若武者、見参(?)
読者サービス その2
山奥。
誰もいない場所。
白蛇が静かに、とぐろを巻いている。
いつも通り。
ふっと、空気が揺れる。
地面の水たまりが、
わずかに波打つ。
次の瞬間――
ドン。
若武者が立っている。
無駄に風を受けている。
髪がなびく。
※風は吹いていない
片手を腰に、
もう片方は空へ。
完全にキメている。
沈黙
……
白蛇は、
じっと見ている。
動かない。
若武者は、
ゆっくりと、口を開く。
「どうだ」
間。
「……この姿」
白蛇
全く、反応なし。
若武者
少しだけ咳払い。
「人の“武”を取り入れてみた」
解説しよう。
「これで信仰も得やすくなる」
白蛇は、
じっとしている。
若武者
「威厳、感じるだろう」
沈黙②
……
白蛇は、
スス……と、少しだけ横に移動。
若武者
「なぜ離れる」
白蛇に、
特に意味はない。
ただ――
少し距離を取っただけ。
若武者の
眉が、わずかに動く。
再アピールする。
「ほら、見てみろ」
刀を抜くフリをする。
※刀はない
ただし、効果音あり(自前)
「シュッ」
白蛇は、
瞬きもしない。
若武者
「……」
もう一回
「シュッ」
白蛇は、
じっとしている。
間
……
若武者
「……伝わっているか?」
白蛇
一瞬だけ、舌を出す。
空気を確認しただけ。
若武者は、腕を組む。
少しだけ考える。
「ふむ……」
そして、一言
「改良の余地あり、か」
白蛇は、
そのまま。
若武者
「だがな」
急に、ドヤ顔になる。
「いずれはこれで、人を導く」
白蛇は、
無反応。
若武者
「……」
小声で
「……多少は反応してもよいのではないか」
白蛇は、
しばらくして――
ゆっくりと、向きを変える。
そのまま、どこかへ行こうとする。
若武者
「待て」
白蛇
止まる。
振り返らない。
若武者
少し間を置いて――
最後の一撃
「……似合っている、とか」
白蛇
完全に静止。
数秒後
スッ……と消える。
逃げた!
若武者は、
一人、残される。
静寂
風もない。
小さく
「……そうか」
水たまりが、元に戻る。
何もなかったように。
ただ――
若武者の姿だけが、
少しだけ、寂しそうだった。




