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怪盗少女ビヨンド   作者: Melon
第4章 暴走

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憧れ

 ビヨンドが仮の四天王になった次の日。

 学園は大騒ぎになっていた。


 眠い目を擦り、ビヨンドはベッドから起きる。


「なんなのよ......。人がぐっすり眠って居るってのに......」


 ビヨンドは制服に着替え、自室を出る。


「わっ......! な、何よこれ......」


 廊下に出ると、生徒たちが荷物を持ち、急いで走っていた。


「ビ、ビヨンドちゃーん! 大変だよー!」


 生徒たちの奥に、ランディが立っていた。

 ビヨンドは走っている生徒たちの間を通り抜け、ランディに近づく。


「ランディ、これってどういう状況?」


「大変なんだよ! さっき、この学園に予告状が届いて......!」


「予告状?」


「とにかく、ビヨンドちゃんを呼んで来いって言われてて......! 早く学園長室に行こう!」


 ランディはビヨンドの手を握り、学園長室へ向かって走りだした。




「学園長! ビヨンドちゃんを連れてきました!」


 学園長室に入ると、学園長、ラッティ、テペアが話合っていた。


「ビヨンドちゃん! これ見て!」


 ラッティに言われ、小さな紙に書かれている内容を確認する。


「半月後の早朝、最強の怪盗の証であり、四天王の証でもある【ルキのペンダント】。そして、学園に所属する全員の命を頂く。怪盗ラヴァ、ルーフ、ノーティー、グラディー、シェド......!」


「今朝、学生の子がこれを拾ってらしくてね。すぐに話が広がって、みんなパニックになっちまったんだよ」


「それで、あんなに騒がしかったんですね」


「ふーん......。ラヴァ、ルーフに加えて、あと三人も......」


 腕を組みながら、じっくりと考えるラッティ。


「なぁラッティ。私はルーフ以外は全く知らないんだが、知ってるかい?」


「ラヴァは知ってるけど、聞いたことないなぁ......。今、必死に思い出してみたんだけど、サッパリ......」


「私も知りませんわ......」


「となると、こいつらは名無しか、名を潜めている手練れ、ってことかい......? でも、怪盗なんだろ? 怪盗である以上、名前は広がっているはずだけど......」


「ちなみになんですけど、あのペンダントって、ルキのペンダントって名前なんですか?」


「いや、私は聞いたことないけど......? 学園長、このネックレスって、ルキのペンダントなの?」


 ラッティはペンダントを胸元から取り出し、学園長に質問する。


「いえ、私も知らないですわ......。このペンダントに、初代学園長の名が付いているなんて......。って、そんなことより! とにかく、これは学園のピンチですわ! ラッティとテペアは、自身の部下に指示を! ビヨンドさんは、学生たちの中から、戦いに参加してくれそうな方を集めてください! 必ず、学園を守りますわよ!」


「わ、分かりました!」


「ビヨンドちゃん! 私も手伝うよ!」


「ありがとう、ランディ!」


「それじゃ、みなさん。頼みましたわよ!」


 ビヨンドはランディと共に、学園長室を出た。



 ランディはレパールとクレナイにも声を掛け、戦えそうな生徒を募った。

 しかし、生徒たちは怖気づいてしまい、集められたのは、およそ二十人ほどだった。


 他の生徒たちは学園から逃げてしまい、行方を晦ましてしまった。



 そんな状態で、半月後の早朝を迎えてしまった。



「そろそろ日が昇る時間、ですね......」


 戦う意志がある者たちは、訓練場に集まっていた。


「フェルノアさん。体は大丈夫なんですか?」


「大丈夫じゃないが......。戦わざるを得ないだろ......? 俺は後方から支援する。ビヨンド、頼んだぞ......」


 ビヨンドとフェルノアが会話していると、ガラガラという何かが崩れる音が聞こえた。

 その音は、だんだんと訓練場へと近づいてくる。


「みなさん。戦う準備を!」


 学園長の指示で、ビヨンドたちは武器を構える。

 音はだんだんと近づいていき、ついに、訓練場の扉が崩れ落ちた。


「くっ......!」


 砂煙が、ビヨンドたちを包み込む。

 腕で目を守りつつ、何とか前を向き続ける。


「おぉ! 沢山いるじゃねぇか!」


 野太い男の声が、砂煙の向こうから聞こえる。


「そう、ですね......」


「ふふっ。そうだね」


 そして、聞き覚えがある声も。


「ラヴァ! ルーフ!」


 砂煙が晴れる。

 そこには、複数人の怪盗が立っていた。


 鎧を従えた、ラヴァ。

 ビヨンドが闘った、ルーフ。


 巨大な槍を持ち、浮遊する盾と槍に守られた大男。

 暗殺者のような見た目である少女。


 そして、その四人が訓練場の扉の前から移動すると、見覚えのある女性が姿を現した。


「っ......! 嘘......でしょ......?」


 その女性を見て、ビヨンドは言葉を失った。


 ビヨンドだけではない。

 四天王も、その部下も、学園長も、その女性を知る者全員が言葉を失った。


「久しいな。貴様ら」


 歪な形状をした剣を持ち、黒いドレスを身にまとった、薄紫の髪の女性が髪をかき上げる。


「なんで......! どうして、貴方が......!」


「私がこいつらのボス、キラーナだ。お前たちを全員殺し、ペンダントは頂く......!」


 ビヨンドたちの目の前に立っていたのは、ビヨンドの憧れの怪盗、煌きの怪盗キラーナだった。

 第4章 END

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