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17-2話




燈葉の前に薄紫色の出で立ちにコートを羽織り、顔に異様な紋章が描かれたお面を付けた人型のアンノウンが姿を現した。

燈「UCアンノウンカード"EエスケイプFフロムTトゥモロー"」

燈葉に呼応するかの如く智琉もカードを具現化しレッド・ドラゴンを呼び出した。

智「俺も何も考えてない訳じゃない。やるしか無いのなら俺もこいつをお前にぶつける事になるぞ」

燈「……昌気との戦いで彼の甘さが貴方に移ったのかもしれないわね。貴方の持つ信念を貫きたいなら目の前にいる私を倒す他に無いわ。でないと貴方の言葉は永遠に弱いままよ」

その言葉は智琉の中で怒りが湧き上がる要因に貢献した。智琉はレッド・ドラゴンの口からエネルギーを地面に向けて放つと、そのエネルギーは地面のタイル同士の間の溝を高速で伝い燈葉の足下まで伸びると瞬時に数本の槍状に変化し燈葉の動きを封じる様に地面から突き立てた。槍は燈葉の腕や胴体を僅かにかすめながら拘束し、首元には少し血が出る程度の傷を付けた。しかし、その攻撃にも燈葉の表情は一切崩れなかった。

燈「…………どういうつもり?」

智「あまり相手を下に見るなって事だ。でないと次は……」

燈「どういうつもりって言うのは、どうして今の攻撃で私を殺さなかったの?って意味よ」

智「……は!?」

予想だにしない発言に智琉の頭は理解が追いつかなかった。

燈「あれだけのスピードと正確さを誇っておきながら、まるで殺意の込められていない攻め手。防ごうとも回避しようとも思う気になれない程に稚拙な攻撃なんかして、舐めてるの?」

真っ直ぐにこちらに視線を向けて力強く問い掛ける燈葉の眼光に智琉は身の毛がよだった。

智「そんな事は……」

燈「当ててあげるわ、貴方の心の中を」

智「え……?」

燈「貴方、今まで人をあやめた事無かったんじゃないの?」

智「!」

燈葉の口から出た言葉は今の揺らぐ智琉の心に突き刺さった。

燈「厳密に言えば貴方はついさっき初めて人の命を奪った。貴方の前に立ちはだかった昌気の命を」

智「…………」

燈「人を殺めるという人道を外れた行為に手を染めてしまった自分に罪を感じ、その行いを繰り返してしまいかねないというある種の恐怖感に貴方は心も体も支配されている。違うかしら?」

智琉は燈葉の言った事が寸分の狂いも無く今の自分に当てはまっている事実に困惑した。智琉はレッド・ドラゴンの力を手にした時から、アンノウンを持った者達が他の誰かの命を奪う瞬間に幾度と無く出くわしてきた。そして少し前の戦いで昌気の死を確認した時、智琉は自分も誰かの命を奪ってしまった現実を突き付けられた。その時智琉の頭に思い浮かんだのはレッド・ドラゴンを手にしたあの日、自身の腕の中で生き絶えた祖父の勤の姿だった。そして勤の命を奪った憎い相手、名前すら分からないあの男と同じ事をした自分に言い表し難い嫌悪が込み上げてきた。昌気の亡骸を目にした時からこの瞬間に至るまで、智琉は洪水の如く溢れ出てくる苦い感情を押し殺す為、必死に正当化する様に自分に言い聞かせてきた。そんな不安定としか言い様の無い今の智琉の心は燈葉の言葉をまともに処理出来る状態になかった。

燈「その表情から見ても確認の必要は無いわね」

智琉の顔色は悪くなり脈拍も早まっていった。

智「…………お前の言う通りだよ。正直誰かを傷付けるのはそこまで得意じゃないし今まで戦って来られたのも殆ど衆治の助けがあったからだ。その衆治にもいつか言われたよ、お前の考え方は危険だって……。それでも、だとしても、お前達の夢を止める事は出来る。こんな俺でもお前達の危険な野望を塞ぐ力くらいは……」

燈「無いわよ」

不安定な精神から振り絞った智琉の言葉にも燈葉は一切歯に衣着きぬきせようとしなかった。

燈「そんなやわな言葉をあげつらった所でそれは貴方の安っぽい信念に数本毛を生やす働きしかしないわ」

智「…………」

燈葉の穏やかでありながらも力強い気迫に智琉は完全に言葉を失った。

燈「それでもプラスにならないって訳じゃない。だけどアンノウンを持つ者ならその程度じゃ駄目。それも私達を本気で相手にするのなら」

智「何?」

燈「アンノウンは持ち主の精神と繋がっている。即ちアンノウンの力量は持ち主の精神の強弱に起因するって事よ。貴方は私や晴人に敵う程に能力は扱えない。それ以上の向上が見込めないなら、背を向けて立ち去る事ね。今なら見逃してあげるし追う事もしない」

燈葉はE・F・Tを操作し自信を束縛するレッド・ドラゴンのエネルギーの槍に触れさせた。その瞬間、触れられた槍にE・F・Tの付けているお面と同じ紋章が刻印されたかと思うと、エネルギーの槍は全て一瞬にして塵の様に霧散し消え去ってしまった。

智「なっ……!?」

燈「今の貴方には私の前に立つ資格は無い」

驚きを隠せない智琉に燈葉の貫く様な眼差しは未だ冷ややかさを帯びていた。

燈「上辺だけで重みの無い言葉に怖気付いてあげられる程、私は脆く出来ていないから」




密「久しぶりだな」

衆「密緋……なのか?本当に……?」

目の前に現れた密緋という男の存在に未だ衆治は目を疑っていた。

密「いい加減素っ頓狂な顔すんのはやめろ。俺は俺以外に存在しない。んな事よりせっかくの再会を喜ばないのか?」

衆「お前との再会に何を喜べってんだ?」

密「随分な言い様だなあ。俺達は革新機関にいた同類同士だろう。つーかその台詞は本来俺が言うべき筈じゃないか?なんせお前は裏切り者って奴なんだからなあ」

密緋はゆっくりと衆治に歩み寄った。その行動に衆治は即座にカードを具現化するとそこからシザーハンズを出現させた。

密「いきなりそいつで警戒か、相変わらずだな。まあ、そうでなきゃここまで来れてない筈だしなあ。いいぞ、お前とこうしてやり合うのも懐かしいしなあ」

密緋も衆治に見せつける様に手にカードを具現化させた。




続く



《人物紹介》

雉室きじむろ 密緋みつひ

身長167cm 15歳

嫌いなもの:三本線のジャージ


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