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15-3話




刀を振りかざし斬り掛かる侍と飛び交う斬撃の中、レッド・ドラゴンは防戦一方を強いられていた。

智「ぐっ……」

七人の侍の攻撃を受け続けるレッド・ドラゴンから伝わる痛みに智琉の表情は曇っていく一方であった。

昌「どうだ?流石に考えも変わったか?」

突然昌気は七人の侍の攻撃をピタッと停止させた。

智「は?」

昌「考え方だよ。さっき言ってた晴人の夢を阻むっていうあれ。諦めるって気が少しでも起きてるなら俺はそれを尊重したくてな」

智「言った筈だぞ、俺達の目的は変わらないって」

昌「そうは言うけどなあ、お前達はあいつがどんな覚悟で自分の夢に挑んでいるか考えた事があるか?あいつの夢の実現で救われる者の事を考えた事があるか?」

智琉は考えの及ばない問い掛けに動きが止まった。

昌「確証がある訳じゃ無いがお前、アンノウンを手にしてまだ日が浅いんじゃないか?」

智「…………」

図星を突かれ智琉は言葉を失った。

昌「何も責めてるってんじゃない、誰だって最初は素人だ。だからこそお前は知らない、アンノウンを持つ者の本当の苦労を」

智「何だよそれ?」

昌「アンノウンの存在は世間からは常にひた隠しにされ続けている。それはつまりアンノウンという未知数の力を持つ者は忌み嫌われる存在として扱われているって事だ。それがどれだけ窮屈か、居場所が無いってのがどれだけ惨めか分かるか?」

智「それは…………」

昌「アンノウンを持つ者という同じ存在ですら仲間とは限らない。力に溺れ他を虐げる事しか頭にない連中だっている。本当に信頼出来る存在が一握りだっていないのが俺達なんだよ。そんな俺達にとって晴人の存在がどれだけの救いを与えてくれると思う?あいつの掲げる夢にどれ程の希望が込められていると思う?」

智「晴人の夢に希望……?」

昌「あいつなら俺達が求めるものを簡単に見せてくれると分かるんだよ。まるで山にキノコでも取りに行く様に簡単にな。今はまだ分からんだろうから教えてやる。お前のやろうとしている事は、未来のお前自身のたった一つの救いを断とうとしてんだよ」

昌気の言葉には落ち着きと熱意とが混同し合わさっていた。

智「……アンノウンの統括が俺の救いになるなんて、俺は全く思わない!」

智琉はカードを振りかざしレッド・ドラゴンのエネルギー弾を自身の周囲に配置した。

昌「何?」

智「お前さっき言ったよな?信頼出来る存在は一握りもいないと。まさにそうだ。俺の一握りの中に晴人は入ってないんだからな」

智琉の周りを浮遊するエネルギー弾が一斉に形を変化させた。その形はさながら今まで七人の侍が放ってきた斬撃であった。

昌「お前……!」

智「あれだけ喰らえば形状も威力も把握出来る。お前の斬撃がエネルギーなら俺のレッド・ドラゴンでも可能な筈だ」

始めの時と全く変わらない智琉の目つきに昌気は感心した。

昌「お前の答えは揺るがないか。それでいいさ。もしここで俺を倒せてもお前達じゃ晴人には敵わない。あいつの夢は歴史的な革命だ」

昌気も七体全ての侍に臨戦態勢を取らせた。

昌「俺とお前、どちらが歴史の生き証人となるか決めようじゃないか!」

七人の侍は手に持つ刀にエネルギーを込め撃ち放った。智琉も又、斬撃に変化させたエネルギーを放った。互いの斬撃が鋭い勢いでぶつかり合い火花を散らすが、レッド・ドラゴンの作った斬撃は全て撃ち負け粉々に砕かれた。

智「なっ!?」

レッド・ドラゴンのエネルギーを撃ち破り向かって来る斬撃を智琉は転がる様に回避した。

昌「言っただろ、七人の侍のエネルギー操作は応用力が無い分、斬撃の精度は完璧だ。お前が今初めて形作った斬撃なんて猿真似に過ぎない。お前のドラゴンが作る斬撃じゃ七人の侍には撃ち勝てない」

しかし、力の差を見せつけられた智琉は尚もレッド・ドラゴンのエネルギーを出してはそれらを斬撃の形へと変化させていった。

昌「……何のつもりだ?」

智「…………」

昌気の問いに答える事無く智琉は作り上げた斬撃を昌気に向けて放った。

昌「浅はかなんだよお!」

昌気は動けない三体に斬撃を飛ばさせ、四体を直接突撃させた。智琉の放った斬撃はいとも容易く粉砕され、襲い来る侍達の刀がレッド・ドラゴンに浴びせられる。それでも智琉は斬撃を形成してはそれを放ち続けた。レッド・ドラゴンと七人の侍、双方の斬撃のエネルギーがフロア中を飛び交った。

昌「理解に苦しむなあ。俺がお前のアンノウンの持ち主なら斬撃にだけは決して変えない。勝ち目の無い勝負を続ける意味は無いのによ」

智琉はエネルギーだけでなくレッド・ドラゴン本体での直接攻撃も敢行かんこうし、侍二体を地面に張った罠の方へ誘導した。しかし、その攻撃も意味を成さず二体の侍は軽快に空中へとジャンプした。

昌「そろそろ終わらせるぞ。覚悟を決めろ」

昌気は空中に回避した侍で斬撃を足場にして智琉への最終攻撃を図った。が、その攻撃が起こる事は無かった。

昌「……は!?」

昌気は即座に理解が出来なかった。斬撃に乗った筈の侍は二体とも大きな傷を受けており、そのダメージは昌気の体へとも伝わった。

昌「ぐっ……な、何が起きて……?」

智「確かに俺の作る斬撃は弱いかもしれない。けど、それでも攻撃は通る」

昌「それが……何だよ?」

智「今までの戦い方からお前がただ攻撃の為だけに斬撃を飛ばすんじゃなく、移動手段の一つとして活用する事も分かった。だからそれを逆に利用しただけだ」

昌「まさか……さっきの斬撃は……!」

智「本当にお前は理解が早いな。さっきの二体の侍が乗ろうとしたのは七人の侍のエネルギーじゃない。レッド・ドラゴンのエネルギーだ」

智琉は侍が斬撃の足場が必要であろうタイミングにレッド・ドラゴンのエネルギーの斬撃をあたかも七人の侍の斬撃かの様に飛ばせていた。自身のエネルギーで作った斬撃ではない為、それに乗る事は出来ず二体の侍は逆にダメージを負ってしまったのだ。事の真実に昌気は思わず苦笑いした。

昌「そういう事か。自分と相手のエネルギーの見分けすら出来なかったのか。あれだけ視界を飛び交ってりゃ混乱もするか」

昌気は左手で握り拳を作ると自分の頬を殴った。

智「!」

昌「……七人の侍が攻撃を受けたのは俺の奢りが原因だ。手加減しないと言いながら心の何処かでお前を未熟と侮ったツケがこれだ。反省はのちの行いに活かす。正真正銘、お前を全力で始末する」

昌気の顔から今まであった甘い感情は見えなくなった。その顔は智琉の覚悟も引き締めさせた。




続く


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