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12-1話




墓場を飛び立ってから何十分もレッド・ドラゴンは智琉と衆治を乗せて飛び続けていた。

智「急いで衆治を病院に運ばないと……、やば、目眩が……」

一切休まずにレッド・ドラゴンを飛ばし続ける智琉の体力も限界が近かった。

衆「……う……ううっ……」

智「!」

気を失っていた衆治の意識が漸く戻った。

智「衆治!」

衆「……智琉……か……」

息は絶え絶えで言葉も途切れ途切れだが、衆治の意識はしっかりとしていた。

智「怪我は大丈夫か?」

衆「痛みは……割と平気だ……体が……疲労してる、から……だろうな……」

智「今病院を探してるから、もう少しだけ……」

衆「病院は……まずい……」

智「え?」

衆「病院には……病院で死んだ遺体が……安置されてる……。遺体のある……場所からは……離れないと」

智「そうか、分かった。でもそれじゃどこへ?」

衆「……ワンテーブル……ホーム……」

智「ワンテーブルホームって、あの孤児院か?どうして?」

衆「心壱さんの……心壱さんのアンノウンなら……この傷も治せるかも……しれない」

智「心壱さんのアンノウン……。分かった、お前の言う通りにするよ」

智琉はレッド・ドラゴンの行き先をワンテーブルホームに定めた。衆治の腹の傷の出血は大分おさまりはしたが、未だ流れ出ていた。

智「ごめん、衆治」

衆「……何がだ?」

智「俺が悪いんだ。墓の下から出て来る死体にだけしか俺は注意を向けてなかった。もっと周りを警戒するべきだった。俺の守りが甘かったから衆治がこんな……」

衆「そんな事か……。お前がいちいち……気にする事じゃない……」

智「そうは言っても……」

衆「俺はお前を……恨んでもないし……お前がしくじったとも……思ってない……。よくやってくれたよ……」

衆治は自分のありのままの気持ちを智琉に伝えたが、智琉にとってはその優しさが少し辛かった。

智「ごめん」

衆「いい加減……謝るのはよせ……」

智「分かってる。ワンテーブルホームまではそこまで遠くない。今は一刻も早く……、あれは!」

智琉は視界の端にワンテーブルホームから見えた裂晶山を捉え行き先を確認した。

智「見えた!もう少しで……」

その時、とある物体がもの凄い勢いでレッド・ドラゴンに突き刺さった。

智「うぐっ!?」

突然の攻撃を受けレッド・ドラゴンはそのまま真っ逆さまに墜落し始めた。

智「まずい!」

智琉はレッド・ドラゴンのエネルギーを放出し、柔軟な性質にエネルギーを変え自分達を包み込んで地面に落下する衝撃を和らげた。智琉の機転で大怪我は免れた。

智「くそっ、大丈夫か衆治?」

衆「一体……何があった……?」

智「それが、何かがいきなり吹っ飛んできて……」

智琉がレッド・ドラゴンを見ると、大きな動物の骨の様な物がレッド・ドラゴンの体に刺さっていた。

智「なんだこれ!?」

?「少し見ない間に随分と憔悴しょうすいしたなあ」

聞き覚えのある声に二人は目線を向けた。そこには以前二人の前で封賀を手にかけた貭耶が不敵な笑みで立っており、傍らには体中にジャラジャラと骨を纏ったあのアンノウンが佇んでいた。

衆「貭耶……」

貭「衆治、俺は前にも忠告したよな?俺達のとこに戻って来いと?なのにお前は戻るどころか正面切ってやり合おうとするなんてなあ。晴斗はかなりお怒りだぞ。どうする?いやまあ、殺す様に言われてるからお前達に選択肢なんて無いんだけどな」

衆「くっ……」

衆治は貭耶に対抗する為シザーハンズを出現させようとしたが、アンノウンを出すどころかカードを具現化させる事さえままならなかった。

貭「そんな体力の危うい状態でアンノウンを行使するなんて出来ないだろ。地を這うのがやっとじゃないか?仮にその状態でシザーハンズを出せたとしても、俺のボーン・コレクターには太刀打ち出来ないぞ」

貭耶はボーン・コレクターの手を衆治の方向に翳し骨を射出する構えを見せた。それに対し、地面に倒れ込む衆治の盾になる様に智琉はレッド・ドラゴンを佇ませた。レッド・ドラゴンに刺さってた骨を智琉はその場で引き抜いた。

智「衆治を殺したいならまず俺を倒せ」

貭「ほうほう、美しい友情だ。そういうの全然嫌いじゃないぞ」

そう言いながら貭耶はレッド・ドラゴンに向けてボーン・コレクターの骨を無数に放った。智琉は強固で頑丈な性質に変化させたエネルギーをレッド・ドラゴンに纏わせて全ての骨を弾き落とした。

貭「おや?」

智「お前が幾ら骨を撃ってきても、そんな物でレッド・ドラゴンは倒せない。諦めて道を開けろ!」

その言葉と共に智琉はレッド・ドラゴンを貭耶に突撃させようとした。しかし、何故かレッド・ドラゴンは全く動こうとしなかった。

智「ど……どうして!?」

智琉は何度も動く様に念じたが、レッド・ドラゴンの体は一向に動く気配を見せなかった。

貭「幾ら試しても無駄だよ。そいつの骨はその場に完全に固定したからさ」

智「骨を固定?」

貭「ボーン・コレクターの能力は身に付けている骨を飛ばす事じゃない。骨そのものを操れるのがこいつの力だ」

智「何!?」

貭「骨というのはどこにあるか。植物、細菌、一部の無脊椎動物を除くの全ての生き物がその体内に保有するのがそうだ。それら全てを意のままに操れるボーン・コレクターの能力、恐ろしいだろ?」

智「つまり、レッド・ドラゴンの体の中には……」

貭「アンノウンにも骨格があるとは考えなかったのか?まあ俺もいろんなアンノウンを見てきたが、骨を持たないアンノウンもいるにはいる。が、大概のアンノウンには骨がある。お前のレッド・ドラゴンは如何にも骨がありそうな出で立ちだしな」

貭耶はレッド・ドラゴンを眺めながらニタニタと笑った。

智「かなり厄介なアンノウンだな」

貭「俺に勝つのは文字通り骨が折れそうだろう?」




続く


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