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ドルヲタ男子高生、アイドル運営はじめました!  作者: フミヅキ
第三章 二人のアイドルとあの軍団と僕
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二人のアイドルとあの軍団と僕⑬

 僕は真夜中のドールズクローゼットの公式アカウントで、ミソラが体調不良でしばらくはライブに参加しないこととそのお詫び、その間もルルカが一人でステージに立つことを発表した。


「みーたんが安心してお休みできるように、ルゥは一人でもがんばルルカ~! ガハハハ~!」


 ファンに向かって宣言し、豪快に明るく笑いながら、ルルカはステージに立ち続けた。


 ミソラパートも二人の合唱パートも一人で歌い、一人で踊る。

 これは言葉で言うよりかなりハードなことだ。息を整える暇がないから、声を出し続けること自体が辛い。マイクにもあがった息の音が入ってしまう。そんな状態で音程を保ってダンスのクオリティーも保ってというのは、なかなか厳しいことだ。


 うまくできなくて、ステージから帰って来て泣いている柊木さんを僕は何回か見た。


「柊木さん、一人のステージとしては十分よくできてるよ」

「うぅううぅぅぅ……。こんなん、だめだめだもん。まだまだこんなじゃー、みーたんに好きになってもらえないもん! うえぇぇぇぇぇ!」


 泣き止んでから顔を洗ってメイクを直して、ルルカは終演後物販に向かう。ファンの皆さんと笑顔でおしゃべりして、楽しくチェキを撮る。


 でも、がむしゃらにがんばるルルカの姿勢はたぶんお客さんたちにもちゃんと伝わっていると僕は思う。最近のフロアの歓声やMIXやジャンプはいつも以上に大きなものになっていた。


 私生活においても、白樺さんに頼らなくても自習や身の回りの整理整頓ができるよう、彼女なりにがんばっていた。


 例えば、着替えはいつも服を散らかり放題に脱ぎっぱなしにしていたらしい柊木さん。楽屋でそれを畳んだり、 バッグにしまったりするのは白樺さんの役目だったらしい。白樺さんがいない今、楽屋で着替える時には畳み方はぐちゃぐちゃではあったけれど、なんとか他人に迷惑をかけない範囲で整理できているようだ。


 ちなみに、ここしばらくレッドくんたちは現場に来ていない。白樺さんがステージにも特典会にも出ないからだろう。その結果、現場は和やかな雰囲気に戻った気がする。


 僕は一度、白樺さんを柊木さんのソロステージに連れていった。フロアの後方、僕の隣でステージを見るマスク姿の白樺さんを見つけたお客さんたちが遠慮がちに話しかけてくれた。


「よかった、外には出られるようになったんだね」

「みーたん、無理しないでね。でも復帰楽しみにしてるよ」


 マスクの上からも白樺さんが笑顔で頷いているのがわかった。お客さんたちも安心したように笑う。でも、僕には白樺さんの笑顔には苦しさが滲んでいるように見えた。


 一人でがんばるルルカのステージを見て、ステージ裏で「だめだめなとこ、みーたんに見られちゃって恥ずかしいよぉ」と言って泣く柊木さんを見て、それでも涙を拭って笑顔で特典会に向かう柊木さんを見て、白樺さんの瞳にも涙が溜まっていた。彼女の目の中で小さな光がゆらゆらと不安定に揺れているように見えた。

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