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7-1話




達八がCC(コンディションカード)を展開した後の事。

封「さて、ただ待っている訳にもいかない。始めるか?」

智琉は手にカードを具現化し構えた。

封「一応言っておくが、敵わないと判断すれば降参してくれてもいい。お前は元々俺達のターゲットではなかった。故にイレギュラー的な存在であるお前の降参は聞き入れるつもりだ」

智「…………衆治の事は?」

封「あいつは別だ。衆治に関して俺達は始末してくれと命じられた。どんな手を使ってもその目的は果たす」

智「なら俺も降参はしない。お前が衆治に危害を加えるつもり気でいるなら、お前を倒すのが俺の役目だ」

封「そう言うとは思っていたがな。まあ、気が変わったらいつでも言ってくれ」

そう言うと封駕もまた自身のカードを具現化させた。その行為に智琉は少々驚いた。

智「ま、待て!ここで出すのかアンノウンを?」

智琉達の周りには僅かではあるが通行人が歩いており、道路には車も走っている。一般人の多いこの場でアンノウンを戦わせる事に智琉は抵抗を見せた。

封「お前が先にカードを出しただろう。何故お前が疑問を持つ?」

智「いやまあ、さっきはその場の流れって言うか……」

封「別に問題は無いだろう。お前のアンノウンを見せてみろ」

智「いや駄目だろ、アンノウンの存在は秘匿されるって……」

封「じゃあお前は俺のアンノウンを相手に何の対抗手段も無しに挑むのか?無謀どころの話じゃないな」

智「あーっ、分かったよもう」

智琉は腹を括りアンノウンを出す決意をした。

智「UC(アンノウンカード)"レッド・ドラゴン"」

レッド・ドラゴンの出現と共に周りの人の視線がレッド・ドラゴンに集まった。皆その場に突如現れた龍に驚愕と畏怖の感情のこもった目をしていた。

智「うぅ……やっぱり……」

封「気を落とす事は無い。俺がその不満を解消してやろう。UC(アンノウンカード)"エグザム"」

封駕の前に、黒と緑を基調とした機械人型のアンノウンが現れた。エグザムは右手に何かを出現させるとその何かを構えた。

封「動くなよ」

次の瞬間、エグザムは超スピードで突進し智琉の目の前にやって来た。そのスピードに智琉の警戒は間に合わなかった。

智「なっ!?」

エグザムは呆気に取られている智琉の背後のレッド・ドラゴンに対し、手に持っていた物を投げつけた。エグザムが投げたそれはレッド・ドラゴンの腹部に命中した。それが済むとエグザムは突進して来た時と同じスピードで封駕のもとに後退した。

智「やられた!?」

智琉は一瞬レッド・ドラゴンが致命的な攻撃を受けたと直感したが、自分に全く影響が出てない為レッド・ドラゴンには一切ダメージが入っていない事は瞬時に理解した。智琉はレッド・ドラゴンを振り返って見てみると、レッド・ドラゴンの腹部には白い縦長の紙が貼り付いていた。そしてその紙には"辞表"と書かれていた。

智「辞表……?何だよこれ、一体何を……」

智琉が封駕の方を振り向いた時、妙な違和感わ感じた。さっきまで二体のアンノウンに足を止め目が釘付けになっていた通行人が、今は何事も無いかの様に普通に智琉達の横を通っていたのだ。その光景に、さっきまで人々が抱いていたであろう畏怖の感情はすっかり無くなっていた。

智「ど、どうして?何で誰も驚いてないんだ?」

封「当たり前だ。誰も俺達のアンノウンを記憶しないのだからな」

智「記憶?」

封「お前のアンノウンに叩き付けた辞表、それがきっかけだ」

封駕は自分のアンノウンを指差した。指が差されたエグザムの左脚にも同じ辞表と書かれた紙が貼ってあった。

封「見えるだろ、これが何か分かるか?」

智「……辞表……か?」

封「その通り。辞表というのは仕事を辞める時に出される物だ。辞めた人間の存在は時を追うごとにその職場の記憶から薄れ、やがて消える。それを反映したかの様な能力がこのエグザムだ」

智「全く話が読めてこないんだが」

封「辞表を叩き付けられた物体は、その周囲の人間の脳に一切記憶されないのがエグザムの能力だ、と俺は言っている。無論、アンノウンに辞表の効果が働くという事はその持ち主である俺達にもその効果が及ぶ。通行人には俺達の事も記憶出来ない。が、俺達二人だけは互いに互いを記憶出来る様に設定しておいた。それくらいの操作は出来るという事だ」

封駕の説明を受けても智琉は上手く理解出来ずにいた。

智「記憶されないって事は…………、つまり普通の人には俺達は見えてないのか?」

智琉がその質問をした時、一人の通行人と智琉はすれ違いそうになった。その通行人は智琉を見ると邪魔にならない様に智琉を避けて歩いて行った。智琉もすれ違う瞬間、通行人と目が合ったのを確かに感じた。

封「見えてはいるさ。ちゃんと認識もされている。ただ記憶に残らないだけだ」

智「……まるで分からん」

封「人はただ見聞きしただけでは記憶に残すとは限らない。お前は乗っていた電車から降りる時、自分と同じ車両にいた乗客の顔を一人でも鮮明に覚えているか?普通は覚えていないだろう」

智「電車なんて小さい頃以降、乗ってねーよ」

封「……まあつまりだ。目に映る物全てがその人の記憶に残るかと言うとそうではない。本人にとって重要性の低い事柄は記憶に留めないのが普通だ。そして俺達は今、ここにいる人間にとってそのどうでもいい事柄そのものという訳だ。道端の草や石ころ並みの存在感と思ってくれていい」

智「なるほど、なんとなく分かってきた気がする」

封「これなら人前で戦うのに問題は無いだろう。いくぞ」

封駕はエグザムを構え攻撃の姿勢を取った。




続く



《人物紹介》

逆浪さかなみ 封駕ふうが

身長170cm 19歳

嫌いなもの:秒針の音が大きい時計


UCアンノウンカード紹介》

エグザム 身長2m

持ち主:逆浪 封駕

能力:辞表と書かれた封筒を無限に生成出来る。その辞表を叩き付けられた生物や物体はその場にいる周囲の人間の記憶に一切留められなくなる。特定の人物にのみ記憶出来るなどの制限は叩き付ける前に持ち主の意思で改竄出来る。


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