寂。


 そして。


「やったー!」


「いや、全然やってない!」


「部活ないの暇だな。」


「卓球したかった……。」


 教室は再び騒がしくなる。


 白石は小さく瞬きをした。


(部活、ないんだ。)


 放課後になれば弓道場へ向かう。


 それが日常だった。


 姉や先輩たちと弓を引いて、汗を流して、帰る。


 その流れが、一週間だけ止まる。


 少しだけ落ち着かない。


 ふと隣を見る。


 神崎は特に変わった様子もなく、範囲表をファイルにしまっていた。


(どうするんだろ。)


 家で勉強するのか。


 どこかに行くのか。


(……いや、関係ないか。)


 白石は慌てて首を振った。


◇◇◇


 放課後。


 いつもなら、


「急げ!」


「部活遅れる!」


 と慌ただしくなる教室も、今日はどこか静かだった。


「また明日ー。」


「勉強しろよー。」


「お前もな。」


 少しずつ席が空いていく。


 白石は鞄を持ったまま立ち尽くした。


(家だと、集中できないんだよね……。)


 テレビの音。


 冷蔵庫を開ける音。


 つい漫画に手が伸びる自分。


 ふと、頭に浮かんだ。


(図書館……。)


 静かで。


 参考書もあって。


 勉強している人もいる。


(たまには、いいかも。)


 そう決めて、白石は昇降口へ向かった。


◇◇◇


 図書館の自動ドアが静かに開く。


 ひんやりとした冷房の空気。


 本の匂い。


 受付で本を借りる人の小さな声。


 勉強スペースには、制服姿の高校生や参考書を広げた大学受験生が座っていた。


(空いてる席……。)


 白石は辺りを見回した。


 窓際の席。


 中央の長机。


 奥の仕切り席。


 その時だった。


「……白石?」



ほんとに手が死にそう。ちなみに今僕が書いているのは文化祭です。

書くこと多い。体育祭より大変だぞ!



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