15-2話
智「調子に乗るな!」
智琉は再びレッド・ドラゴンのエネルギーの散弾を七人の侍に放ったが、侍達の刀さばきでいとも容易く防がれてしまった。
昌「一度も通じなかった攻撃が通用すると思うか?」
昌気は半分呆れながら智琉を窘めた。
智「くそっ」
智琉は三度レッド・ドラゴンの口にエネルギーを溜めると、今度はそれを大きなエネルギー弾として上空に撃ち上げた。
昌「何だ?」
放たれたエネルギー弾は天井に当たる寸前で停止すると凄まじい勢いで破裂し、下方にいる昌気と七人の侍に対しエネルギー弾の雨を降らせた。
昌「ほう!」
その攻撃に昌気と七人の侍は部屋中に無造作に散らばるガラクタの物陰に隠れてやり過ごした。小さく分散されたエネルギー弾を防ぐのには只のガラクタでも充分に効果を発揮した。
昌「工夫するのは良い事だが、もうちょいどうにかならなかったのか?エネルギーをばら撒くって事は一発一発の威力は大分下がるだろ。ええ?」
昌気の威圧に智琉の顔から冷や汗が流れ落ちた。
昌「次はどんな攻撃を繰り出してくれんだ?それとももう打つ手は無しか?なら別にそれでもいい。今度はお前が俺の攻撃を防ぐ番だ」
昌気は攻撃を仕掛ける為、物陰から七人の侍の三体を突撃させた。
昌 (ん?)
その瞬間、昌気は違和感を感じた。飛び出させた筈の三体の侍が動かないのだった。物陰から足を踏み出した直後から三体の侍の動きは昌気の思い通りには一切ならなかった。
昌「何なんだ一体?」
昌気が動かせない侍の姿を確認すると、三体の足の裏は強力な粘着性のある物質でしっかりと地面に固定されていた。
昌「あれは……?」
その次の瞬間、足の裏の物質は急速に膝まで伸びていき一瞬にして三体の侍の下半身の身動きの自由を奪った。
昌「どうなってる!何が……?」
智「今お前のアンノウンの足に纏わり付いているのはレッド・ドラゴンのエネルギーだ」
昌「何!?」
智琉の言葉に昌気は目を丸くした。
智「さっき上から撃ったエネルギー弾は攻撃の意味もあるが威力は自分でも期待していない。本当の目的はこのフロア中にエネルギーを撒く事だ」
昌「エネルギーをばら撒く……?」
智「レッド・ドラゴンのエネルギーはただ撃ち放つだけじゃない。いくらでも出来る事がある。七体って数は驚異だが、それが三つも減れば大きく変わる」
昌気は身動きの取れない三体の侍を見ると、疑問の表情から笑い顔へと変わった。
昌「成る程、そのドラゴンが吐くエネルギーってのはいろんな性質のものに変化させられるのか」
智「!」
昌気が示したレッド・ドラゴンの能力に対する理解の早さに智琉は少し驚愕した。
昌「散らす様に撒いたエネルギーを鳥黐みたいな粘着力の強い性質に変えて罠を張った。それに俺の侍が引っ掛かると即座に体半分を捕まえて動きを拘束した、って所か」
智「分かるのか?」
昌「ドラゴンなんて形して中々頭使う能力してんだなお前のアンノウン。いや、そもそもドラゴンってのは知的で聡明な描かれ方もされるから寧ろ合ってるのか?」
智「何が言いたいんだ?」
昌「エネルギーを操るって点では俺とお前のアンノウンはかなり近い存在だと思ってな」
智「エネルギーを……!?」
智琉が言いかけた時、レッド・ドラゴンのエネルギーによって固定された三体の侍が一斉にその手に持つ刀を振りかざした。するとその刀の刀身部分が不可解に発光したかと思うと三体とも同時にレッド・ドラゴンに向けて刀を振り下ろした。その瞬間、刀の光が刃の形をとりレッド・ドラゴンへと飛んで来たのだった。
智「なっ!?」
予期せぬ攻撃に智琉は対処が一瞬遅れた。レッド・ドラゴンを飛ばせて回避しようとしたが間に合わず、三撃のうち一撃を足に喰らってしまった。
智「うぐっ!」
昌「エネルギーを操る能力を知ってるなら分かるだろ?今の攻撃も馬鹿にならないってな」
智「今のも……エネルギーか?」
昌「そうだ。斬撃って言や分り易いか?俺のアンノウン、七人の侍は刀にエネルギーを込めて振り降ろす事で、斬撃として形作ったエネルギーを相手に飛ばせる。例えその場から動けなくとも斬り掛かる事は出来る」
智「お前のアンノウンもエネルギーを……!」
昌「エネルギーの操作を能力の主体としているからこそお前のアンノウンの能力の本質もすぐに見破れたって訳だ。と言っても、お前んとこの能力程応用が利く訳じゃない。斬撃以外には変えられないし、それ以外のエネルギーの使い方も無い。だがその分、威力と精度は折り紙付きだ」
そう言うと昌気は身動き可能な四体の侍を突撃の為に飛び出させた。と同時にエネルギーに捕まってる三体の侍のエネルギーの斬撃を数撃放った。四体の侍は放たれた斬撃を足場にして地面に張るレッド・ドラゴンの罠を踏まずに罠の少ない地面に降り立ち、刀を構えレッド・ドラゴンへと斬り掛かった。
智「ちっ……!」
智琉はレッド・ドラゴンを数メートル上に上昇させると、即座に真下に向けてエネルギー弾を一発撃ち放った。地面に着弾した爆発の衝撃で四体の侍の突撃を跳ね除けた。しかし先に放たれた斬撃が真っ直ぐにレッド・ドラゴンに向かっていた。
智「くそっ!」
智琉はレッド・ドラゴンの身をなんとか翻し致命傷となるダメージは避けるも、翼と腕にかすり傷を喰らってしまった。
昌「七人の侍が繰り出す斬撃は元は侍達自身のエネルギーだ。幾ら撃とうとも斬撃で七人の侍がダメージを負う事は無い。だから今みたいに放った斬撃を足場にする事だって出来る」
智「ああ……そうだろうな……」
昌「とは言っても、正直今の攻撃で完全に仕留められると思ってたんだけどなあ、上手くいかないもんだな。お前が侮れない奴だってのは充分分かった。こっからは首尾良く事を終わらせてやる」
刀という牙を光らせ、七人の侍は眼前のドラゴンに狙いを定めていた。
続く
《UC紹介》
七人の侍 1.7m×七体
持ち主:張口 昌気
能力:七体それぞれが持つ刀にエネルギーを纏わせ振り下ろす事でエネルギーを斬撃に変えて撃ち放つ。斬撃以外の用途でエネルギーは使えない。七人の侍のエネルギーが元となる為、七人の侍が触れてもダメージは無い。




