第三陣
「今回は人数が少ないな」
前回の調査団は30人程度だったのに比べ、今回福太郎が感知したのは10人程度
しかし実際の調査団は100人規模である
四名家が情報共有し、自分達の家の優秀な者を選出。そこに傭兵として雇った戦士や魔法使い、更に荷物運びの人足を加えた結果過去最大規模となった
時間も金も権力もかなり使っている
それほどまで四名家はここに何かあると、自分達の力を取り戻す為のモノがあると確信しているのだ
人足はふもとで待機、一部の精霊術士はそれの護衛と退路の確保、残りが精霊の力で登頂、そこから四名家の監督員兼代理人、四名家最強の精霊術士、そして傭兵四人が先に進み残りは崖で待機
こうして合計12人が現在八重樫亭を目指し進んでいる
そしてそれを空から見下ろしている福太郎とシュンロー
「…彼ら普通に歩いてるね、何でだろう?」
「恐らく真ん中にいるフードを被った女、あれが魔法使いで防壁を張っているんでしょう」
指をさすシュンロー
その先にはフードを深くかぶり面を付け顔を完全に隠した女(体つきで何とか分かる)がいた
その女を中心に調査団は動いており、砂嵐は目に見えない防壁に阻まれ届いていない
「女が防壁、回りの偉そうな服着た奴等が酸素や温度の調整って所ですかね」
「魔法使いって精霊術士とどう違うんだ?」
「精霊術士は精霊の力を使い、魔法使いは己の力を使います。その分消耗は激しいですが自由度は高い…らしいです。私は魔法使えませんので」
「じゃあこのまま放って置いたら防壁?出せなくなって帰らないかな?」
「多分無いでしょうね、少数精鋭っぽいですから。余程金を積んだんでしょう」
「……」
福太郎としては家に来られても別にいいと考えている
そもそも本気で来てほしくなければ今すぐ地面に大穴を開けでもすれば全員まっ逆さまだ
そうしない理由は、試練を与えておいて突破されそうになったらちゃぶ台返しと言うのが好ましくないからだ
しかしシュンロー曰く
「奴等に福太郎殿の事が知れればどんな手を使ってもここに来ます。更に精霊だけじゃなく福太郎殿自身も捕まえようとするかも知れません」
まだ花代の木の芽すら出てない状況である。
そんな中ゴタゴタしたりするのは御免蒙りたい
まして家を離れるなど論外である
しかしちゃぶ台返しもしたくない、福太郎はどうしようか悩み空から観察するだけに留まっている
「なら個人的に私が奴等を叩き返します。そうすれば試練とは関係ないでしょう」
「…屁理屈じゃないか、それ」
「屁理屈も立派な理屈です」
「そもそも12人もいるんたぞ、危ないから止めなさい」
「…多分戦えるのは数人のはずです。後ろの方に固まってる4人の内1人だけ見たことがあります。エリクション家最強の精霊術士と言われてる奴です。そいつが固まってるって事は他の三人も精霊術士だと思います。精霊の力を使えない精霊術士なんて雑魚以下です。回りの偉そうな服を着てる奴等は四名家の監視員とかでしょう。多少魔法は使えるようですが本職では無いでしょう。装備が魔法向きじゃありません。残り四人は傭兵でしょうね。魔法使いの女は防壁を張ってるので戦闘する余裕は無いでしょう。四名家のお偉いさん達を守らないといけないでしょうしね。残りの三人はやり手の戦士っぽいですね、装備も良い。ですがそれが仇になります。これなら勝てるはずです」
それが砂嵐の切れ目からずっと観察していたシュンローの結論である
中々優れた洞察力だろう、実際ほとんど当たっている
「…本当に大丈夫か?」
「任せてください」
「…ふぅ、危なくなったらすぐに回収する。そして彼らは試練を突破したとして家に招く。これで良いな」
「ますます負けられませんね。…奴等の少し後ろに下ろしてもらえます?それとフーさん、ツーさん、合図したら砂嵐を止めて貰っていいですか?」
(あぶないよ?だいじょうぶ?)
(いいの?いいの?)
精霊達が許可を求めるように福太郎に聞いてくる。何か策でも有るのだろう
「いいよ、言うこと聞いてやって。でも危なくなったらお願いね」
(わかった!)
(まかせて)
「ありがとうございます。じゃあよろしくお願いします」
ゆっくりとシュンローを指定された場所に下ろす
左腰には反りのついたファルシオン、腰の後ろには肉厚で両刃のダガー、こちらは柄が左を向いており左手で抜ける様になっている。もちろん両方共シュンロー作だ
八重樫亭に来た時から持っていたが救出された時に精霊達に取り上げられ、返された後は体が鈍らないように運動に使っていた
「二人共準備はいいね」
自らの精霊に呼び掛ける
Tシャツジーンズエルフの戦いが始まった




