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怪盗少女ビヨンド   作者: Melon
第4章 暴走

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目覚め

 内部の警備は薄く、どんどんと奥へ進んでいく。


「全然兵士が居ないですね......」


「これだと、対した情報が無いかもな......。一応、調査は続けるが......」


 二人はコソコソと話ながら進んでいき、中央の石造りの建物へと辿り着いた。

 フェルノアは歩みを止め、手の平をビヨンドの目の前に出し、止まるよう指示する。


「兵士が居る。何か話しをしているみたいだ......」


 ビヨンドとフェルノアは耳を澄まし、兵士の会話を盗み聞きすることにした。


「......そういえば、グレイブ国の奴らが行方不明になって、数日が経過したな......」


「山賊にでも襲われたんじゃないか?」


「学者みたいなひ弱な男と、頼り無い若者、それに、馬車の運転手。山賊に襲われても負けそうだもんな」


「......でもよ。一応、潜入目的で行方を眩ました可能性も考慮して、各地に徴兵してるんだろ? 俺たちも行くことになるのかな......」


「嫌だな......。この砦の警備ですら嫌なのに、森で野宿するなんて......」


 兵士たちの会話を、ビヨンドとフェルノアはしっかしと聞き取った。


「なるほどな......。エリュー軍が活発に動いてたのは、グレイブ国の奴らを探していたからなのか......」


「......グレイブ国って、この辺の国じゃないですよね?」


「ああ。ここから二つ国を挟んだところにある。だが、その二つの国は、グレイブの属国だ。だから、実質は隣みたいなもんだ。エリューに攻めようと思えば、簡単に進軍できる」


「ふーん......」


「......エリュー軍の動きが怪しいと聞いたからわざわざ忍び込んだが、対した情報じゃなかったな......。......帰るぞ」


「は、はい」


 フェルノアは、来た道を戻ろうとした。


 次の瞬間、物凄く強く地面が揺れた。


「なんだ......!? 地震か......!?」


「か、かなり強いですよ......!」


 二人はその場に手を付き、揺れに耐える。

 あまりにも強く、その場から動くことができない二人。


 周りの建物は崩れていき、兵士たちも叫んでいる。


「......っ! 上......!」


 ビヨンドは上を見上げる。

 ビヨンドのすぐ隣にある石の建物。

 その建物の壁が、二人の元に向かって落下してきていた。




 ほんの少し前。


「......ん? 何だ? レンガ?」


 ナターシャが穴を掘っていると、レンガの様な材質で作られた壁が、目の前に立ちはだかった。

 ナターシャは地上付近まで戻り、エルダに声をかける。


「おい、何か怪しい壁を見つけた。私の螺旋の槍(スパイラル・ランス)ですら砕けなかった。もしかしたら、お前の探している何かかもしれんぞ」


「えー? 何々? 壁だって? それじゃ、ちょっと見てみるか」


 エルダはナターシャと共に穴へと入っていき、壁の元へ向かう。

 そして、謎の壁をまじまじと見る。


「うーん......? 光はこの壁の向こうに続いてるのかな......? というか、この壁は何なんだ? ナターシャですら貫けないなんて......」


 エルダは壁が何なのかを確かめるために、そっと手を触れた。

 すると突然、地面が大きくと揺れ始めた。


「わっ! 何だ!?」


「おいエルダ! 何をした!」


「ちょ、ちょっと触っただけだよ! それより、穴が崩れるよ! 上に槍を突き刺して、土を払ってよ!」


「クソッ! お前が余計なことをするから......!」


 ナターシャは、金色の槍を上に向かって突き刺すと、槍の先端が回転を始めた。

 崩れ落ちていく土は、槍の回転に弾かれていく。


「あれ、なんか地面が動いて......!」


「な、なんだ......!?」


 エルダとナターシャの足元に、壁と同じ材質の床が現れる。

 そして、その床は二人を地表まで押し上げた。

 それどころか、もっと上まで押し上げられそうだった。

 地表までせり上がっても、まだまだ止まる気配は無い。


「と、飛び降りるよ!」


 二人は床から飛び降り、地面に着地する。

 そして、自分たちの背後を振り返った。


「な、なんだこりゃ......!」


 そこには、天まで続く壁。

 距離を取り、全貌を確認する。


「こ、これは......!」


「レ、レンガの巨人じゃない!? これ!?」


 二人が壁を見上げると、そこには顔の様な物が付いていた。

 そして、地面が更に強く揺れ、地面から足が出てくる。


「お、お前! とんでもないことをしてくれたな!」


「ま、まさかこんなことになるなんて、思ってもいなかったから......!」


「畜生! 取り合えず逃げるぞ!」


「ま、待ってよ! せっかくだから、こいつが何をするのか見ていたい......」


「見るにしても、もっと距離を取れ! ほら、行くぞ!」


 ナターシャはエルダの服の襟腰を掴み、引きずりながら避難した。

 近くの木の陰に隠れ、巨人の様子を伺う。


「......こいつは、エリューを守るのか。それとも......」


「僕たちからしたら、攻撃してくれた方がありがたいけどねぇ。エリューが壊滅すれば、調査も捗るだろうし」


 エルダは危機的状況である可能性があるのにも関わらず、笑いながら巨人を眺めていた。

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