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21-1話




ペルフェット城最上階の展望台。EエスケイプFフロムTトゥモローの能力によってレッド・ドラゴンのエネルギー操作の能力を封じられた状況に智琉の額から思わず冷や汗が流れた。

智 (どれだけ試してもエネルギーが出せる気配は無い。これはまずい……)

燈「エネルギーが扱えなくなった。それだけで貴方はそんな表情を見せるのね」

智「…………可笑しいか?」

燈「そうは言っていないわ。けど、自身のアンノウンの能力を封じられただけで冷静さを欠くくらいなら、貴方は戦いの道を選ぶべきではない」

智「…………」

焦りが表情に表立ってきた智琉に燈葉の投げ掛ける言葉は痛かった。が、その言葉は同時に臆していた智琉の心を強く奮い立たせもした。

智「もしかしたらそうなのかもしれない。お前の言う通り、俺は誰かと戦うなんてのは似合わないのかもしれない。けど、似合わないとか自分らしくないだとかそんな身勝手な理由で仲間を見捨てる様な真似だけはしない。今の俺の中にあるのはその考えだけだ」

智琉の啖呵にも燈葉の顔は驚く様子を見せなかった。

燈「そう。私が望んでいた言葉ではないけれど、今の貴方が掲げる信念として充分に汲み取れたわ。そこまで語れれば満足したでしょ?風に手折られる花の様に潔く散って見せなさい」

燈葉のE・F・Tは両の手の平を広げレッド・ドラゴンの攻撃に受けて立つ姿勢を示した。

智「……やってやるさ。例え能力を封じられても!」

智琉の操作するレッド・ドラゴンが両翼を広げると燈葉に向けて一直線に突撃していった。

智 (あいつの言葉で目が覚めた。例え能力を封じられたとしても攻撃手段を完全に失った訳じゃない。エネルギーを出さなくてもレッド・ドラゴンはそのままで充分に戦える力を持っている。けど……)

大きく口を広げ噛み付こうと襲い来るレッド・ドラゴンに燈葉はE・F・Tの片手を伸ばし、レッド・ドラゴンの鼻先を軽く触れる様にはたかせた。その瞬間にレッド・ドラゴンはさっきまでの勢いを失い動きが止まってしまった。その隙を見計らい燈葉はE・F・Tをジャンプさせると落下の勢いでレッド・ドラゴンの背中にかかと落としを喰らわせレッド・ドラゴンを地に落とした。そこにE・F・Tは着地しレッド・ドラゴンの上に仁王立ちした。

燈「力任せの突進なんて私には通用しない。どれだけ勢いを付けて掛かって来た所で、E・F・Tが触れれば勢いもその物体の内に押し戻してしまう。どんなアンノウンでも近付いてくれば私には棒立ちも同然。それでもやるのならどう打って出てくる?」

智「くっ……」

智琉は唇を噛み締めながら地に伏すレッド・ドラゴンを呼び起こし、上に佇むE・F・Tを払い落とそうと飛び立たせた。が、それよりも一瞬早く燈葉はE・F・Tを退けさせ自分の元へと戻し、再び攻撃を受ける構えをみせた。

智 (さっきもそうだったが、あの手に触れられただけでレッド・ドラゴンの動きの何もかもが打ち消されてる。突撃の勢いも押し戻されるんじゃ闇雲に向かって行っても同じ事の繰り返しだ。それより……)

レッド・ドラゴンを地に戻した智琉には一つの疑問が残っていた。

智 (どうしてあいつは攻撃して来ない?さっきからずっとこっちの攻撃の待ちに徹して向こうからはほぼ何も仕掛けては来ない。俺を挑発してるのか?それとも……)

考えを巡らせる智琉の頭は一つの答えに辿り着いた。

智 (まさか攻撃の手段が無いのか?そんな馬鹿な。けどもし仮に俺があのアンノウンの能力を使うとして、どんな攻撃手段を用意する?)

疑問がつのる智琉に燈葉は急き立てるかの様に冷ややかな言葉を投げた。

燈「貴方の威勢の良さも簡単に消え去るのね。ジッとして動かないのならそれでもいいわ。そのまま静かにさせてあげる」

その言葉と共にE・F・Tは右手の指をパチンと鳴らしたかと思うと、智琉の背後から異様な物音がした。智琉が振り返ると智琉の背後の壁に架けられていたガラスが割れ、破片となって智琉目掛けて降り注いで来た。

智「!」

すぐさま落ちて来る瓦礫から逃げる様に智琉がその場を急いで回避したその瞬間、再びE・F・Tが指を鳴らした。すると今度は智琉が逃げた先の地面が足を着いた瞬間に呆気なく崩れ去ろうとした。

智「のわっ!?」

地面と共に落下して行きそうになった智琉は咄嗟にレッド・ドラゴンを自分の元に呼び寄せ、掴まる事でなんとかその場に留まった。

智「急にどうしたんだ?何でいきなりガラスや床が……」

燈「私が崩したの、E・F・Tの能力で。正確に言うと能力の解除で」

智「何?」

燈「少しは疑問を感じなかったの?この城が今こうして形を成して現存出来ている事実に」

燈葉の言っている意味が智琉にはよく分からなかった。

燈「三年前の閉業からこのパークには一切の人の手は付けられていない。あらゆる施設やあの湖、この城にもその姿を維持する為の行使はされていない。それにも関わらずどうしてこのペルフェット城がその外観を保てているのか、貴方達が激しい戦闘を繰り返しておきながら未だ倒壊せずにいられるのか」

智「…………お前のアンノウンが食い止めてるとでも?」

燈「そう言って差し支え無いわね。見えるかしら?」

燈葉は智琉に辺りを見渡す様に促した。よく見ると二人の周囲には至る所にE・F・Tの紋章が刻まれていた。

智「!?」

燈「注意深く観察すれば分かるでしょ?この城は全体的にE・F・Tが刻んだ紋章の効果で崩壊へと向かう力をその場に押し込めている。だからどれだけの破壊行為に及ぼうとも必要以上の崩壊は引き起こされない。そしてその紋章は私の意思で消滅もさせられる。消えろと念じるだけで触れる必要も無い」

智「それって……」

その言葉に智琉は全てを察した。

燈「さっきのガラスや地面が崩れ落ちたのはその部分の紋章を私が消したから。紋章が消えた部分は崩壊する力を留めておけず容易く崩れ始める。分かるかしら?私はこの場を動く事無く、貴方を瓦礫の下に埋める事が可能なのよ」

智「……そういう事か」

若干の恐怖を覚えつつも智琉の燈葉に対する姿勢が揺らぐ事は無かった。




続く



UCアンノウンカード紹介》

EエスケイプFフロムTトゥモロー 身長1.5m

持ち主:命凰 燈葉

能力:手で触れた物体を元の場所に戻す。動態や衝撃などの目に見えない力の流れも容易に押し戻せる。更には紋章を刻印する事で戻した物質をその場所に完全に閉じ込めてしまえる。紋章が消えなければその中に閉じ込められたものは外部に出る事は決して叶わない。紋章は触れなくとも持ち主の意思で自在に消滅させられる。


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