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21-4話




突き立てたガラスを智琉は燈葉の背中に振り下ろした。が、その刃が燈葉に届く事は無かった。自身に刺さるすんでの所で燈葉はEエスケイプFフロムTトゥモローで智琉の体を掴んで止めさせていた。

智「ぐっ……」

燈「……あと一歩、だったわね」

E・F・Tに掴まれ身動きが取れない智琉の手から燈葉はガラスを取り上げた。

燈「己のアンノウンを囮にしてまで私を討ち取ろうとしたのは立派だったわ。文句無しに称賛に値する事よ。もういいでしょ?ここまでよくやれた方じゃない?貴方の奮闘は私から晴斗に伝えてあげるわ」

燈葉は取り上げたガラスを手に取り智琉の喉元に突き立てた。

智「…………悪かった」

燈「……それは反省?それとも命乞い?もしも後者ならそんなみっともない真似はしないで」

智「ずっとお前の言葉が刺さってた。あの時の言葉が……」

燈「一体何を言ってるの?」

智「俺が最初にお前に攻撃を浴びせた時お前は言ったよな、どうして今の攻撃で殺さなかったのかを」

燈「…………?」

智「今になってその意味が少し理解出来た。お前にとってあの行為がどれだけ侮辱だったかを。だから約束する。二度とあんな事はしない」

燈「…………それって……」

言い終わる前に燈葉はそれに気付いた。自身の体を貫く鋭く尖った黄色く光るそれに。

燈「………………なん……で……!?」

それは紛れも無くレッド・ドラゴンのエネルギーであった。燈葉の首元に傷を付けた時と同様の一本のエネルギーの槍が燈葉の体を背後から貫いていた。

燈「……がっ……」

エネルギーの槍が霧散し消えたと同時に燈葉は膝からその場にへたり込んだ。そしてE・F・Tも糸が切れたかの様に智琉から手を離し地面に倒れた。それと共にレッド・ドラゴンを覆っていた塵や砂も剥がれていった。

燈「あれは……貴方の……?」

智「ああ、レッド・ドラゴンのエネルギーだ」

燈「そんな……どうして……?」

背後に佇むレッド・ドラゴンに振り向きその姿を見て燈葉の中に渦巻いていた疑問が解消された。と同時に燈葉は驚愕した。レッド・ドラゴンの胸部の肉が深く抉られていたのだ。脈打つ赤黒い内臓が剥き出しになり、そこから大量の血液が滴り落ちていた。そこはE・F・Tによって刻印されていた部位であった。

燈「まさか……取ったの……?肉ごと……!?」

智「二回目の突撃で粉塵を上げた時にな。地面の紋章が削れたから出来るとは思ってたけど、やっぱり俺自身の体力にも大きく響く。相応の覚悟は出来てたけどちょっと予想以上だったよ」

そう言い張る智琉も又、体力を大きく疲弊していた。自身のアンノウンの自傷という初めての行為に体力と精神力を膨大に削られていたのだ。

燈「……そう…………本当の囮は……貴方だった……のね……」

燈葉はそのまま地面に倒れ込んだ。それを確認すると智琉はレッド・ドラゴンをカードへと戻した。智琉にとっては深刻な傷を負ったレッド・ドラゴンを一刻も早くカードに戻しての回復を図りたかった。智琉はまだ辛うじて息のある燈葉に歩み寄った。

智「最後に教えてくれ。晴斗はどこに行った?」

燈「……知らないし……知ってても言わない……」

智「……そうか。まあ、恐らくはあいつの方からやって来るだろうから、俺達はそれを待つのが得策か」

智琉がそう考えていると僅かに地面が揺れる感覚がした。

智「な、何だ?」

燈「この城はもう……崩れるわ…………私の意識は……もうすぐ無くなるから……」

智「不味い、早く衆治と合流してここを離れないと……」

燈「……そうね…………急がないと……手遅れになるわ………………会えるのならね」

智「?」

智琉が燈葉の言葉に疑問を持った瞬間、智琉の背後からE・F・Tが智琉の体を羽交い締めにして押さえ込んできた。

智「こ、こいつ!離せ!」

燈「……ふふ……」

智「お前……、俺を道連れに!?」

燈「道連れなんて……不確定な手段は…………使わない…………もっと……確実な……」

智「何だよ?何を言ってるんだ!?」

燈「私が死んで……この城は……崩壊する…………たけど貴方に掛ける封印は……決して解けない…………私の命尽きても……消える事の無い…………呪いの様な…………ふふふ……」

逃れようともがく智琉の頭をE・F・Tが力強く押さえ付けた。その瞬間、智琉の頭に今まで感じた事の無い衝撃が駆け巡った。

智「がああっ!!」

その衝撃は智琉が自分が今置かれている状況すら正常に判断出来ない程に脳内を掻き乱していった。




音を立てて徐々に崩れ始めるペルフェット城内の異変に衆治も焦りが抑えられずにいた。

衆「何かがヤバい。兎に角、すぐにでも智琉を見つけないと…………、!」

先を急ごうとする衆治は自分のポケットの中に違和感を感じた。ポケットに手を入れそれを取り出した衆治は言葉を失った。衆治の手には粉々に割れた木の人形があった。それは刻乃から受け取った智琉の身の危険を知らせてくれる木製の人形であった。

衆「まさか……智琉……!?」

砕けた人形を握り衆治は全速力で走り出した。




智「ああ……あ……」

E・F・Tによって頭を押さえ込まれる智琉の瞳は次第に虚ろなものへと変わっていった。

燈「沈めてあげる……覚めない夢に…………光の届かない……深淵に…………」

燈葉の目からは光が消え同時に呼吸も停止した。その瞬間、展望台の扉を開き衆治がその場に駆けつけた。そこで見た光景に衆治は目を見開いた。

衆「……智琉!」

E・F・Tに捕まる智琉に向かって衆治は走り出し手を伸ばした。衆治のその姿を視界に映した智琉の目には生気が全く無いに等しかった。衆治の伸ばした手が智琉に触れようとする瞬間、ペルフェット城は轟音を上げて完全に倒壊した。




続く


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