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11-3話




湧き出てくる動く死体に智琉と衆治は若干の焦りと恐怖を感じた。

衆「まるでゾンビ映画だ」

智「どうするんだ衆治?」

衆「どうってか?」

手段をこまねく二人に晴斗は一切容赦する事を考えていなかった。

晴「自分達の愚かさ浅はかさを悔やみながら死んでいけ」

次の瞬間、死体達は一斉に二人に向かって襲い掛かって来た。視界を覆わん程の数で押してくる死体の群れに二人は避けるのが精一杯だった。

衆「智琉、さっきどうするかって聞いてきたよな?」

智「言ったぞ」

衆「俺とお前はこの通り生きてる。だが今俺達の周りにいるこれらはもう生きちゃいない。命が続くまで生きるのが生きてる人間の役目だ」

その時、衆治の背後から一体の死体が飛び掛かってきた。

智「危ない衆治!」

しかし衆治は背後を振り返る事も無くじっとしていた。衆治は向かって来る死体をシザーハンズで斬り付け腹から上下に真っ二つにした。斬られた瞬間死体の動作は停止した。

智「衆治……」

衆「俺達は生きてる以上、生きる為の行動をする。死体が俺達を殺しに掛かって来るならそれをはね除ける。手足を斬り落としてでもな」

智「でも、そんな事……」

衆「勿論、後でその分の供養はする。だから今は自分が死なない事だけを考えろ!」

衆治の言葉に智琉は僅かに葛藤した。しかし、祖父との約束を守る為、衆治を守る為、目の前にいる晴斗を倒す為に智琉は決断した。智琉は自らに襲い掛かる死体達にレッド・ドラゴンのエネルギーを浴びせた。エネルギーを浴びた死体達はみるみる内に燃えていき灰へと変わっていった。

晴「それでいい。戦いの渦中に身を置く者は常に心を冷徹にする必要がある。お前のその行為に誰もとがなど示さない」

称賛を向ける晴斗を睨む智琉の目は怒りと悲しみに満ちていた。

衆「……智琉……」

智「分かってるよ、衆治。必ず供養はする」

その言葉と表情に衆治は智琉なりの覚悟を感じ取った。

衆「そうか。いらん心配だったな」

未だ襲い来る死体の群れに二人は自分のアンノウンで撃退し続けた。死体に対し斬る、焼くなどの攻撃を与え、その形を半壊させた死体はラストエンペラーの操作から外れたかの様に即座に動きを止めた。

晴 (この墓地という場なら物量で押す事も可能だが、如何いかんせん死体だけでは決定打には欠けるか)

晴斗はラストエンペラーを死体の相手で手一杯の衆治のシザーハンズに直接ぶつけた。ラストエンペラーの杖での攻撃をシザーハンズはハサミで受け止めた。

晴「衆治、俺は未だ疑問に思う事がある」

衆「何だよ急に?」

晴「お前は知っている筈だ。俺の、俺達の目的を。それを知った上で何故邪魔をするのかをお前に問いたい」

晴斗の言う目的というものを衆治から以前教えられたのを智琉は思い出した。

智「アンノウンの統括……」

晴「ほう、お前も聞いているか。そうだ、俺達の目的はこの世全てのアンノウンの統括だ。管理とも支配とでも呼んでくれて構わない」

智「……そんな事が出来るのか?」

晴「可能だ。実現への見通しは出来ている。俺の元に来ればその世界をお前にも見せてやろう」

智「…………お前は一体何の為にアンノウンを支配するんだ?」

晴「 この世界の為だ。アンノウンを持つに適格でない者にアンノウンを渡らせない事が目的だ」

智「適格でない者……?」

晴「アンノウンとは強大な力を持った存在だ。その力は使い方次第で良い方向にも悪しき方向にも事が運ぶ。もしもその使い方を誤ればこの世界に最悪が降り注ぐ。お前も知っているだろう、未知の厄災を」

智「!」

智琉にとって晴斗の口から出た言葉は予想外なものばかりだった。

晴「アンノウンの力に技量の及ばぬ者が扱った結果があの惨状だ。悲劇を繰り返さない唯一の方法、それがアンノウンの統括だ。支配するに足りうる力を持った者が治めるのが最良の手段だ。そして俺ならば、その夢を現実のものに……」

衆「よくもそこまで自惚れられるなあ」

衆治の一声が晴斗の語りを遮った。と同時にシザーハンズは受け止めていたラストエンペラーを弾き飛ばした。

衆「そこだよ、俺がお前を気に食わないのは」

晴「何だと?」

衆「全てのアンノウンを支配するなんて馬鹿げた企みもそうだが、何よりもお前のその傲慢さが癪に触るんだよ。自分ならアンノウンの支配も可能って言ったよな。自分は何でも出来る全知全能とでも思ってる様なその態度が俺がお前の側に付かない理由だ」

晴「…………」

衆治の言葉に晴斗は表情を変えず、暫く黙り込んでいた。

晴「……いつか誰かが俺に言っていたな。お前のそのおごりはやがてお前を滅ぼす事になる、と。そうか、もしかすればあいつの言っていた事は近いのかもしれないな」

衆「急に何を言い出してんだ?」

晴「だがそれでも、俺の行く末、運命が決まっていたとしても変わりない。道を阻む者は誰であっても容赦はしない。その誓いは今も不変だ」

智「長い独り言だな」

晴斗は再びラストエンペラーの杖で更に死体を起こし襲い掛からせ、それと共にラストエンペラーも突撃させた。

智「また随分と大所帯で」

群がって来る死体は智琉のレッド・ドラゴンが、ラストエンペラーは衆治のシザーハンズが対抗した。シザーハンズとラストエンペラーの戦いは互いに一進一退の拮抗状態でいた。

衆 (奴のアンノウンの力はシザーハンズとほぼ同じか。なら均衡を崩すには……)

二体のアンノウンのかち合いは一瞬ラストエンペラーの方に隙を取るチャンスが巡った。

晴「捉えた。お前ももうここで……」

その時、シザーハンズの姿が晴斗の視界から消えた。次の瞬間、ラストエンペラーの背後にシザーハンズの姿が見えたと同時に、ラストエンペラーの身に付けていた装飾品の一部がその身から斬り離され地面に落下した音が響いた。

晴「何!?」

衆「晴斗、お前と俺とで決定的に違うものを教えてやる」

そう言って開かれた衆治の目は、いつかの様に黄金色の輝きを放っていた。

晴「メディエイターの力、か」

衆「あんまり俺達を見下し過ぎるなよ」




続く


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