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24-2話




智「あの遊園地、ドリームエンターパークにどうしてお前達は潜んでいたんだ?」

智琉は自分の中にかかっているもやの根源を晴斗に問いただした。智琉にとって忌まわしい地であり陰惨な思い出を想起させる場所。そこに晴斗達がいた事の理由を。

晴「……お前の考える所が分かりかねるが、俺にとってあの地は赴かなくてはならない場所の一つであった。かつての俺が招いた宿業しゅくごうとその贖罪しょくざいの為。そして忌むべき願いを泡影と成す為。それが我が盟約だ」

晴斗の返答を聞いた智琉は混濁した表情で更に問いた。

智「……あの遊園地で起きた事故の事は知ってるか?」

晴「無論、認識の範囲だ」

智「あの事故で死んだ二人、あれは俺の父さんと母さんだ」

晴「!」

全く以って予期していなかった事実に思わず晴斗は驚きを隠せなかった。

晴「…………気の毒に思う。お前はそのせきが俺にあるものと推し量る訳か」

僅かながらの哀れみを示す晴斗とは裏腹に、智琉の表情には悲哀と言った類いの感情はあまり見られなかった。

智「もし仮に父さんと母さんが死んだ原因がお前にあったとしても俺はその事でお前を責める訳じゃない。ただ俺にも両親を亡くして爺ちゃんも亡くした経験がある。お前が思ってる程俺の目にはこの世界が綺麗には映っていない」

智琉の頭にはカードを手にしたあの日、自身の腕の中で息絶えた祖父の勤の姿が思い浮かんでいた。

智「それでも俺は世界に失望なんてしない。自分のいた場所が無くなってもまた新しい居場所、仲間が見つけられればそれだけで充分前を向いて生きていける。それが俺の守りたい世界だ」

あくまで自身の信念を貫き通す智琉の姿に、晴斗は自分とどこか似たものを感じながらも決定的に違う何かを見出せなかった。

晴「……掌中しょうちゅうたまを失って尚も己の在り方を迷わないのか。そうか……。もし、もしもこの俺の身命しんめいが尽きる時が来るとすれば、それはお前の様な者と対峙した時なのかもしれんな…………」

カードを握り、智琉に目を合わせる晴斗の顔にも先程より強い決意が込もっていた。

晴「今一度、お前の名を聞きたい。お前の口からな」

その問いに智琉も臆する事無く堂々と答えた。

智「智琉……。織杜智琉だ」

晴「…………来るがいい智琉。お前の全てをこれにしてなあ!」

晴斗は一斉に七人の侍を展開し智琉に向け放った。智琉も襲い来る侍達をレッド・ドラゴンで応対した。

智「ぐっ……」

昌気と戦った時程ではないにしろ、素早さと統率に長けた侍にレッド・ドラゴンは防戦一方であった。加えて、この戦いで七人の侍の行使を重ねてきた晴斗の精度も最初に比べ徐々にではあるが確実に向上してきていた。

晴「確かな成長を肌で感じる。お前達との死闘がこの俺を高みへと昇華させてくれる。その力でもってお前を……」

その時、晴斗の目は侍達の合間をすり抜け動く物体を視界の端に捉えた。

晴「!?」

それは弥結の悪魔であった。弥結は残った悪魔を駆け回る侍達の合間を網をくぐる様にして飛ばしていた。

晴「あれはあの女の……」

悪魔が向かったのは先程エグジット・スピードでの自傷攻撃によって肉塊と化した篤史の死体であった。悪魔は篤史の死体に辿り着くとおもむろに手を死体の中に突っ込んだ。その手を死体から抜き出した時、悪魔の手に握られていたのは紛れもなく天使の矢であった。

晴「何!?」

それは晴斗の姿に擬態した篤史の死体に向けてシザーハンズが投げつけた矢であった。侍の一撃によって天使は消滅させられたが、辛うじてその矢一本のみがまだ効力を失わずに残っていたのだ。悪魔は手にした矢を掲げると智琉に向けて力一杯放り投げた。

弥「智琉さん!これを!」

弥結から託された矢を智琉はしっかり掴んで受け取った。

智「サンキュー、弥結!」

晴「まだ奥の手を隠し持っていたか……」

智琉は矢を空中へ投げレッド・ドラゴンの口で咥えた。瞬間、レッド・ドラゴンのエネルギーを強力に纏わせると矢を晴斗目掛けて投げつけた。レッド・ドラゴンのパワーと纏ったエネルギーも合わさって矢は凄まじい勢いで晴斗へと直進していった。

晴「繰り返された稚拙な手が通じると思うな!」

晴斗は矢に貫かれる直前、盾にする様に前に出したEエスケイプFフロムTトゥモローで迫り来る矢を掴ませた。E・F・Tの手に触れられた矢は即座に勢いを失い、纏っていたエネルギーも完全に霧散してしまった。

晴「ただの投擲など幾らでも防ぎ様がある、工夫を凝らさない限りはな。もっとも、それももう無意味な事だが」

晴斗はE・F・Tが持つ矢を真っ二つにへし折らせた。

晴「これでお前の策もついえた。大人しく覚悟を……」

智「その油断が命取りなんだよ」

晴「何!?」

晴斗の耳に智琉の言葉が聞こえた時、レッド・ドラゴンが翼をはためかせ晴斗のラストエンペラーに狙いを定め突撃していた。矢を受け止める為に晴斗の注意が僅かに逸れた隙を突いての突撃であった。

晴「その程度の攻撃、墜とせないものでは……」

晴斗は向かって来るレッド・ドラゴンに対し、七人の侍の斬撃での迎撃の為に七体全ての刀にエネルギーを集中させた。その時、突撃するレッド・ドラゴンが口からエネルギーを放出すると、そのエネルギーはレッド・ドラゴンの身体全体を揺らめく炎の様に覆い一体となった。

晴「何だ!?」

晴斗はレッド・ドラゴンに七人の侍の斬撃の集中攻撃を放ち浴びせるが、レッド・ドラゴンの全身に纏うエネルギーが攻防両面を強化し、揺蕩たゆたうエネルギーの鎧と化して侍達の斬撃を打ち消した。

晴「これは……!」

襲い来るレッド・ドラゴンに危険を感じた晴斗は即座にラストエンペラーに回避行動を取らせレッド・ドラゴンの突撃を躱した。しかし、レッド・ドラゴンは勢いを落とさずそのままのスピードで上空へと急上昇した。

智「これで決める!」

智琉は意を決し天高く舞うレッド・ドラゴンを地上のラストエンペラーに向けてエネルギーを纏いながら急降下させた。

晴「あれをまともに喰らってはラストエンペラーの力では耐久は不可能か……」

勢いよくダイブして来るレッド・ドラゴンの突撃にラストエンペラーでは耐えられない事は晴斗自身が最も理解した。

晴「……だが、それでもお前が俺に勝る道理は無い」




続く


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