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13-3話




家内の一室では衆治と弥結が外の異変に気付き始めていた。

弥「さっきから外で妙な音が聞こえるけど、私少し様子を見に……」

弥結が立ち上がろうとした時、衆治は弥結の手を掴んで引き止めた。

衆「今外に出るのは危険だ。ここで大人しくしてろ」

弥「でも…………、分かった」

衆治はシザーハンズを出そうとしたが、手にカードを具現化させるので精一杯だった。

衆 (くそっ、今は踏ん張ってくれ、智琉)




智琉はレッド・ドラゴンのエネルギーで強固な壁を作り防御を試みた。しかし、フランケンフィッシュはエネルギーの壁にかぶりつくと瞬く間に喰い破り、口を広げレッド・ドラゴンに襲い掛かった。

智「そんな!」

景「やれ!むしり取れ!」

智琉が身構えた時、ブラック・スワンがレッド・ドラゴンの前に飛び込みフランケンフィッシュの噛み付きを身を呈して守った。ブラック・スワンは体の肉の一部をえぐり取られてしまった。

智「心壱さん!」

心壱は苦い表情を浮かべながらも、抵抗する意思は消えていなかった。

心「大丈夫だよ、このくらい。でも正直言って僕は戦うのはあまり得意じゃない。だから智琉くん、君が彼を倒してくれ。僕が全力でサポートするから」

心壱の顔から子供達を守りたいという思いを感じ取った智琉に答えを迷う理由は無かった。

智「勿論です。二人でこの家を守りましょう」

二人はカードを構え戦う意思を示して見せた。

景「どうしてみんな黙って僕に殺されてくれないのかな?その方が確実に得なのに」

智「何でもお前の思い通りになると思うな。俺のレッド・ドラゴンは本の絵とは違う。簡単には喰えないぞ」

腑に落ちない景吾に智琉のレッド・ドラゴンが翼を広げ突撃した。景吾も自分のフランケンフィッシュを口を開けて構えた。その時、レッド・ドラゴンの背後からブラック・スワンが飛び立つと自らの羽をレッド・ドラゴンの背中に五本突き刺した。

景「味方を攻撃!?」

一瞬心壱の正気を疑った景吾だったが、撃たれた筈のレッド・ドラゴンの勢いは全く衰えていなかった。

景「一体何を……!」

景吾はフランケンフィッシュで応戦するが、レッド・ドラゴンの動きが先程と明らかに違っていた。スピードは勿論、繰り出される打撃も格段に上昇していた。

景「ぐっ、馬鹿な」

景吾はフランケンフィッシュを一旦レッド・ドラゴンから距離を置かせた。

景「可笑しいね。君のアンノウンが急に別物みたいな動きをしてきたよ。あれか、その黒い鳥の羽が関係してるのかな?さっきのツタみたいに」

智「ここで諦めるならまだ見逃してやれる。立ち去れ、今のレッド・ドラゴンにお前のアンノウンじゃ勝てない」

景「ハッキリ言うね。正直言って君のその申し出はとても有り難い。けどさっきも言った様にこのまま帰っても晴に何されるか分かったもんじゃない。だから諦められないの。それにアンノウンの差は大分開いた様だけど、隙さえ作れればまだ分からない」

智「何?」

景「言ったよね、僕のフランケンフィッシュはどんな物でも喰べてしまうと」

そう言うと景吾の操るフランケンフィッシュがものすごい勢いで地面へと潜って行った。

智「!」

景「地面の中の土を喰い破って泳げば地上にいる時と変わらず動ける。そして……」

智琉の足下が少し揺れたかと思うと、そこから飛び出してきたフランケンフィッシュが智琉の足の肉を僅かにかすめ取った。

智「ぐっ!」

フランケンフィッシュはまた即座に地面へと潜って行った。

景「地面から急に飛び掛かるフランケンフィッシュに引き裂かれる。姿を捉えられないだけで君は何も太刀打ち出来なくなるんだよ」

智「ちっ」

智琉はレッド・ドラゴンのエネルギーを無数の杭に変化させると、それらを地中深くに隙間無く差し込んだ。

景「無駄」

しかし智琉の攻撃は意味を成さないかの様にフランケンフィッシュは再び地面から飛び出し智琉の腕の肉を僅かに掠め取り、また地中へと逃避した。

智「があっ!」

景「何でも喰べるって言ったじゃん。君が幾ら邪魔を敷いた所でそれさえもフランケンフィッシュはお構いなく頬張る。君のアンノウンの能力じゃフランケンフィッシュは止められないんだよ」

血が流れる体を押さえながら智琉は立ち尽くしていた。

景「簡単には殺さない。ゆっくり嬲ってあげる」

地中を掘り進むフランケンフィッシュは常に智琉に狙いを定めていた。

景 (次はどこを抉ろうか。深すぎちゃダメだ。徐々に徐々に痛みを与えていくのが一番……)

智「次はどこからだ?」

景「は?」

突然の智琉の言葉に景吾は目を丸くした。

景「何がさ?」

智「次はどこから攻撃してくるか聞いてるんだ」

景「…………言うと思う?それを教えたら楽しくないじゃん、僕が」

智「だろうな、期待なんかしてない。それにする必要も無い」

景「何言って……」

景吾の疑問が膨らんだ時、智琉に向けてあるものが放たれた。それはブラック・スワンの羽であった。智琉は放たれた羽を受け取るとそれを自分の首に突き刺した。

心「分かるよ智琉くん、君が何を考えているのか、君に何が必要なのか」

景「何をしようったって無意味な事!」

景吾は地中にひそませるフランケンフィッシュを智琉に向けて飛び付かせた。しかし、智琉はまるでそれを分かっていたかの様にレッド・ドラゴンの尻尾ではたき地面に叩きつけた。

景「ぐわあっ……嘘……だろ」

智琉はブラック・スワンの羽を自分に刺す事で自身の感覚を活性させた。通常時よりも格段に向上し研ぎ澄まされた五感でもって智琉は地中から襲い来るフランケンフィッシュの攻撃を把握出来ていたのだった。

智「これが最後だ。諦めろ、この状況でお前が勝つ見込みはゼロだ」

景吾は体を押さえ蹌踉よろけながら言った。

景「よく分かったよ。僕じゃ今の君には敵わない。君の事は諦めるよ、君の事はね。この意味分かるかな?」

そう言うと景吾はフランケンフィッシュが最初に潜った穴へと飛び込んだ。同時にフランケンフィッシュも又その身を地面の中へと潜ませた。

心「逃げた……のか?」

智「どうもそうとは思えません。何か企んで……」

そこまで言いかけた智琉に嫌な予感がよぎった。そして鋭くなった五感で景吾の動きを感じ取った智琉の表情は青ざめた。

智「まずい!」

智琉は孤児院の中へと急いだ。




続く


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