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ドルヲタ男子高生、アイドル運営はじめました!  作者: フミヅキ
第二章 新人アイドルと愉快な仲間たちと僕
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新人アイドルと愉快な仲間たちと僕⑭

 そんなこんなで日々は忙しく過ぎていった。僕は校内・校外の協力者の作業進捗を確認しつつ、公式SNSやホームページ開設の準備もしつつ、「ブッキング」に取り組み始めていた。つまり、柊木さんと白樺さんのお披露目ライブのスケジュールを決める工程だ。


「でも、その前に重大なことを決めないと……二人のグループの名前を決めないといけない」


 僕は真面目くさった顔で、ダンスレッスン終わりでジャージ姿の二人に告げた。


「カンカンPはもう決めてるのぉ?」


 首を傾げる柊木さんに、僕は拳を握りしめながら力強く頷く。


「まあね。『真夜中のドールズクローゼット』……略称は『真夜ドク』でどうでしょうか!」

『おおぉお~!』


 柊木さんと白樺さんの歓声がハモった。


 実は二人に微妙な反応をされたらどうしようと心配していた僕は内心ではすごく安堵していたのだが、それを表には出さないで、さも当たり前のような顔をしてみた。


(だって、僕、プロデューサーだもん)


 僕だって少し背伸びしたい時はある。


「椿くんはどうしてその名前に決めたの?」

「うーん……まあ、直感の割合も多いんだけどね……。バンもんさんとかヤナミューさんとか虹コンさんとか、『長いグループ名と略称』のセットはやっぱりインパクトあると思うんだ。それに、匠汰くんの作ってくれた曲、アイドルソングらしいキャッチーさもあるんだけど、綺麗な音と歌詞が素敵だなと思ったからさ。そういう曲を歌うグループはアルファベットとか短いグループ名とかじゃない方がいいのかなって」

「なるほど」


 匠汰くんの作ってくれた曲は、少年少女の恋物語や小さな冒険、人形たちの迷い込んだ摩訶不思議な世界や、日常のちょっと目を惹かれる綺麗な風景を音と言葉で描いている。あの三白眼の金髪男のどこにそういう感性が隠れているのか、まったくもって疑問である。


「あとは、前も言ったとおり、夜中、お洒落なお人形さんたちが踊りだすようなイメージを直接的に表してみました」

「さっすがカンカンP~!」


 柊木さんはピョンピョン飛び跳ね、白樺さんはふむふむと頷く。


 想像以上に二人が気に入ってくれたようで、僕は内心かなり悦に入っていたけれども、当たり前のような顔を崩さないように気を付けた。


(だって、僕、プロデューサーだもん)


「じゃあ、二人に出してもらった空きスケジュールを元に、出演するステージを決めてくるね」

「おぉぉ~!」


 ガッツポーズで意気揚々な柊木さんに対し、白樺さんは少し慎重な表情を見せた。


「ねえ、椿くん。わたしたち、全然ライブ経験もないのに、そんなに簡単にステージに出してもらえるものなの?」

「それは心配しなくても大丈夫。僕が狙ってるのはたくさんのアイドルが出演する合同ライブで……大きな会場じゃないところだけどね。そういうステージの出演グループ募集は、いくつかのイベンターさんがネット上で常に出してるんだよ」


 そんなこともあって、結成したばかりのグループであっても初ライブのハードルは意外と低いのだ。


(まあ、持ち時間は十五分そこそこだろうけど……)


「入れ替わり立ち代わり、すっごくたくさんのアイドルが出てくるイベントのはずだから、少しでもお客さんの印象に残るよう頑張ろうね! 真夜ドクのファンを獲得していこう!」


 僕がそう言うと、二人は少し緊張するような顔になってしまった。僕は慌てて言う。


「別に奇をてらったことをする必要はないんだよ。山査子さんの可愛い衣装を着て、匠汰くんのいい曲をお客さんに伝える。花水木先輩のかっこいい振り付けを表現する。そして、歌って踊る二人のがんばりを見せる。それだけでとても素敵なステージになるはずだよ。きっと気に入ってくれる人がいる」


 僕はあまり二人のプレッシャーにならないように、穏やかな表情と声を心掛けて伝えた。すると、柊木さんと白樺さんは顔を見合わせて笑い始める。


「やっぱさぁ、カンカンPってちょっとおじーちゃん系?」

「そうね。ふふふ!」

「お、おじいちゃん……?」


 そういえば、少し前にもそんな風に言われた気がする。


 でも、まだピチピチの男子高校生である僕は小さくないショックを受けていた。別に何かを期待しているわけではないけれども(何かを期待していい立場ではないことも重々承知しているけれども)、二人からまったく異性として見られていないことには正直なところ複雑な気持ちにもなる。


 でも、楽しそうに笑うアイドルたちを見てしまうと、二人がそれで和んでくれるのならば甘んじて受け入れようと思えてしまう。


(だって、僕、プロデューサーだもん……。こんなの全然平気だもん……。アイドルに異性として見られてないって、きっと僕はプロデューサーに適正があるんだ!)


 そう思い込むことにした。

 やはりアイドルのプロデューサーはなかなか過酷な職業である。

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