12-2話
智琉は再びレッド・ドラゴンを動かそうと試みたが、骨格を固定されているレッド・ドラゴンの体はやはり動きそうになかった。
貭「だから無駄な事だって言ってんでしょ!」
貭耶は又もやボーン・コレクターの無数の骨を飛ばす攻撃を放った。智琉は先程同様にエネルギーを硬化させレッド・ドラゴンに纏わせて防御した。しかし、その攻撃を完全には防ぎ切れず、骨はエネルギーの壁を突破してレッド・ドラゴンにダメージを与えてきた。
智「ぐっ……、さっきより、強い」
貭「手加減って言葉理解出来るよなあ?」
智「…………俺を甘く見るなよ!」
その時、地中から突然出て来たツタの様な物がボーン・コレクターの足に絡みつきがっちりとその場に固定した。ツタは形状を変化させたレッド・ドラゴンのエネルギーであった。
智「お前がレッド・ドラゴンを骨ごと動きを封じようが関係ない。レッド・ドラゴンは動けなくともレッド・ドラゴンのエネルギーは別だ。お前が骨を自由に操れる様に俺もこのエネルギーを変幻自在に扱える。動かなくてもお前を倒す事は出来る!」
智琉は生成したエネルギー弾を数発空中に浮かべると、それら全てを一斉にボーン・コレクターに対して放った。
貭「とでも思ったか?」
すると、ボーン・コレクターは片手に大腿骨程の骨を出すと打撃武器として使い、迫り来るエネルギー弾を全て砕き落としたのだった。
貭「お前さっき言ったよな、甘く見るなって?そりゃ見たくもなるぞ、こんな弱々しい攻撃見せられちゃな」
ボーン・コレクターは手に持った骨で足に絡みついたエネルギーのツタを叩き切った。エネルギーのツタがいとも容易く破壊された事に智琉は唖然としていた。
智「そんな……馬鹿な……」
貭「お前、自分が今どんな状態か見えてるか?汗はダラダラで足も覚束無い。絶え絶えな呼吸に関しちゃそこの衆治とほぼ変わらない。お前の体力も限界だろ。そりゃ晴斗から逃げる為に長い間ぶっ続けでアンノウンを飛ばしてたんだから元気でいられる筈も無いだろうがな」
貭耶の言う通り、智琉には貭耶とまともに戦える体力は無く、智琉自身も薄々それに気付いていた。しかし、衆治の身が危険なこの状況で諦めるという選択肢も智琉の頭には無かった。
智「それでも……まだ…………」
気力を踏ん張る智琉の視界は徐々にゆっくりと霞んでいった。
貭「頑張るのは嫌いじゃないが、自分のアンノウンを見てみろ。鎧が剥がれていってるぞ」
レッド・ドラゴンが纏っていたエネルギーはヒビが入りボロボロと崩れ落ちていた。限界が近い智琉がレッド・ドラゴンを維持出来ない瀬戸際まできていた。
貭「くたばり損ないのニンジンとズッキーニがよう。ここが諦めどこってやつじゃないか?お前達の精一杯の足掻きは俺が晴斗に伝えておいてやる。俺や晴斗がお前達の事を忘れないでやるからよ」
貭耶はボーン・コレクターの両手をそれぞれ智琉と衆治に向け射出準備を整えた。
貭「グッバイ」
ボーン・コレクターの骨が智琉達に向かって放たれた。智琉は避けようとしたが体が思う様に動かなかった。
智 (こんなとこで…………)
智琉が死を覚悟した時、智琉の視界にゆらりと動く物体がいくつも現れた。その物体は飛んで来る骨に当たりに行く様に見えた。智琉がぼやけた視界のピントを合わせようとした瞬間、その物体達は爆発を起こした。
智「!?」
貭「なんだ?」
爆発の煙が晴れると智琉達の周りには小さな魚達が浮遊していた。
智「何だ、これ?」
?「そいつに触るなよ」
その声になんとなく聞き覚えがあった智琉は声の方向を向いた。そこには以前、智琉と衆治の命を狙った二人組の一人の達八が歩いて来た。
達「怪我したくなけりゃな」
智「お前は!」
衆「……達八」
衆治は達八の姿に思わず笑みが溢れた。
貭「あのチンピラ……」
達八の冷たい熱帯魚が智琉達に迫る骨から身を盾にして守ってくれたのだった。
智「達八、どうしてここに?」
達「お前達を追ってりゃいつかあいつに会う事が出来ると思ってな。封駕を殺したあいつに」
達八は貭耶の方を鋭く睨みながらそう言った。
貭「チンピラ紛いが。こんな所で邪魔が入るのもあの時俺がお前の始末を怠ったのが原因か。反省反省」
達八は再び智琉達に顔を向けた。
達「あいつの始末は俺が任されてやる。お前達はさっさとここから離れろ」
智「お前、どうして……?」
達「俺はお前達に色々借りがあんだよ。お前達を殺そうとした俺を見逃してくれた事、それどころか傷付いた俺を病院に運んでくれた事、何より封駕を弔ってくれた事。それだけで俺にとってはお前達を助けるのに充分な理由になんだよ」
智「達八……」
達「こう見えても俺はお前達に感謝してんだぞ」
達八は衆治に目を向け自分なりの礼を述べた。
衆「……やっぱり……死者への敬意は……払っとくもんだな……」
達「行けるか?」
智「ああ。目的の場所まではなんとか飛ばせる。ありがとう達八」
達「ああ、そうかよ」
智「達八。もしあいつを倒したらワンテーブルホームっていう孤児院まで来てくれ。絶対だぞ」
智琉は衆治と共にレッド・ドラゴンの背に乗ると気力を振り絞ってその翼をはためかせ飛び立った。
達「……礼なんて言われたのは何年ぶりか」
達八は気を引き締め貭耶と向かい立った。
貭「すっかりやる気か。まあ一応聞いておく。何の理由で俺の前に立つ?」
達「敵討ちってんじゃ格好つかねえか?」
達八の回答に貭耶は何も言葉を発さなかった。ほんの暫くの沈黙の後、達八は貭耶に冷たい熱帯魚を一斉に突撃させた。
続く




