第3話 入学式で出会った令嬢(side:コニファー)
女子高等学院の入学式の時に、デュボアと出会った。
きっかけは、校舎の出入り口の隅で、しゃがみ込んでいる彼女に気づいたからだ。
「あの…どうされました? 大丈夫ですか?」
俯いていたデュボアが顔を上げた瞬間、女性の私でもドキリとした。
パールピンクの艶やかなストレート。
白くてきめ細やかな肌。
その白さが赤い唇をより際立たせ、口元のほくろが色香を漂わせた。
「あ…、少し眩暈がして…」
「こ、このままじっとしていて下さいっ 誰か呼んできますからっ」
急いで女性職員を連れてくると、彼女を衛生室へ連れて行った。
私は彼女の荷物を持って、その後を追う。
「人込みに酔ったみたいね。しばらく休んでいるといいわ」
女性医務員の方が対応した。
「はい」
彼女は寝台に横になったまま答える。
「あ、荷物、横の棚に置いておきますね」
私は持ってきた彼女の荷物を置いた。
「ありがとうございました。助かりました」
「お大事になさって下さい」
医務室を出ると、私は足早に教室へと向かった。
板書には座席表が貼られている。
私は窓際の一番後ろの席。
(何人かはおしゃべりしている人たちがいるけど…一人で座っている人もいる。私も…友達が出来るかしら…)
15歳までは家庭教師の元で教育を受けていたから、学院で学ぶのはこれが初めて。
イスクにはこのまま家庭教師に教わればいいと言われたけれど、一度は学院生活を経験したかった。
本当はイスクと同じ学院へ行きたかったけど、私の学力がちょっと…ちょっとだけ足りなかったから女子高等学院へ行くことに。
イスクは男子高等学院へ入学。
きっと私に合わせてくれたんだわ。
イスクの学力ならどこでも入れたのに…
でも、安心したのも確か。
だって共学に行ったら、彼、絶対に注目の的になるもの。
「ふ~」
一人でいるのが、落ち着かない。
お茶会で知り合う令嬢はいたけれど、同級生を持つという経験がなかったから、私の心の中は期待と不安とが行き来していた。
ガラリ
教室の扉が開くと、一瞬室内がざわついた。
(さっきの子だわっ)
入って来たのは先程医務室へ連れて行った女子生徒。
まさか同じクラスだなんて…っ
彼女も私に気が付いて、席にやってきた。
「先程はありがとうございました」
そう言いながら、丁寧にお辞儀をされた。
「い、いえ。あの…もう大丈夫ですか?」
「ええ、お陰様で。それにしてもまさか同じクラスだなんて、すごい偶然ですね」
「本当に」
私たちは互いに笑った。
「私はデュボア・コンソールと申します。よろしくお願いいたします」
そういうと彼女は優雅な笑みを浮かべた。
口元のほくろが艶めかしい。
「あ、コニファー・アガヴァンスと申します。こちらこそよろしくお願いいたします」
デュボアは子爵家の長女で、下に弟君がいるそうだ。
その為かとても落ち着いていて、同い年なのに大人っぽく見える。
美しく気品のあるデュボアを好ましく思った。
私は上に兄がいるけれど、姉か妹の存在にあこがれていた。
仲良くなれたら嬉しいわ。
それから自然と彼女と過ごすようになっていった―――――…
イスクにも彼女の事はよく話をしていた。
だから彼にもデュボアを紹介したいと思い、お茶会を開く事にした。




