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18-1話




密緋の言葉から思い起こされる記憶が衆治の精神を蝕み続けていた。

密「俺は好意でお前にいろんな事を教えてやったが、お前は何も俺だけから教わった訳じゃねえだろ?革新機関ってのは今思うと人間の汚い面を学ぶには打って付けだったよな」

衆「……黙れ」

薄ら笑いを浮かべながら言い聞かせてくる密緋の態度に衆治は酷い嫌悪感を覚えた。

密「あの機関で過ごした過去は決して消えない。お前だけじゃなく俺や水檻みおり、革新機関に集められたメディエイター全員に言える事だ。お前はその過去に囚われすぎてんだよ」

密緋の嘲笑いつつも冷ややかな笑みは今の衆治には受け止めきれなかった。









四年前。未知の厄災の影響で殺伐とした雰囲気が全体的に広がる街を、当時十一歳の衆治は同い年の少年と歩いていた。衆治と共に歩く少年こそが密緋であった。

密「なあ?上手くいっただろ?」

衆「ああ、いつもの事だが感謝してる」

厄災で両親を亡くし孤児となった自分が住む事を許されたワンテーブルホームの管理人である心壱との言い争いの末、衆治が孤児院を飛び出してからおよそ半年が経過していた。家出の理由は厄災の原因が何なのか?という衆治の執拗な問いに言葉をはぐらかし続けた心壱への不満からである。

衆治が密緋と出会ったのは孤児院を出て間も無くであった。密緋は厄災以前の幼い頃から家族を持たず独り身で生きてきており、また自分のシザーハンズと同じ異形のものを持っていた事から衆治と密緋はすぐさま意気投合した。密緋と出会ってから約半年、衆治は密緋から数多くの事を学んだ。一人で生きていく上で必要な知識と技術、そしてアンノウンという謎の多い存在の事を。それは衆治が今までずっと求めていた答えであった。心壱やあらゆる大人が頑なに語らなかった事を明確に教えてくれる密緋は衆治にとって自分が知る人間の誰よりも信頼に足る存在であった。

二人はこの半年、日本中を周りながら衆治の目的である未知の厄災の原因の究明を行なっていた。その過程で数多くの好戦的なアンノウンを持つ者とも戦いを交えたが、二人がアンノウンの戦いで負けを喫する事は無かった。シザーハンズとムカデ人間の攻撃力と能力、何より二人の最大の共通点であるメディエイターとしての力を有する二人に敵う者はおらず、結果的に十一歳の少年二人は大人の手を借りずにこの世界を日々生き抜いていた。

密「しっかし、さっきの奴も点で話になんなかったな」

衆「話どうこうはどうでもいい。俺はあの厄災の真実が知りたいだけだ」

密「そればっかだなお前。まあ面白そうだからいいけどな俺は」

二人はさっきまでアンノウンを持つ者の一人と戦闘を繰り広げていたが、二人にとっては特に苦戦を強いられる様なものでもなかった。

?「君達」

突撃背後から聞こえた自分達を呼んだであろう声に二人は引き止められた。振り向くとそこには金髪に青い瞳という明らかに外国人であろうスーツを着た大人の男がこちらを見て話し掛けてきた。

?「ちょっといいかな?」

密「あんた何モンだ?俺達に用でも?」

密緋はあえて高圧的な対応を取った。

?「そうだ。君達の様な逸材を我々は求めている。名前を教えてくれるとありがたいのだけど」

密「そういう時は先ず自分から名乗るもんじゃねーか?」

メイ「御尤ごもっともな意見だ、失礼した。私はメイソン、とあるお方に仕えてる者だ」

密「そのお方の命令か?俺達に声を掛けたのは?」

メイ「その通り。先程も言ったが君達の様な逸材の力が欲しいんだ。メディエイターという存在の力が」

衆・密「!」

メイソンの言葉に衆治は咄嗟にカードを具現化した。それを見てメイソンは少し慌てた様子を見せた。

メイ「待ってくれ、私は君達に危害を加えるつもりは無い」

衆「俺達がメディエイターだと分かるって事はさっきの戦いを隠れて見ていたんだろ?そんな奴の言葉を信用しろってか?さっさとアンノウンを出したらどうだ」

メイ「……確かに私は自分のアンノウンを所有してはいるし、そこそこ腕には自信もある。けれども先程の戦いぶりを見ても分かる。君達程の腕の立つメディエイター二人を相手に勝ちを拾えるとは到底考え難い。誓って言う、私に敵対する意思は無い」

密「…………衆治」

密緋に諭され衆治はカードを収めた。

密「あんたの気持ちは理解した。その上で俺達の力ってのが必要な訳を聞こうか?」

メイ「ありがとう。とりあえずがどこかゆっくり語れる場所に移ろう」




三人は近くの少し寂れた喫茶店に入りそれぞれ品を注文した。メニューにはオススメとしてレモネードの文字が大きく描かれていた。

密「紅茶にするがお前もそうするか?」

衆「それで良い。俺レモネード飲むと酔うからな」

密「そうだっけか?」

衆「冗談だ」

注文を済ませると三人は話を再開させた。

密「俺は密緋、んでこっちが衆治。歳は両方十一だ」

衆「さっきは唐突にすいませんでした。反省してます」

メイ「いや、良いんだよ。こちらも少々言葉が足りなかっただろうし」

三人の前に注文した品が来ると、みな自分の品に口を付けた。

メイ「率直な事を聞くが、和歌草わかくさ玄僧げんぞう氏を知っているか?」

密「多少はな。確か和歌草グループとか言うご大層な企業のトップだよな?日本の経済の重要な役割を担ってるとかで、日本だけじゃなく世界的にも注目されてる相当でかい組織の頂点の爺さん」

衆「よくは知らないが相当な大金持ちっていうのが俺達の認識だ」

メイ「まあ、大体はそれで合ってる筈だ。その玄僧氏が今この国のメディエイターを集めようとしているんだ」

衆「メディエイターを?」

衆治と密緋はまだメイソンの話がよく見えてこなかった。

メイ「玄僧氏はアンノウンという存在に心から惹かれていて、私の様なアンノウンを持つ者を多く部下として雇っているんだ」

密「あんたもその一人と?」

メイ「そう。玄僧氏自身は残念ながらアンノウンとの同調は起こらなかったからか、私達の様な存在を丁重にしてくれる。そんな方だ」

密「俺達メディエイターを集めてるってのは?」

メイ「アンノウンの力を扱える者の中でも更に力を強力なものに昇華させる事の出来る選ばれし逸材、と玄僧氏は言っていた。そんなメディエイターを集め掛け合わせる事で強大な力を作り出せるとあの方は踏んでいる。そしてそれが可能となる組織を玄僧氏は作り上げたんだ。その組織の名は"革新機関"だ」

衆・密「革新機関?」

その名に二人は目を丸くする事しか出来なかった。




続く



《人物紹介》

メイソン ロジャース

身長181cm 29歳(過去)

嫌いなもの:達筆過ぎて読めない日本語


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