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怪盗少女ビヨンド   作者: Melon
第4章 暴走

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継ぐ者

 ビヨンドたちはフェルノアの救助に向かい、学園へと戻ってきた。

 フェルノアを医務室のベッドに寝かせ、自分たちも眠ることにした。


 そして、時間が過ぎていき、夜になった。

 輝きを失った疾風の靴は、いつの間にか力を取り戻しており、いつも通り使用できそうであった。

 教室から出て食堂に向かっていると、学園長室に呼び出さていると教師に伝えられ、急いで向かった。



 学園長室の扉を開けると、ランディ、レパール、クレナイ、ラッティ、テペアが待っていた。


「皆さん、揃いましたわね」


 学園長が椅子から立ち上がる。


「話は聞きましたわ! 本当に、よく頑張りましたわね!」


 学園長は涙を流しながら、全員に拍手を送っていた。


「本当に......。本当に.......。ぐすっ......!」


「ほーら。泣かないで、学園長」


 ラッティが学園長の肩を軽く叩き、優しく声を掛ける。


「うぅ......。ありがとうございます。ラッティさん......」


「そうですよ学園長。リーダーであるあなたが泣いていたら、皆が驚いてしまいますよ」


「テペア。どれだけ私に優しくしようと、あなたは反省室行き確定です。覚悟していなさい」


 学園長の涙が突如止まり、テペアを睨みつける。


「おぅ......」


 テペアは落ち込み、学園長から距離を取った。


「それに、ビヨンドさん。あなたは本来の任務も成功させ、巨人にも立ち向かったそうですわね? やはり、貴方にこそ相応しいですわ」


 学園長はビヨンドの目の前まで歩み寄る。


「ビヨンドさん。今日から貴方を、キラーナが抜けた穴を一時的に埋める、仮の四天王として任命します」


「えー!」


 ビヨンドよりも先に、ランディが驚いた。


「ど、どうしてビヨンドちゃんが!?」


「あいつ、今回の件でも活躍したし、ルーフにも勝ったし、無駄に活躍してるのよ」


「ほ、本当!? ルーフさんって、ビヨンドちゃんと昔闘った......! というか、勝ったの!?」


「ランディさんが学園を離れている間に、命懸けで闘い、戦宝を奪い取ったのですよ」


 クレナイが、ビヨンドが背負っている弓を指差す。


「す、すごーい!」


 ランディは大はしゃぎし、ビヨンドに駆け寄る。

 そして、ビヨンドの手を握り、上下にブンブンと振る。


「あ、そうだ......。あの......。学園長......」


 二人が喜んでいる隣で、ラッティが話しかける。


「ん? どうしたんですの? ラッティさん」


「実は......。私、四天王を辞めようと思っていて......。だから、私の部下をビヨンドちゃんに......」


「えー!!」


 学園長は驚き、腰を抜かしてしまった。


「わっ! 大丈夫!?」


「だ、大丈夫に見えますか!? 何を言ってるんですか!」


「......私はさ。妹を探すために怪盗になったんだけどさ。四天王の仕事と、妹探し、ビヨンドちゃんたちの指導となると、どうしても手が回らなくてさ......。だから、私の部下から一人選出して、その子を四天王に......」


「何言ってるんだ......お前は......」


 突然、男の声が聞こえ、それと同時にラッティは頭を叩かれた。


「痛い!」


「フェ、フェルノア!?」


 そこに立っていたのは、全身が包帯で巻かれたフェルノアだった。


「お、お体は大丈夫なんですの!?」


「ダメだが、重要そうな話をしそうだと思ってな......。顔だけでも出しておこうと......。痛ててててて......」


 フェルノアは杖を手放し、倒れてしまった。


「フェルノアさん!」


 ビヨンドはすぐさま駆け寄り、フェルノアの様子を確認する。


「と、取り合えずそこのソファに寝かせましょう!」


 ラッティがフェルノアを抱え、ソファに寝かせる。


「クソ......」


「フェルノア、怪我してるんだから、安静にしてな」


「お前の話を聞いて、尚更安静にしていられなくなった......! お前、四天王を辞めるって......!」


「......本気だよ。サボってばかりの私よりも、優秀な子を代わりにした方がいいでしょ。それに、私の指導が無くても、この子たちは成長していける。......みんなの日々の特訓を見て、思ったんだ」


「お前......!」


「......それじゃ。そういうことなので......」


 ラッティは学園長を見つめ、そう言った。


「ま、待ってください!」


 ビヨンドは、ラッティと学園長の間に割って入る。


「ビヨンドちゃん......?」


「私、ラッティさんと一緒に、四天王として一緒に仕事をしたいです!」


「ごめんね、ビヨンドちゃん。実は、ずっと前から決めてたことなんだ......」


「そんな......。......だったら!」


 ビヨンドは傘を構え、先端をラッティに向ける。


「ラッティさん! 私と闘ってください! ラッティさんが負けたら、四天王を続けてもらいます!」


「......本気? 私に挑むだなんて......」


 ラッティは距離を取り、ポケットから本を取り出す。


「それは、召喚の書......!」


「おい! ラッティ!」


「......私は本気だよ。ビヨンドちゃんがそんなことを言うなら、私は容赦しない」


 ラッティはページをパラパラとめくり、とあるページで手を止めた。


「破砕しつくす鉄槌。ここに召喚......」


「やめろ! ラッティ!」


 しかし、ラッティは止まらなかった。


「私の行動を制限するなら、ビヨンドちゃんだろうと、容赦なく......! 潰れろ!」


 ラッティはページを指で挟み、腕を勢いよく振り上げた。


「っ......!」


 警戒するビヨンド。

 しかし、何も起こることはなかった。


「......なーんてね。ビヨンドちゃんに、そんなことするわけないでしょ」


 ラッティの真剣な顔から一転、いつも通りの表情に戻った。


「クソ......! 驚かせやがって......」


「でも、ビヨンドちゃんが私に歯向かってくるだなんて、驚いちゃったなぁ。そこまでして、私に四天王を続けて欲しかったんだ」


「だって、せっかくラッティさんと同じ立場になって、身近で仕事できると思ったのに、辞めちゃうなんて......」


「......そう。学園長ー、さっきの取り消し! 一旦忘れてー!」


「え? え、えぇ......」


「それと、ビヨンドちゃん。私を相手にしても、怯まずに、どっしりと構えていたね。......やっぱり、ビヨンドちゃんは凄いね。うん、四天王にピッタリだよ」


 ラッティは、ビヨンドの肩に手を置く。


「一緒に頑張ろうね」


 ビヨンドの耳元でそう言い、ラッティは離れる。


「......じゃ、ということで、私はいつも通り妹探しをしてくるね。じゃあねー」


 ラッティはそう言い残し、学園長室から出ていった。


「......ビヨンドさん。ありがとうございます。ラッティさんを引き留めていただいて......。


「......いえいえ。私だって、辞められるのが嫌だったので」


「そう、ですか。......それじゃあ、ラッティさんのことは解決したということで、話を戻しますね。ビヨンドさん。まだ仮の四天王ではありますけど、頑張ってくださいね」


「はい!」


 こうしてビヨンドは、仮ではあるが、学生の身でありながら四天王の一員となった。

 これは、学園初の出来事として、記録に残されるのだった。

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