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変化

この作品に評価を付けてくだっさった方がいらっしゃいました。

この場を借りて深い感謝を申し上げます。 感無量です。

拙い文章ですが、これからもお付き合い頂けると幸いです。

前書きが長くなってしまいました。すいませんです。

それでは本編の方をどうぞ

それから2ヶ月の時が過ぎた。

お腹の中の優希はすくすくと成長している。

今では私もすっかり妊婦さんである。

優希は今どのくらいの身長でどのくらいの体重なんだろう?

最近はずっとこんなことばっかり考えていて、いろいろとやらなければいけないことが手につかなかったりする。

母親になるというのに自分のことすら出来なくて少し情けないと思う反面、そんな自分が嬉しくもある。

私は半年前から少しずつ変わってきたんだ。

それを実感し始めた私の毎日は大きく変化した。

と言っても生活のリズムが変わったわけではなく、変わったのは私の心の面である。


それまで何も目標を持たなかった私は毎日を機械のようにただただ過ごしてきた。

私に素質があれば向上心というものも芽生えたかもしれないが、生憎とそんなものは持ち合わせていなかった。

私は努力することの意味のなさを知ってしまっていた。

小さい頃から厳しい目で見続けられてきた私には討魔の仕事にやり甲斐など感じる筈もなかった。

ただ決められていたことだから、

ただ私にそれを務める最低限の素質があるから。

私の心の中にあったものなどこれだけだった。


けれど今は違う。

明確な意志と目標を持って「今」と言う時間を過ごしている。

毎日が色彩豊かに彩られている。

灰色だったあの頃とは違う。

優希が私の希望となってくれた。

人々を救う希望になる以前にどうやら私の希望であったみたいだ。

おかしな話だ。

人々を救う役目である筈の討魔師の私が小さな小さなたった一つの生命に救われた。

笑ってくれていい。

一人じゃどうしようもない討魔師だと、

ダメダメなヤツだと。


それでも、そんな私でもやっと気付くことができた。

私には助けてくれる人がいることを。

この子がいて、母上がいてくれて、鏡さんだって世話を焼いてくれる。


もっと早くに気付ければよかった。

そんな後悔ができたからこそ優希にもそれを伝えたいと想えるようになった。


私が母親になるために努力した結果であり、母親として成長した紛れもない証明である。

私の初めての目標に努力で一歩だけ近づけた。

努力は無駄なんかじゃなかったと優希が教えてくれた。

「私の愛しい子」

そう言って私は微笑む。

優希には既にいろんなものを貰ってしまった。

私は果たして優希にそれ以上のものをあげられるだろうか?

不安にならない不安がでてくる。

だってもう答えなら出ているのだから。

めいっぱいの愛情を注いでやる。

だから覚悟しろ、優希よ。

私の人生二つ目の目標が今ここに決まった。


「たくさんのものを優希にあげる」

少し抽象的な感じがするが私の中ではこれ以上ないくらいハッキリとしている。


人生二つ目の目標ができたところで今日と言うカラフルな一日は過ぎてゆく。



「母上っ、今優希が私のお腹を蹴りました!!」

最近優希がやんちゃになってきた。

今みたいにお腹を蹴ることも増えてきた。早く外の世界を見てみたいらしい。

鏡さん曰くあと2~3週間で出産とのことだ。

なんと待ち遠しいことだろうか。出産の痛みは怖いけれどきっと乗り越えられる。私には優希がいて、母上がいてくれる。それに鏡さんだっていてくれる。

最強の布陣である。すごく頼もしい。

今の私には付きまとっていた不安などきれいになくなり、あるのは確かな今と未来への希望である。

さぁ、かかってこい。痛みの一つや二つ余裕で乗り越えてやる。

私だって強くなったんだ。


それから1週間が過ぎ、私の出産に立ち会うために分家の方々が集まってきた。

私個人としては会いたくない人が結構な数来ていて、挨拶回りをするだけで気が滅入ってくる。

「ご無沙汰しております、笹川さん」

この人もその一人である。分家の血筋には女も男も関係なく産まれてくる。数としてはちょうど半々くらいになるだろうか。

しかし、表社会に出て権力を振りかざすのは決まって男どもである。こいつらは私たちを道具としか見ていない。

「ああ、久しぶりだな。お前だってまともな仕事をするのだな。少し見直したよ」

これである。手のひらを返したようにこんなことを言い放つ。しかも見下した態度で。

なんと傲慢な男だろうか。

私は今すぐにでも殴り飛ばしてやりたい衝動に駆られる。

しかしこんなところで問題を起こすわけにもいかない。

震える手を握り締め、

「ありがとうございます」

そう言うことしかできなかった。

優希を守るためだ。このくらいなんてことはない。

でもやっぱり悔しい。


私に力があれば何かを変えられたのであろうか?

あの時努力していればどうにかなったのではないか?


そう思わずにはいられない。

しかし今となってはどうしようもない。気付くのが遅すぎた。

情けない、今はその思いでいっぱいだった。


私は暗い気持ちを引きずりながら次の挨拶へと向かった。



そうしてさらに1週間が過ぎた。

いつ陣痛が始まってもおかしくないらしい。さすがに緊張してきた。

一応出産予定日は明日になっているが、心臓は既にドキドキしている。いつもより速いペースで脈打つ私の心臓はうるさいくらいである。

どうにか無事に生まれてきてほしい。願うのはただそれだけ。

神様がいるのなら、どうかこの時ばかりは私の願いを叶えてほしい。私の初めての本気の願いだ。


祈りながら夜は更けていく。


そして月と太陽が入れ替わる頃、空は白く染まり始め、暗闇は影に沈んでゆく。


ついに陣痛が始まった。


設定資料を作るかどうか迷ってます。

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