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14-3話




衆「そういう事なら話が早い」

衆治も篤史に対抗しカードを具現化した。

智「衆治、一体何が起きてんだ!?」

部屋の外では智琉が衆治の身を案じていた。

篤「お友達もすぐにあの世に送ってやる。まずはお前からだ」

篤史は具現化したカードからアンノウンを出現させた。

篤「UCアンノウンカード"エグジット・スピード"」

衆治の前に現れたのは、手の平と顔面にスピーカーが備え付けられた人型のアンノウンだった。衆治も自身のカードからシザーハンズを呼び出そうとした。

衆「そいつがお前のアンノウンか」

篤「へっ、遅えよ!」

篤史の操るエグジット・スピードが手の平を地面に向けたかと思うと、耳を裂く様な音と共に手から放たれた衝撃波が地面にヒビを入れた。その瞬間、二人が立っている床は音をあげて砕けていった。

衆「何!?」

崩れ落ちる床の瓦礫と共に衆治と篤史は奈落へと落下していった。

智「衆治!」

漸く開いた扉の先で智琉の目に飛び込んで来たのは、床全体がポッカリと無くなり真っ暗な穴を覗かせている部屋だけであった。その光景に智琉は言葉を失い固唾を呑んだ。

智「………………衆治、お前ならこの状況でなんて言う?多分こう言うんだろな、相手の罠にはまってみるのも一つの手だって。分かってる、お前なら何も心配はいらない。だから俺も先に進む」

智琉はその部屋を後にし単独で晴斗へと目指した。




落下し続ける衆治はその先の地面を確認するとカードから出現させたシザーハンズに掴まり、衝撃を和らげ着地した。更に降って来る瓦礫の欠片たちを衆治はシザーハンズの能力で体感時間を遅らせ、自らに落ちる落下物を一つ一つシザーハンズで破壊していった。

篤「ほおほお、なかなかやんじゃねーかよ」

衆治が振り向くと篤史が拍手をしながら歩いて来ていた。篤史の背後にはエグジット・スピードが手を構えていた。

篤「ここは地下道だ。このパークが賑わいでた頃ここの職員の専用の秘密の通り道だったそうだ。ここの情報はネットで調べても出て来ねえぞ」

二人のいる場所は明かりが乏しく薄暗いが、そこそこの広さがあり戦うには打って付けであった。

衆「成る程、そこに落とせば勝負に邪魔は入らないと?」

篤「勝負?おめでたい事ぬかしてんじゃねえぞ。これはお前の処刑でここはお前の墓場ってのが分かってねえみてーだな」

衆「なんでお前の口から出る台詞は一々ありきたりなんだ?」

篤「知るか、んな事。それにお前はもう気にする必要なんかねーだろうがよう!」

篤史は衆治に向けて構えるエグジット・スピードの両手の平から先程と同じ様な目に見えない衝撃波が聞いた事も無い音と共に放った。衆治は目に見えないそれを間一髪で躱した。衝撃波は避けた衆治の後ろにあった壁に当たると、その壁を粉々に粉砕してしまった。

衆 (なんて威力だ。一体何をすればこんな事が出来る?それに奴のアンノウンが放つ衝撃波と同時に出るあの変な音は……?)

頭に疑問が浮かぶ衆治にお構いなく篤史は攻撃の手を緩めようとはしなかった。

篤「ほれほれ、じっとしてっといい的だぞ。必死こいて逃げ回ってくんねーとこっちも……」

衆「……音か?」

篤「あ?」

衆治は導き出した一つの回答を篤史に投げつけた。

篤「今なんつった?」

衆「お前のアンノウンの攻撃の正体は音、そうだよな?その手から出る衝撃波は音を破壊の力に変換して飛ばしてるんだろ?攻撃を放つ瞬間に出る耳が痛くなる様な妙な音の説明もつく」

衆治の言葉に篤史は目を丸くしながらも自然と口角がつり上がっていた。

篤「はっ。お前すげーな。晴斗から用心する様には言われてたが、その理由が今よく分かった。たったあれだけでエグジット・スピードの能力に辿り着いたんだからなあ」

衆「そうか?割と簡単だろ?」

篤「けどなあ、んな事で状況が好転するなんて思うなよ。エグジット・スピードは自分で発する音を特殊な音波に変えて相手に撃つ。それが特定の対象に命中した時、共振が起こす影響で跡形も無く崩壊するっつう仕組みだ」

衆「早い話が音響兵器って訳だ」

篤「エグジット・スピードが起こす破壊の音波は防ぐなんてのは不可能だぞ。どんな物を盾にしたところでそれさえも粉々に崩壊させちまう。防御不可の最強の攻撃だ」

篤史は衆治を嘲笑いながら言い放ったが、当の衆治に焦る様子は伺えなかった。

衆「成る程、防ぐ事は出来ないか。なら避け続ければ良いだけだな」

篤「あぁ?何言ってんだ?どうやって避けるんだ?目に見えない音をよお!」

篤史は再びエグジット・スピードの音波の攻撃を衆治に向けて放った。しかし衆治はその攻撃を躱すとシザーハンズをエグジット・スピードに斬りかからせた。

篤「んな!?」

篤史はエグジット・スピードを回避させたがほんの一瞬遅く、僅かながらシザーハンズの攻撃を逆に受けてしまった。

篤「っ痛う、なんで避けれてんだ!?」

衆「音は見えないから避けれないとでも思ったか?生憎あいにく見えない攻撃を避けるのは得意でな」

篤「舐めやがってぇ!」

篤史は怒りに任せ音波の攻撃を衆治に向けて連射するが、衆治とシザーハンズはそれらを全て紙一重で躱していった。当たり外れた音波は壁や地面に直撃し辺りには粉塵が立ち込めた。尚もエグジット・スピードの攻撃は続くが、辺りを舞う粉塵が見えない筈の音波の軌道を明確に示していた。それはかつて衆治が智琉と共に戦ったアンノウン、オールド・ボーイの風を操る能力を看破した時と同様の戦法であり、それが衆治の作戦であった。

篤「くそっ、ちょこまかと鬱陶しい」

衆「さっきと言ってる事が逆だぞ」

篤「言ってろ。んな減らず口もさっさと止めてやる」

衆「頑張るのは構わないがこれだけは言っておく。お前じゃ俺には敵わない。あと数年は修行を積まないとな。おっと、お前のありきたりな言動が移ったな」

衆治は未だこの戦いに余裕を持っていた。




続く



UCアンノウンカード紹介》

エグジット・スピード 身長1.7m

持ち主:細岡 篤史

能力:両手の平と顔面に備えたスピーカーから音を発する。単純に音を出すだけではなく、特殊な力の音波に変えて放つ事で絶大な破壊力を齎す攻撃も可能である。


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