交渉
恐らく次から二日に一回の更新になると思います
アウロラは仮面を外しはしたが顔は青ざめ手は震えていた
仮面を外し顔を見せる事、ただそれだけの行為に膨大なストレスがかかる人生を送って来たのだ
「…貴女の誠意は見せて頂きました。もし仮面を着けた方が落ち着くと言うのであればどうぞお付けください。」
「…ありがとうございます」
また仮面を着けたアウロラだが息が荒い、その為エイチカが先を引き継いだ
「姐さんのグルブ族ってのは見た通り綺麗な一族でな、金持ちや権力者によく捕まるんだ」
チラリとアウロラを見るが特に何も言わない為そのまま続ける
「俺等の目的は金を稼いでグルブ族を買い戻し集め、一族を復興させる事でさぁ」
「なるほど…所で君の紹介もしてもらっても良いかな?」
「…俺も必要か?……俺の名はエイチカ、ガキの頃に姐さんに助けられてそこから恩返しも兼ねて一緒に傭兵やってんのさ」
エイチカは少し照れ臭そうに、しかし自慢げに話す
「じゃあ今回の件も」
「あぁ四名家は金払いだけは良いからな」
エイチカは自分の懐から一枚の羊皮紙を取り出した。どうやら四名家との契約者であるようだ。それをシュンローに手渡し中を確かめさせた
「うわ、奮発してんなぁ」
「だろう?」
「こんだけ出すって事はあんた等有名人なのか?」
「まぁ主に姐さんがだがな」
福太郎も横から覗くが文字が分からない
コソコソとシュンローに聞いてみる
「…これ、高いの?」
「俺も詳しくはありませんが額面だけ見ると破格だと思います。庶民なら一年は遊んで暮らせます」
「…それ、米を売った金額より高い?」
「流石にそれは無いはずです、叩き売りしたとしても米の方が大分高いです」
ふむ、と頷きアウロラ達の方に向き直す。
これからの流れを頭の中で確認しある提案をする
「お二方、四名家とやらの契約を破棄しこちらに付きませんか?」
「…内容と金額は?」
裏切る事に関しては気にならないらしい、即座に金の話を始めた。
裏切った事が広まると依頼も減るだろう、だが自分の実力があればそれでも依頼してくる者はいるはずだ。事実今までそうだった。
傭兵業を始めて解放できた仲間はまだ三人、その三人も人買い達に見つからないように隠れ住み不自由な生活を送っている
そして未だに囚われている同胞達
その解放の為、綺麗事等言っていられない
「内容はこのシュンローが米を売りに行くのでその護衛と交渉です。そして報酬は売れた米の半額でいかがでしょう?」
「……ちょっと待ってください、色々聞いてないです」
無表情のままゆっくりとこっちを向くシュンロー、その声には不満がにじみ出していた
だがその不満を粉砕する一言を福太郎が放つ
「働け居候」
「………良いでしょう、売りに行くのはやります。でも護衛?要りますか?俺一人で全員倒せる位でしたよ」
「長旅で疲れてる所を奇襲して置いて威張れないだろう」
「ぐっ……」
「それに自分でもコネが無いって言っとったじゃないか傭兵と言うならそういうツテなど有りそうじゃないか」
「それにしても報酬が売り上げの半分って……かなりの金額ですよ」
「家族の為に頑張る女の子…支援したくなるのは当然だろう。そもそも趣味で作った米だ。ここでは金も使わないし上げても問題無かろう……いかがですかな?」
アウロラも米が高く売れる事は知っている。四名家に睨まれようと買ってくれる商人とのツテもある。問題はどれ程の量なのかだ。流石に少量では割りに合わない
「…量はどれくらい?」
「この位の樽が──」
福太郎が小さな体を大きく使い樽の大きさを表す。一樽で福太郎なら二人は入れる大きさだ
「山ほど」
「お受けします」
それほどの量ならかなりの金額になるはずだ。もしかしたらこの依頼だけで仲間を数人救えるかもしれない
アウロラは一も二も無く飛び付いた




