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第14話 お祖父様を呼びましょう

「んー……」


母様が腕を組みながら唸っていた。


先程までの大騒ぎが嘘のように真剣な表情である。


「希少属性、しかも二つですか……」


「何か問題があるんですか?」


俺が尋ねると、母様は困ったように笑った。


「問題というより、教える側の問題ですね」


「教える側?」


「基本的なことなら教えられると思うのですが……」


どうやら悩んでいるらしい。


そこでふと疑問に思った。


「ちなみに父様や母様の属性って何なんですか?」


「ああ」


父様が頷く。


「私は火属性だ」


「へぇ」


すると父様は遠い目になった。


「そのせいで何でもわかーる君七号は大爆発したがな……」


「まだ引きずってたんですか」


「引きずるとも」


即答だった。


よほど怖かったらしい。


父様の視線は相変わらず何でもわかーる君十六号を警戒している。


完全にトラウマである。


そんな父様を見ながら母様が胸を張った。


「そして私は基本四属性を全て使えます」


えへん。


そんな効果音が聞こえてきそうなほど得意げだった。


とても可愛らしい。


だが。


少し待ってほしい。


火、水、風、土。


さっき聞いたばかりだが、それ全部では?


「それって凄いのでは?」


思わず聞き返す。


すると父様が苦笑した。


「凄いなんてもんじゃないぞ」


「え?」


「二属性使えればエリート」


「三属性使えれば天才」


「そしてお前の母様はその上だ」


「す、凄い……」


思わず目を見開く。


つまり母様は天才どころではないらしい。


改めて母様を見る。


本人はどこか誇らしげだ。


褒められるのは嬉しいらしい。


可愛い。


だが凄い。


何だこの母親。


すると。


しばらく考え込んでいた母様が、ふっと顔を上げた。


「やっぱりその方が良いですよね……。よし! 決めました!」


何か決心したらしい。


「何をだ?」


父様が尋ねる。


母様は満面の笑みで言った。


「お父様にも手伝って頂きましょう!」


父様が少し考える。


「グラン義父上か」


そして納得したように頷いた。


「義父上も氷属性の使い手だ」


「確かに良いかもしれん」


「だが急に頼んで大丈夫なのか?」


すると母様はくすりと笑った。


「可愛い孫のためですもの」


「それに」


そこで少し悪戯っぽい笑みを浮かべる。


「自分と同じ氷属性だと聞いたら、きっと飛んできますよ」


「ああ……」


父様が納得したように頷く。


どうやら心当たりがあるらしい。


グランお祖父さま。


確か母様のお父さんだ。


何度か会った記憶がある。


会う度に抱き上げられ、お菓子を貰い、頭を撫でられていた気がする。


とても優しかった。


というか。


かなり可愛がられていた。


「早速手紙を書いてきます!」


母様は勢いよく立ち上がった。


そしてそのまま研究室を飛び出していく。


相変わらず行動が早い。


「あの」


母様を見送った後、俺は父様へ尋ねた。


「グランお祖父さまも氷属性使いで凄い方なんですか?」


すると父様は少し笑った。


「凄いなんてもんじゃない」


最近この台詞をよく聞く気がする。


「義父上は今こそ一線を退いているがな」


「現役時代は王国最高の魔術師だった」


「王国最高?」


「元宮廷魔術師長だ」


思わず目を瞬かせる。


それだけでも十分凄そうだ。


だが。


父様の説明はまだ続いた。


「特に氷属性に関しては別格だった」


「氷結の大賢人」


「そう呼ばれていたほどだからな」


「氷結の大賢人……」


何だろう。


めちゃくちゃ強そうだ。


「それはまた凄い方なんですね」


「まあな」


父様は苦笑した。


「そして間違いなく、お前を見たら大喜びするぞ」


何だか少し楽しみになってきた。


どうやら俺の魔法の先生は、とんでもない人物になりそうだった。

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